客観的評価: ■□□□□□
心情的評価: ■■■■■■
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]
『インドのスター・ウォーズ』としてやや有名な「アーリャマーン」をDVDで観賞。
インドではテレビ放映時視聴率が80%を超えたとか超えないとかすごい話も聞こえてくる。
「♪アーリャマーン!!♪」と主題歌にのって、宇宙空間を疾走する戦闘機。そしてハッチがパカン!と開き主人公のヒーローと思しき男が宇宙服もヘルメットもなくむき出しで登場するオープニング。もちろんイメージ演出だろうが、この戦士は宇宙でも生身で平気なのか??!!と、少しビビる。
そしてキャスト、スタッフのクレジット(と思われる。インドの文字は読めないので)となる。
主題歌をバックに、文字が手前から現れ宇宙の彼方に消え去って行くようなクレジットは、アメリカのジョージが作った映画のオープニングを思わせる。しかしバックにはアメリカのジョンが作曲したファンファーレなどかからず、ノリノリの主題歌がかかり「♪アーリャマーン!!♪」とヒーローの名が宇宙に響き渡るのだ。
監督名と思われる最後の文字列が宇宙の彼方に消え去るまで、じーっと待ち続ける映像。
そして物語の設定が重厚な声質のナレーションによって語られる。
・・・のだが、このナレーションが長い。3~4分、いやもっとか・・・しかもその間、これはアニメ映画か?と思わせる二次元感溢れるCGによる宇宙空間や惑星の映像ばかり。なんでもいいから早く本筋に入ってくれ・・・と思ったら、宇宙を司る王宮が映るのだが、もろビデオ撮りな画質と、狭い室内と、少ない人数と、チープなセットでずっこける。
それはさておき、舞台はとある惑星に移り、そこで主人公アーリャマーン(ルーク・スカイウォーカーっぽい服を着ている)と、その師と思われるアレック・ギネスのオビワンっぽい人物がライトセーバー的な武器で戦っている。2人の戦いを固唾をのんで見守るギャラリーたち。全員直立不動なのが気になる。その中に、黒くて小さいC3POみたいなロボットもいる。
その金属感に乏しいボディとか、管に腕通してるだけっぽい造形。ひょっとして1939年の「オズの魔法使い」のブリキの木こりへのオマージュかと相当好意的かつ強引に解釈することもできなくはないが、恐らくは予算とか納期とかモチベーションとかの問題にすぎず、本当はC3POにしたかったのだろう。
闘いが終わり、よくぞ師を超えた・・・とオビワンっぽい師匠からほめられるアーリャマーン。
設定では「25歳」なのだが、でっぷりした中年太りを思わせる体格をはじめとした見た目的印象では40歳くらいに見える。
しかしアカデミー賞受賞作「ブレイブハート」の主人公も20歳くらいの設定なのにメル・ギブソンが演じていたのだし、年齢的ギャップについて突っ込むのはよそう。とは言うものの、人口10億のインドにはもっと他にイケメンがいるだろうと思うのだが・・・
師匠はアーリャマーンに彼の出生の秘密を伝える。・・・のだが、ここからまた長ーい説明台詞が始まり、しかもその間、師匠とアーリャマーンは直立不動の立ち話による状況説明を続ける。なんて豪快な演出なんだ。
さらに回想シーンになるのだが、回想シーンだけで30分くらいある豪勢さだ。
アーリャマーンは宇宙を司る王の2人の妻の片方の息子であった。もう片方の妻の子供は尻尾と角が生えていて凶暴だったので牢に入れられてしまった。それを快く思わない王女と側近はアーリャマーン暗殺を企むのであった。
「マッサージ師にこの毒をアーリャマーンの母の乳房に塗るよう命じたわ。これで乳を飲んだアーリャマーンは死ぬわ」と自信たっぷりに暗殺プランを語る悪い王女。ところが場面が変わるともうマッサージ師がアーリャマーンの母に「この毒を塗れと命じられたのです」と即効ゲロってる。悪者王女の人望の無さが露呈された。
暗殺計画を知ったアーリャマーンの母は、前述のチープなC3POにアーリャマーンを託し、王宮から脱出させる。一方で救世主と予言されるアーリャマーンを恐れる別の悪者は暗殺ロボットを送り込む。
この暗殺ロボ、1970年代には欧米や日本で使われなくなった、「直角&直線的な動きでロボらしさを表現する演出」が堂々と使われ不気味さを醸す。アーリャマーンを抱きかかえるC3PO型ロボを発見するや、見た目1~2mの距離でビームを発射するが3POにことごとくかわされる。
3POは宇宙船で脱出。それを追う暗殺ロボも宇宙船に乗って・・・まではいいとしても、2人ともデザインも色も全く同じ宇宙船でチェイス&バトルするものだから、どっちが有利なのかさっぱり判らず。
一機が撃墜されるが、撃墜の瞬間に操縦するロボの「しまった!!!」というような表情でも見せればいいのに、CGバトル映像がしばらく続いてドッカーンだから、どっちが勝ったのか判らない。もちろんストーリー的にアーリャマーンの筈はないのだけど。
そんな長い長い回想シーンの末、アーリャマーンは父と母がピンチに陥った事をテレパシーかニュータイプ的勘で知るに至り、師匠が止めるのも聞かず宇宙艇で飛び出すのであった。
それからも、立ち話の長い説明台詞や、「あなたはあの時の」的説明のためにワンシーン丸々くり返す・・・などの常識ハズレな演出が色々飛び出すのだが、省略。
さて王宮は角&尻尾生えた悪者王子とその母に乗っ取られ、かつてアーリャマーンに刺客ロボを差し向けた悪者も黒幕としてしたい放題状態。アーリャマーンの母と王は炭坑労働者として奴隷労働に従事していた。父母を助けるため炭坑労働者に変装するが悲しいくらい違和感のない宇宙のヒーロー・アーリャマーン。
25年ぶりに母と再会する時のカメラが凄い。
見つめ合う2人の顔を交互にズームしながら、5回も6回も繰り返し写す。なんて凄まじいモンタージュ。
そしてアーリャマーンは敵の城に乗り込む。
目と口のついたデススターみたいな宇宙要塞だ。
アーリャマーンは見張りの兵にすぐ見つかり、包囲されてしまう。
10数人の敵兵は一斉にビームを撃つが、アーリャマーンは全弾ライトセーバーではね返す。その時の映像はアーリャマーンが5~6人に分身したかのような映像なのだが、きっと素早く動いた残像でそう見えることを訴えたかったのだろう。剣さばきが鈍いので早く動いているように見えないのが残念だ。
あるいは、スーパースター性を強調するため一画面に分身を配置する「ムトゥ踊るマハラジャ方式の演出」を応用したのかもしれない。いずれにせよ、そのショッキングな映像は観るものにかるい目眩を感じさせるくらいのインパクトがあったことは確かだ。
そしてアーリャマーンの反撃だ。ここで初めて知るのだが彼の持つライトセーバー的武器はスター・ウォーズやガンダムの影響ですっかり斬撃系の武器だと思い込んでいたが、どうやら「光るこん棒」と呼ぶ方が相応しい武器らしく、アーリャマーンのライトセーバー攻撃を食らった敵は斬られずにぶっ飛ばされる。「るろうに剣心」の逆刃刀の宇宙版みたいなものだったのかもしれない。そう思って先ほどの分身攻撃シーンを観たら「壱 弐 参 肆 伍 陸 漆 捌 玖」と文字が浮かんでくるかも知れないと思ったがそんなことはなかった。
そして敵ボスとの決戦となるが、ボスの攻撃で吹っ飛ばされカプセル的なものにスポっと入ってしまったアーリャマーンは、ブシュウッッッと吹き出す煙にまかれ体が石のように凍らされてしまう。特にその装置の説明はなかったが「詳しくは『スター・ウォーズ帝国の逆襲』のハン・ソロに聞いてくれ」と敵ボスの目は語っていた。
そして動けなくなったアーリャマーンに、敵ボスは要塞兵器を使って惑星を破壊する様を見せつけるのだった。
そこで第一部完!!!!!
DVDプレーヤーのカウンターをみると、1時間15分しか立っていない。そのうち5分はナレーション、15分は説明台詞。5分は念入りな繰り返し演出。
インドの会社員はミーティングや会議でメモも議事録もとらずみんな記憶してしまう・・・と聞いたことがあるが、それほど記憶術に長けたインド人民に対してあの演出はバカ丁寧過ぎやしないだろうか。
とりあえず続編は観なくていいやと思ったが、観れば心にこびり付いて離れないこと請け合いの本作。機会があれば是非一度観ていただきたい。
「♪アーリャマーン!!♪」と主題歌をつい口ずさんでしまう自分を発見できるぞ。
小惑星群の中を戦闘艇が突き抜けるシーンのカット割りが「帝国の逆襲」そのまんまだったのがファン心をくすぐったことを付け加えておく。
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『インドのスター・ウォーズ』としてやや有名な「アーリャマーン」をDVDで観賞。
インドではテレビ放映時視聴率が80%を超えたとか超えないとかすごい話も聞こえてくる。
「♪アーリャマーン!!♪」と主題歌にのって、宇宙空間を疾走する戦闘機。そしてハッチがパカン!と開き主人公のヒーローと思しき男が宇宙服もヘルメットもなくむき出しで登場するオープニング。もちろんイメージ演出だろうが、この戦士は宇宙でも生身で平気なのか??!!と、少しビビる。
そしてキャスト、スタッフのクレジット(と思われる。インドの文字は読めないので)となる。
主題歌をバックに、文字が手前から現れ宇宙の彼方に消え去って行くようなクレジットは、アメリカのジョージが作った映画のオープニングを思わせる。しかしバックにはアメリカのジョンが作曲したファンファーレなどかからず、ノリノリの主題歌がかかり「♪アーリャマーン!!♪」とヒーローの名が宇宙に響き渡るのだ。
監督名と思われる最後の文字列が宇宙の彼方に消え去るまで、じーっと待ち続ける映像。
そして物語の設定が重厚な声質のナレーションによって語られる。
・・・のだが、このナレーションが長い。3~4分、いやもっとか・・・しかもその間、これはアニメ映画か?と思わせる二次元感溢れるCGによる宇宙空間や惑星の映像ばかり。なんでもいいから早く本筋に入ってくれ・・・と思ったら、宇宙を司る王宮が映るのだが、もろビデオ撮りな画質と、狭い室内と、少ない人数と、チープなセットでずっこける。
それはさておき、舞台はとある惑星に移り、そこで主人公アーリャマーン(ルーク・スカイウォーカーっぽい服を着ている)と、その師と思われるアレック・ギネスのオビワンっぽい人物がライトセーバー的な武器で戦っている。2人の戦いを固唾をのんで見守るギャラリーたち。全員直立不動なのが気になる。その中に、黒くて小さいC3POみたいなロボットもいる。
その金属感に乏しいボディとか、管に腕通してるだけっぽい造形。ひょっとして1939年の「オズの魔法使い」のブリキの木こりへのオマージュかと相当好意的かつ強引に解釈することもできなくはないが、恐らくは予算とか納期とかモチベーションとかの問題にすぎず、本当はC3POにしたかったのだろう。
闘いが終わり、よくぞ師を超えた・・・とオビワンっぽい師匠からほめられるアーリャマーン。
設定では「25歳」なのだが、でっぷりした中年太りを思わせる体格をはじめとした見た目的印象では40歳くらいに見える。
しかしアカデミー賞受賞作「ブレイブハート」の主人公も20歳くらいの設定なのにメル・ギブソンが演じていたのだし、年齢的ギャップについて突っ込むのはよそう。とは言うものの、人口10億のインドにはもっと他にイケメンがいるだろうと思うのだが・・・
師匠はアーリャマーンに彼の出生の秘密を伝える。・・・のだが、ここからまた長ーい説明台詞が始まり、しかもその間、師匠とアーリャマーンは直立不動の立ち話による状況説明を続ける。なんて豪快な演出なんだ。
さらに回想シーンになるのだが、回想シーンだけで30分くらいある豪勢さだ。
アーリャマーンは宇宙を司る王の2人の妻の片方の息子であった。もう片方の妻の子供は尻尾と角が生えていて凶暴だったので牢に入れられてしまった。それを快く思わない王女と側近はアーリャマーン暗殺を企むのであった。
「マッサージ師にこの毒をアーリャマーンの母の乳房に塗るよう命じたわ。これで乳を飲んだアーリャマーンは死ぬわ」と自信たっぷりに暗殺プランを語る悪い王女。ところが場面が変わるともうマッサージ師がアーリャマーンの母に「この毒を塗れと命じられたのです」と即効ゲロってる。悪者王女の人望の無さが露呈された。
暗殺計画を知ったアーリャマーンの母は、前述のチープなC3POにアーリャマーンを託し、王宮から脱出させる。一方で救世主と予言されるアーリャマーンを恐れる別の悪者は暗殺ロボットを送り込む。
この暗殺ロボ、1970年代には欧米や日本で使われなくなった、「直角&直線的な動きでロボらしさを表現する演出」が堂々と使われ不気味さを醸す。アーリャマーンを抱きかかえるC3PO型ロボを発見するや、見た目1~2mの距離でビームを発射するが3POにことごとくかわされる。
3POは宇宙船で脱出。それを追う暗殺ロボも宇宙船に乗って・・・まではいいとしても、2人ともデザインも色も全く同じ宇宙船でチェイス&バトルするものだから、どっちが有利なのかさっぱり判らず。
一機が撃墜されるが、撃墜の瞬間に操縦するロボの「しまった!!!」というような表情でも見せればいいのに、CGバトル映像がしばらく続いてドッカーンだから、どっちが勝ったのか判らない。もちろんストーリー的にアーリャマーンの筈はないのだけど。
そんな長い長い回想シーンの末、アーリャマーンは父と母がピンチに陥った事をテレパシーかニュータイプ的勘で知るに至り、師匠が止めるのも聞かず宇宙艇で飛び出すのであった。
それからも、立ち話の長い説明台詞や、「あなたはあの時の」的説明のためにワンシーン丸々くり返す・・・などの常識ハズレな演出が色々飛び出すのだが、省略。
さて王宮は角&尻尾生えた悪者王子とその母に乗っ取られ、かつてアーリャマーンに刺客ロボを差し向けた悪者も黒幕としてしたい放題状態。アーリャマーンの母と王は炭坑労働者として奴隷労働に従事していた。父母を助けるため炭坑労働者に変装するが悲しいくらい違和感のない宇宙のヒーロー・アーリャマーン。
25年ぶりに母と再会する時のカメラが凄い。
見つめ合う2人の顔を交互にズームしながら、5回も6回も繰り返し写す。なんて凄まじいモンタージュ。
そしてアーリャマーンは敵の城に乗り込む。
目と口のついたデススターみたいな宇宙要塞だ。
アーリャマーンは見張りの兵にすぐ見つかり、包囲されてしまう。
10数人の敵兵は一斉にビームを撃つが、アーリャマーンは全弾ライトセーバーではね返す。その時の映像はアーリャマーンが5~6人に分身したかのような映像なのだが、きっと素早く動いた残像でそう見えることを訴えたかったのだろう。剣さばきが鈍いので早く動いているように見えないのが残念だ。
あるいは、スーパースター性を強調するため一画面に分身を配置する「ムトゥ踊るマハラジャ方式の演出」を応用したのかもしれない。いずれにせよ、そのショッキングな映像は観るものにかるい目眩を感じさせるくらいのインパクトがあったことは確かだ。
そしてアーリャマーンの反撃だ。ここで初めて知るのだが彼の持つライトセーバー的武器はスター・ウォーズやガンダムの影響ですっかり斬撃系の武器だと思い込んでいたが、どうやら「光るこん棒」と呼ぶ方が相応しい武器らしく、アーリャマーンのライトセーバー攻撃を食らった敵は斬られずにぶっ飛ばされる。「るろうに剣心」の逆刃刀の宇宙版みたいなものだったのかもしれない。そう思って先ほどの分身攻撃シーンを観たら「壱 弐 参 肆 伍 陸 漆 捌 玖」と文字が浮かんでくるかも知れないと思ったがそんなことはなかった。
そして敵ボスとの決戦となるが、ボスの攻撃で吹っ飛ばされカプセル的なものにスポっと入ってしまったアーリャマーンは、ブシュウッッッと吹き出す煙にまかれ体が石のように凍らされてしまう。特にその装置の説明はなかったが「詳しくは『スター・ウォーズ帝国の逆襲』のハン・ソロに聞いてくれ」と敵ボスの目は語っていた。
そして動けなくなったアーリャマーンに、敵ボスは要塞兵器を使って惑星を破壊する様を見せつけるのだった。
そこで第一部完!!!!!
DVDプレーヤーのカウンターをみると、1時間15分しか立っていない。そのうち5分はナレーション、15分は説明台詞。5分は念入りな繰り返し演出。
インドの会社員はミーティングや会議でメモも議事録もとらずみんな記憶してしまう・・・と聞いたことがあるが、それほど記憶術に長けたインド人民に対してあの演出はバカ丁寧過ぎやしないだろうか。
とりあえず続編は観なくていいやと思ったが、観れば心にこびり付いて離れないこと請け合いの本作。機会があれば是非一度観ていただきたい。
「♪アーリャマーン!!♪」と主題歌をつい口ずさんでしまう自分を発見できるぞ。
小惑星群の中を戦闘艇が突き抜けるシーンのカット割りが「帝国の逆襲」そのまんまだったのがファン心をくすぐったことを付け加えておく。
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