挽歌シリーズのキャラはみな魅力的だ。ホーもキットもルンもキンさんもジャッキーも黒めがねもシンも(1作目の悪役)も1作目でジョン・ウーが演じた台湾の警察幹部も・・・・
しかししかし、どんなにティ・ロンが苦悩しても、レスリーがマゾナル全開でもディーン・セクが半狂乱になっても・・・
やはりユンファの魅力にはかなわない
この男、はっきりいって格が違う
ユンファが演じた1作目のマークも、2作目のケンも、シナリオ的には脇役でしかない。ストーリーを牽引するわけではなく、ホーとキット、あるいはルンのドラマの中に勝手に割り込んできて大暴れして消えていくキャラだ。
にもかかわらず、挽歌シリーズはユンファの代表作であるし、他のキャラを喰いまくっている。
なぜか??!!
簡単なことだ。
ユンファという男は何をやっても様になるのだ。
おいおい何をやってもとは言いすぎだろ・・・二丁拳銃ぶっ放したり、スーツびしっと着こなしたりするのがかっこいいだけだろ・・・
・・などと思われるかもしれない
しかし、しかし、事実なのだ。
論より証拠
床に落ちたチャーハンを食っても様になる
ライターの火を吸い込むという意味不明な行動も様になる
必要性も必然性も全くない親指ゼスチャーなどの小芝居も様になる
半生をアメコミ調にデフォルメされた絵で綴られても様になる
穴の開いたコートを着ても様になる
爆発にマジびびりしても様になる
もちろん二丁拳銃は世界で一番様になる男だが
勢い余って、階段逆さ滑り降り二丁拳銃大乱射をしても様になる
すごく尾てい骨に悪そうな撃ち方・・・それ以前にあんなんで弾が狙った相手に当たるんだろうか?
・・・まさに何をやっても様になる、無敵の男だ。
挽歌2はユンファの大スターっぷりを堪能できるユンファファン上級者向けの最高の逸品だ。
いくつか、ポイントを押さえて挽歌2のユンファの素晴らしさを語ってみたい。
------------
【挽歌2ユンファ その一 「双子の弟」】
この映画でユンファは開始からたっぷり三十分以上たってから登場する。
ていうか前作で死んでいる男をどうやって出すのか・・・と思っていたら
強引な解決方法によってユンファは復活する
双子の弟である。
この作品以降、双子の・・・というシチュエーションだけで(俺は)笑えてくる
ホーは死んだマークの人生を絵に描いている男と会う(なんなんだよ、そいつ・・・)
彼のアトリエにはマークの絵と彼の遺品の数々(マークオタクかあの絵描き・・)
そして衝撃的な写真
・・・こ・・これは、そっくりじゃないか!!??とびびるホー。
絵描きはマークの双子の弟ケンについて語りだす。
彼はマークに負けずガッツがあり仲間に慕われ、NYで中華料理店を営んでいる。そういえばついさっきルンさんをNYに逃がしたばかりだったホーは、渡りに船とばかりに面識のないケンに電話をかける
普通の映画なら、ふざけんな!!という展開だが、みんなの大好きなユンファに、その強引な設定のおかげでまた会えるのかと思うと、うれしくてうれしくてたまらなくなる。
ユンファだからできた設定である!!
余談
何年か前ファン待望の「男たちの挽歌1&2」のサントラCDが発売された。とはいえ、オリジナルスコアは消失しているらしく(DVD再販時にサントラを作ろうとしたがマスターがないため断念したらしい)、ややヘボげなアレンジのスコアだが、それでも挽歌ファンには涙もののアルバムだった。
発売元は聞いたことない会社で、解説もついてなく、当然のことだがレスリーの歌う主題歌も、挽歌1でマークが女を抱きながら鉢植えに銃を隠すシーンの曲も収録されていない(そのくせ挽歌1で子供たちが歌う合唱とかいらない曲は入ってる)
それはともかく、そのサントラは9800円のデラックス版もつくられ、デフォルメ・ユンファ人形とか、公開時の宣伝用スチルなどのおまけが付いていた。
私はもちろんデラックス版を買ったのだが、そのおまけの一つに、上記の子供時代の双子ユンファの写真がついていた。
・・・・意味わかんねー・・・と思ったものの挽歌2ファン的には面白いおまけであった。センスがあるんだかないんだか・・・
【挽歌2ユンファ その二 「チャーハン」】
さて、NYのシーン。ついにユンファ登場。おそらく香港の映画館では拍手と歓声があがったであろう。
中華料理店では、黒いコートにサングラスにマッチ棒をくわえたチンピラたちがたむろしている。彼らは「マークさんの真似だよ」と言う。
なんだって、たかが香港の黒社会の一構成員の姿かたちが遠くNYにまで鳴り響いているのか?さっぱりわからないが、マークはNYでも大人気だということがわかる描写だ。
その店に白人のマフィアがやってきて、チャーハンがまずいといって撒き散らす。
店長ユンファは笑いながらマフィアと話し合いを始める。
ここから、ユンファの長い長い名台詞が始まる。
(にこにこ笑って)料理がまずいのか?
俺はうまいと思う
食べてみるか? イヤか?
あんたたちは米の有り難さを知らん
でも俺たちには米は自分の親と同じなんだ
(急に怒って)親を粗末に扱うな!! あ? あ?
(泣き出す)おお、おおお
俺の心は傷ついたぜ
これじゃ米がかわいそうだ
(激怒)一辺の良心があれば
今すぐその米に謝れ!
・・・で、そのあげく銃撃になり、ジョン・ウー大好きの三つどもえ至近距離拳銃突きつけあいになり、白人にばら撒いたチャーハンを無理やり食わせる(東洋人的に優越感に浸れるシーン)
笑って、泣いて、怒って、銃撃・・・と、とても忙しい演技を見せるユンファ。この超印象的なシーンで、ティ・ロンもレスリーもディーン・セクも頭の中から消し飛んでしまう。
しかもこのシーン、本筋のストーリーと全く関係ない
【挽歌2ユンファ その三 「ライターの火を吸う」】
挽歌2において、ユンファは何度か「ライターの火を吸う」という意味不明な行動をとる。
ウーは何故そのような演出をつけたのか?
前作「男たちの挽歌」においてユンファが演じたマークは、再三にわたり「マッチ棒をくわえる」という行動をとった。これはこれで考えてみれば意味不明なんだが、しかししびれるほどにかっこよかった。敵を撃ち殺した後にくわえたマッチ棒をはき捨てるのもまたかっこよかった。
きっと香港中の若者たちが「マッチ棒くわえ」の真似をしたのだろう。
さて、続編の制作が決まり、プロデューサのツイ・ハークは、マークの双子の弟であるケンにも「マッチ棒くわえ」に匹敵するようなかっこいい「癖」をつけることを求めた。
ジョン・ウーはユンファに言う「・・・というわけなんだがユンファ君。何かいい考えはないかね?」
「明日までに考えてきます」とユンファ。
翌日、目を赤く腫らして徹夜で考えてきたことが明白なユンファはジョン・ウーのもとに駆けつける
「ウーさん。こんなのどうでしょう!!」
シュゴゴゴォォォォォ・・・・
「それだ!!それだよ!!ユンファ君」
こうしてマークの双子の弟ケンにもインパクトある癖が付けられたが、それを真似する香港の若者はどれほどいただろう
・・・もちろん以上の記述は、何の根拠もない私の想像である。しかし、いい線いってるんではないだろうか・・・・
ちなみにこのライターの炎吸引であるが、実際やってみると結構熱くて勇気がいる。
特に小さな子供は真似しないでほしい。
-----------
すげー長くなりそうなので、続きは別記事にしたい
************
『男たちの挽歌2』出演者別映評
<序章 デジタルリマスター版を批判する>
<第一章 ティ・ロン(ホーさん)編>
<第二章 レスリー(キット)編>
<第三章 ディーン・セク(ルンさん)編>
<第四章 ユンファ(ケン)編の前編>
<第四章 ユンファ(ケン)編の後編>
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しかししかし、どんなにティ・ロンが苦悩しても、レスリーがマゾナル全開でもディーン・セクが半狂乱になっても・・・
やはりユンファの魅力にはかなわない
この男、はっきりいって格が違う
ユンファが演じた1作目のマークも、2作目のケンも、シナリオ的には脇役でしかない。ストーリーを牽引するわけではなく、ホーとキット、あるいはルンのドラマの中に勝手に割り込んできて大暴れして消えていくキャラだ。
にもかかわらず、挽歌シリーズはユンファの代表作であるし、他のキャラを喰いまくっている。
なぜか??!!
簡単なことだ。
ユンファという男は何をやっても様になるのだ。
おいおい何をやってもとは言いすぎだろ・・・二丁拳銃ぶっ放したり、スーツびしっと着こなしたりするのがかっこいいだけだろ・・・
・・などと思われるかもしれない
しかし、しかし、事実なのだ。
論より証拠
床に落ちたチャーハンを食っても様になる
ライターの火を吸い込むという意味不明な行動も様になる
必要性も必然性も全くない親指ゼスチャーなどの小芝居も様になる
半生をアメコミ調にデフォルメされた絵で綴られても様になる
穴の開いたコートを着ても様になる
爆発にマジびびりしても様になる
もちろん二丁拳銃は世界で一番様になる男だが
勢い余って、階段逆さ滑り降り二丁拳銃大乱射をしても様になる
すごく尾てい骨に悪そうな撃ち方・・・それ以前にあんなんで弾が狙った相手に当たるんだろうか?
・・・まさに何をやっても様になる、無敵の男だ。
挽歌2はユンファの大スターっぷりを堪能できるユンファファン上級者向けの最高の逸品だ。
いくつか、ポイントを押さえて挽歌2のユンファの素晴らしさを語ってみたい。
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【挽歌2ユンファ その一 「双子の弟」】
この映画でユンファは開始からたっぷり三十分以上たってから登場する。
ていうか前作で死んでいる男をどうやって出すのか・・・と思っていたら
強引な解決方法によってユンファは復活する
双子の弟である。
この作品以降、双子の・・・というシチュエーションだけで(俺は)笑えてくる
ホーは死んだマークの人生を絵に描いている男と会う(なんなんだよ、そいつ・・・)
彼のアトリエにはマークの絵と彼の遺品の数々(マークオタクかあの絵描き・・)
そして衝撃的な写真
・・・こ・・これは、そっくりじゃないか!!??とびびるホー。
絵描きはマークの双子の弟ケンについて語りだす。
彼はマークに負けずガッツがあり仲間に慕われ、NYで中華料理店を営んでいる。そういえばついさっきルンさんをNYに逃がしたばかりだったホーは、渡りに船とばかりに面識のないケンに電話をかける
普通の映画なら、ふざけんな!!という展開だが、みんなの大好きなユンファに、その強引な設定のおかげでまた会えるのかと思うと、うれしくてうれしくてたまらなくなる。
ユンファだからできた設定である!!
余談
何年か前ファン待望の「男たちの挽歌1&2」のサントラCDが発売された。とはいえ、オリジナルスコアは消失しているらしく(DVD再販時にサントラを作ろうとしたがマスターがないため断念したらしい)、ややヘボげなアレンジのスコアだが、それでも挽歌ファンには涙もののアルバムだった。
発売元は聞いたことない会社で、解説もついてなく、当然のことだがレスリーの歌う主題歌も、挽歌1でマークが女を抱きながら鉢植えに銃を隠すシーンの曲も収録されていない(そのくせ挽歌1で子供たちが歌う合唱とかいらない曲は入ってる)
それはともかく、そのサントラは9800円のデラックス版もつくられ、デフォルメ・ユンファ人形とか、公開時の宣伝用スチルなどのおまけが付いていた。
私はもちろんデラックス版を買ったのだが、そのおまけの一つに、上記の子供時代の双子ユンファの写真がついていた。
・・・・意味わかんねー・・・と思ったものの挽歌2ファン的には面白いおまけであった。センスがあるんだかないんだか・・・
【挽歌2ユンファ その二 「チャーハン」】
さて、NYのシーン。ついにユンファ登場。おそらく香港の映画館では拍手と歓声があがったであろう。
中華料理店では、黒いコートにサングラスにマッチ棒をくわえたチンピラたちがたむろしている。彼らは「マークさんの真似だよ」と言う。
なんだって、たかが香港の黒社会の一構成員の姿かたちが遠くNYにまで鳴り響いているのか?さっぱりわからないが、マークはNYでも大人気だということがわかる描写だ。
その店に白人のマフィアがやってきて、チャーハンがまずいといって撒き散らす。
店長ユンファは笑いながらマフィアと話し合いを始める。
ここから、ユンファの長い長い名台詞が始まる。
(にこにこ笑って)料理がまずいのか?
俺はうまいと思う
食べてみるか? イヤか?
あんたたちは米の有り難さを知らん
でも俺たちには米は自分の親と同じなんだ
(急に怒って)親を粗末に扱うな!! あ? あ?
(泣き出す)おお、おおお
俺の心は傷ついたぜ
これじゃ米がかわいそうだ
(激怒)一辺の良心があれば
今すぐその米に謝れ!
・・・で、そのあげく銃撃になり、ジョン・ウー大好きの三つどもえ至近距離拳銃突きつけあいになり、白人にばら撒いたチャーハンを無理やり食わせる(東洋人的に優越感に浸れるシーン)
笑って、泣いて、怒って、銃撃・・・と、とても忙しい演技を見せるユンファ。この超印象的なシーンで、ティ・ロンもレスリーもディーン・セクも頭の中から消し飛んでしまう。
しかもこのシーン、本筋のストーリーと全く関係ない
【挽歌2ユンファ その三 「ライターの火を吸う」】
挽歌2において、ユンファは何度か「ライターの火を吸う」という意味不明な行動をとる。
ウーは何故そのような演出をつけたのか?
前作「男たちの挽歌」においてユンファが演じたマークは、再三にわたり「マッチ棒をくわえる」という行動をとった。これはこれで考えてみれば意味不明なんだが、しかししびれるほどにかっこよかった。敵を撃ち殺した後にくわえたマッチ棒をはき捨てるのもまたかっこよかった。
きっと香港中の若者たちが「マッチ棒くわえ」の真似をしたのだろう。
さて、続編の制作が決まり、プロデューサのツイ・ハークは、マークの双子の弟であるケンにも「マッチ棒くわえ」に匹敵するようなかっこいい「癖」をつけることを求めた。
ジョン・ウーはユンファに言う「・・・というわけなんだがユンファ君。何かいい考えはないかね?」
「明日までに考えてきます」とユンファ。
翌日、目を赤く腫らして徹夜で考えてきたことが明白なユンファはジョン・ウーのもとに駆けつける
「ウーさん。こんなのどうでしょう!!」
シュゴゴゴォォォォォ・・・・
「それだ!!それだよ!!ユンファ君」
こうしてマークの双子の弟ケンにもインパクトある癖が付けられたが、それを真似する香港の若者はどれほどいただろう
・・・もちろん以上の記述は、何の根拠もない私の想像である。しかし、いい線いってるんではないだろうか・・・・
ちなみにこのライターの炎吸引であるが、実際やってみると結構熱くて勇気がいる。
特に小さな子供は真似しないでほしい。
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すげー長くなりそうなので、続きは別記事にしたい
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『男たちの挽歌2』出演者別映評
<序章 デジタルリマスター版を批判する>
<第一章 ティ・ロン(ホーさん)編>
<第二章 レスリー(キット)編>
<第三章 ディーン・セク(ルンさん)編>
<第四章 ユンファ(ケン)編の前編>
<第四章 ユンファ(ケン)編の後編>
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
少なくとも日本中に2人はこの連続シリーズ映評を楽しみにしてくれる人がいてうれしいです。
次回で最終回ですが、そのうち挽歌1とか、他のジョン・ウー作品やユンファ作品の映評をアップしますので、ご期待ください。
いつになるかわかりませんが・・・
チャーハンはユンファも旨い旨いと床に落ちたのを食ってるくらいだからほんとに旨いんでしょう
双子の写真は・・多分本物ユンファの子供時代だと思います・・・
>ユンファだからできた設定である!!
納得です。どこの映評をみてもマジつっこみはなく皆一様に暖かい笑いでこの無理な設定を受け容れているのはひとえにユンファの力、ですね。
アメコメ伝記も意味不明ですが彼なら伝説になってもいいかと思ってしまいます。
双子の写真は本物のユンファの写真ですか?
後編で終わってしまうのはさみしいですがUPお待ちしています。
<爆発にマジびびりしても様になる
に特に爆笑しました。このシーンをまた見直してみます!
あのチャーハン、パラパラで美味しそうでした。