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ツリー・オブ・ライフ 【監督:テレンス・マリック】

2012-04-08 16:06:29 | 映評 2011~2012
個人的評価: ■■■■□□
[6段階評価 最高:■■■■■■、最悪:■□□□□□]

(観賞したのは2011年の公開時、劇場で)

名匠テレンス・マリックの新作「ツリー・オブ・ライフ」は、ブラッド・ピット主演でカンヌのパルムドール受賞という看板を引っさげて日本公開された。
そしてその年の第84回アカデミー賞では作品賞と監督賞にノミネート。
みんなこの映画が好きなんだな~っと思っていたが・・・
アカデミー賞の授賞式で、ビリー・クリスタルが、彼が司会の時は恒例の、歌って作品賞候補紹介の中で、「ツリー・オブ・ライフ」をこんな感じに紹介していた
「難解すぎるよ監督。だれかこの映画の解説をして~」場内は爆笑。

・・・やっぱりそうか。まあ、そうだよね。

ただビリー・クリスタルが言うほどにはこの映画は難解とは思わない。言いたい事も伝えるための方法もその良さもなんとなくわかる。問題なのはどう考えてもやりすぎ感で、むしろ酒飲みながらみんなでひゃっほうと盛り上がる方が向いている映画だ。

厳格な父と慈愛の母は神の二面性を象徴する。
その両者に対する少年の態度は神への反発に他ならない。
そして神という名の宇宙の意思が描かれる。
進化論の前提に描かれるからキリスト教的価値観ともちょっと違う。太古の昔から宇宙も地球も個人に対してと同じように宇宙の意思によって、破壊と慈悲をくり返す。
時代も場所も超えて隅々に行き渡る宇宙の意思。宇宙誕生という超マクロから個人という超ミクロまで、全ての生命を支配し同時に慈しむ神。

けどもやっば、宇宙誕生から始まる壮大すぎるにも程があるCGスペクタクルは笑うしかあるまい。
隕石衝突、恐竜が闊歩といろんなハリウッド映画を一気に見たようなイメージシーン。それでいて10分くらい(もっと?)延々続く、何故にそこまでと理解不能。
さらに言えば使われる映像にもちょい違和感で、馬頭星雲を宇宙の誕生か破壊かなんかの象徴に使うのもうーんだし、時系列的に地球創世時の生命を映すべき場面でシュモクザメの群れを映してもただの現代の海じゃんとか色々映像選定に対し突っ込みどころがある。
マジックアワーだけで映画を撮るなんて超アナログな美しさを追求していた監督がデジタル遊びで恐竜と戯れている姿が見えてきて、・・・笑っちゃう。
そんな壮絶な宇宙ショーのあとは、少年の反抗物語が続く。ここも母ちゃんのドレス盗む程度のことで荘厳な音楽かかったりしてなんか笑えたんだけど、なんとなく湿っぽい映像とか役者たちの自然な表情の到達をじっと待っていたかのようなカメラと編集とで、人々を傍観する神的視線は崩れず、なかなかに心地いい。

ところが終盤でまたゴゴゴゴゴと宇宙がモンタージュされた時、もう声を出して笑うしかなかった。

観ている間も見終わった直後も壮絶すぎるポカーン体験だったが、人に話すとなんか面白い映画。
「天国の日々」を超えたカルト名作として語り継がれていくかもしれない

[追記]
テレンス・マリックの「シン・レッド・ライン」は大好き。90年代のベスト3にあげたいくらい。
「天国の日々」ももちろんよかった。
「地獄の逃避行」マーティン・シーンがジェームズ・ディーンオタクな謎の映画。
「ニュー・ワールド」は正直つまんなくて
そんな印象。

「シン・レッド・ライン」の時もアカデミー賞授賞式は欠席だったが、今回もやはり欠席。
アカデミー授賞式のノミネート監督紹介の時には「シン・レッド・ライン」の時と同じ写真が使われ、ぶっちゃけ他の写真を見た事ない。
この写真↓

テレンス・マリックなる人物はとっくに死んでいるか始めから存在していなくてハリウッドの虚構だという都市伝説を聞いた事がある。

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ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円


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