今日は、駿台ニュージャージー校です。
何年か前になりますが、下図における角㋐と角㋑の和を求めよという問題がどこかの中学で出題されたことがありました。この問題はその後、いくつかの中学で少しずつ手直しされて出題され一時期、けっこう流行(?)したような記憶があります。
小学生が解く場合には直角二等辺三角形を作り、㋐+㋑=45°(下図参照)
と答えを出すのが一般的でしょう。
しかし、高校で三角関数の加法定理を学習した高校生ならば
tan(θ+φ)=(tanθ+tanφ)/(1-tanθ・tanφ)
の利用を思い浮かべるでしょう。これを利用すれば
tan(㋐+㋑)=(1/2+1/3)/(1―1/2×1/3)=1
よって0°<㋐+㋑< 90°より㋐+㋑=45°
と出てきます。
複素数の偏角を利用した解法に気付く人も多いでしょう。複素数の偏角は高校の学習内容から削られたり復活したりと忙しい単元ですが、自学自習できる内容ですから知っている高校生は多いと思います。与えられた図から角㋐は複素数2+iの偏角、角㋑は複素数3+iの偏角とみなすことができます。複素数の偏角についてはα、βを複素数として次の関係
arg(αβ)=argα+argβ
が成立しますから、それを利用できるのではないかと考えるのもまた、自然な発想だと思います。
α=2+i β=3+i とおくとαβ=(2+i)(3+i)=5+5i
5+5iの偏角はπ/4つまり45°ですから 角㋐+角㋑=45°
以上、紹介しました3通りの解法で最初の解法が離れ業的な印象を受けるのに対し後の2通りの解法は基本的で、それぞれの学習単元での適切な練習問題となっているように思います。小学生にとっては奇問でも高校生にとっては良問と言ってもいいでしょう。中学受験で苦い思い出を持つ中高生もいるかと思いますが、中学入試の問題には中学や高校で学習する内容の練習問題として適切な問題も多くあります。過ぎたものとして片付けるのではなく、ぜひ時折覗いてみましょう。きっと意外なおもしろい問題に出会えるかと思います。 駿台NJ校 S.K.