以下は前章の続きである。
スワップ協定は果たして必要か
日本人は米国のこの本気度をどの程度、理解しているだろうか。
米中貿易摩擦が単なる経済問題でないことはみんな分かっているだろう。
*NHKのwatch9の有馬と桑子は、当初、必死になって、単なる貿易戦争であるかのように報道しつづていただけではなく、トランプ大統領を世界の平和を乱す悪者扱いして報道し続けていた事は、慧眼の士の視聴者は皆、明瞭に記憶しているはすである。あの有馬と桑子の態様は彼らとNHKの報道部を支配している連中が完全に中国の工作下にある事の紛れもない証明だったのである*
世界史に新たにわき起こった覇権争奪戦、人呼んで百年戦争の勃発であるともいう。
米国は留学生の受け入れまですでに大幅に制限し出している。
体制を等しくする同盟国には当然、同じ姿勢が求められるだろう。
それが理解できないで、肝心なところで中国に同調する個人ないし企業は、米国に反逆する者として制裁を受けることになるであろう。
このような折も折、わが国はとんでもないことを引き起こした。
ペンス演説を政府の要人が読んでいなかったとはまさか思えない。
強い警告が出されていたのを承知で、日本政府は安倍晋三首相訪中により対中接近を図った。
3兆4千億円の人民元と円のスワップ協定を結んだ。
外貨が底を尽きかけた中国でドルの欠乏をさらに加速させるのが米国の政策である。
これは習近平独裁体制への攻撃の矢である。
日本の対中援助は米国の政策に弓を引く行為ではないか。
谷内正太郎国家安全保障局長が弁解に訪米したというが、詳報はなく、日米間に不気味な火薬を抱えたことになる。
反トランプ勢力の中にも中国批判は強まっている昨今、「日本は何を勘違いしているのか」という声が米政府外縁から上がる可能性は高い。
米中戦争の開始とともに日本が反米へのかじを切ったと騒ぎ立てるだろう。
日本の財務省は、スワップ協定は日銀が人民元を使える自由を広げ、企業と銀行を助け、日本のためになる政策であって対中援助ではないと言っているが、詭弁も甚だしい。
そもそも人民元が暴落しかけているさなかに、しないでもいいスワップ協定を結ぶのは欠損覚悟なのか、不自然である。
対中接近は政治的な誤りである
私はいま遠くに考えを巡らせている。
尖閣が危うくなり南シナ海の人工島が出現してから、私はアジアと日本の未来に絶望し始めていた。
米軍の力の発動をひとえに祈るばかりだったが、オバマ大統領時代には期待は絶たれていた。
トランプ大統領がやっと希望に火をともした。
しかし人工島を空爆して除去することまではすまい。
半ばヒトラー政府に似てきた習近平体制を経済で揺さぶり、政権交代させるところまでやってほしい。
ペンス演説はまさにそのような目標を掲げた非軍事的解決の旗である。
日本経済はそのためとあれば犠牲を払ってでも協力すべきである。日本の国家としての未来がここにかかっている。
朝鮮戦争のとき世論に中立の声(全面講和論)は高まったが、日本の保守(自民党)は米ソ間で中立の旗を振ることは不可能なだけでなく危険があると判断し、米国側に立つこと(多数講和)に決した。
2大強国の谷間にある国は徹底して一方の強国を支持し、二股をかけてはいけない。
今回の日本の対中接近は政治的に間違っている。
ただしスワップ協定は条約ではないので、日本はすぐにでもやめれば、なんとか急場をしのぐことはできるだろう。
(にしお かんじ)