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ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

 「春が近い」と告げる花

2013-03-04 08:10:34 | 日記





 春まだ浅い鄙(ひな)の里。

 雑木林の片隅で

 白く清楚に咲く花に

 マンサクの木がつぶやいた。



「お互い、こんな寒空で

 なんで咲かなきゃならないの」



 それに答える白い花。

「おやおや、今日はどうしたの?

 春が近いと告げるため

 ほかの花に先駆けて

 まだまだ寒いこの時期に

 きれいに咲くのがお役目よ。



 あなたも私と同じはず。



 あなたの黄色いその花は

 可愛く縮れて素敵だわ。


 私は小さな花だけど

 冷たい風など気にしない。


 私が咲くのを待ちわびる

 里びとたちが付けた名は

 季節を区切るセツブンソウ。



 たまには雪も降るけれど

 そんなのちっとも構わない。

 ほ~ら、足音、聞こえるわ。

 春の足音、聞こえるわ。」


 健気な森の妖精に

 光よ、やさしく降り注げ!