ここでの光とは主に可視光を指します。可視光は人体に全く無害であり、全ての生物
を生み、そして育てています。
1.光って何?
光とは人間の目を刺激して明るさを感じさせるものですね。この光は電磁波という
波の一種です。そして、粒子つまり「物」としての性質も持ちながらも質量(重さ)
を持たない不思議な存在です。すなわち波の形で前に進む重さのない粒子なので
す。波には振幅と波長があります。私たちが光の強さ(明るさ)を感じるのが振幅
で、色を感じるのが波長です。
2.光の速さは?
現在光より速いものは宇宙全体を見てもありません。光の速度は約秒速30万kmで
す。(1秒間に地球を7周半です)速度が一番早い理由は重さがないからです。
少しでも重さがあると高速になるほどその物質の重さが増すので、無限のエネル
ギーを加え続けなければ光速に近づけることはできません。それでも光速に近づ
くだけです。でも光は質量(重さ)がゼロなので、無限のエネルギーを加えなくとも
光速が出せるのです。
3.本当に光より速いものはないのか?
宇宙戦艦ヤマトの波動砲やタイムマシンなど、SF作品にはしばしば超光速を扱った
作品がありますが、実は最近になって、宇宙から届く不思議な素粒子が見つかり、
それを「タキオン」と名付けたとの報告がニュースになりました。
光よりもちょっとだけ速いというのです。でも、まだ正式には確認されていません。
これを利用すれば、SF作品の世界も現実性をもつことになります。
将来見つかるかもしれませんよ。
4.太陽光について
太陽の光は白色光のように見えますが、プリズム(ガラスの三角柱)で分けると、赤
から紫まで、きれいな虹色に分けることができます。実は太陽の光はたくさんの
色が混ざってできています。色の違いはその光の波の幅(波長)の度合いで決ま
り、波長が狭いほど紫色に近づき、広いほど赤色に近づくのです。
昼間の空が青い理由は光の色の性質の差にあります。頭上の太陽光が空気層を
通って私たちの目に届くまでに、空気中の小さい粒やちりに当たって、いろんな
向きに反射され拡散します。波長の短い紫系はちり以外にも空気中の窒素や酸素
分子に対しても反射されるために無限に拡散されて地上の私たちの目に届きませ
ん。また、波長の長い赤系は全てのものに反射されずに通り抜けて空に留まらな
いため、地上の私たちの目には空の色として認識されません。しかし、中くらい
の波長の青系は空気中の粒子やちりに反射された後、空中に拡散されて留まりま
す。これが繰り返されることで青い光が空じゅういっぱいに広がって見えるのです。
夕日が赤く見えるのは、夕日の太陽は地平線にありますから、太陽の光は私たち
の目に届くまでに、昼間より空気層の中を長く移動してきます。すなわち、太陽光
は空気中の粒やちりに当たる回数が昼間より多くなります。すると青い光は紫系と
同じように、私たちの目に届く前に拡散されて見えなくなります。その結果、太陽光
の中で波長の幅が最も広い(散りにくい)赤やだいだい色の光だけが空に留まり私
たちの目に届くのです。
5.宇宙論も光のスペクトルから
銀河の星の波長の分布(スペクトルと言います)を調べると、遠いところにある星ほ
ど、スペクトルが赤の方向にかたよっています。救急車のサイレンが、近づく時と
遠ざかる時で音の高さが変わる経験をしたことがあると思います。これは、音が空
気の振動の波であるために起きる現象です。一定の波を出すものが近づいてくる
時、聞いている者には(波長が短くなるため)音が高く聞こえ、遠ざかる時はこの
逆で、(波長が長くなるため)音が低く聞こえるのです。ドップラー効果と呼ばれ
る現象です。
光も波ですから星のスペクトルが赤い方、つまり波長の長い方にかたよっていると
いうことは、その星がものすごいスピードで遠ざかっていることを示します。そして、
遠い星ほど赤の方向へのかたよりが大きいということは、遠いものほどそのスピー
ドが速いということがわかるのです。このことから宇宙が膨張しているということが
考えられ、そして宇宙の始まりにビッグバンというできごとがあったという、現在の
宇宙論ができあがっていったのです。