がんばってるんだも～ん

　最近キヨちゃんは忙しい。お盆に向けて、とにかく少しずつ片づけしているのだ。使わない食器を、次々消毒し、梱包し直している。残念なことに、箱に書いている名前は相変わらず誤字だらけである。「大皿」ならぬ「大血」。ほんの少しの間違いだけれど、発泡スチロールのケースになんか入れているのだから、本当に保存血液のようだ。
　忙しいキヨちゃんは、とにかくお腹がすく。ご飯を食べ、間食をし、こっそり夜食も食べる。友だちが遊びに来たら、ちゃっかり友だちのパンも貰ってしまう。しかし、あまりに美味しそうに食べるので、つい許してしまうのである。
　家事をして、畑仕事をして、父の介護をする。そんなキヨちゃんだが、さすがに入浴などは恐くて出来ない。父の体調の良いときは、何とかなるのだが、気分が悪くなったらどうしようとか、転んだらどうしようとか思うので、とにかくせかしてしまうのだ。だから、入浴介助しても父にしてみればゆっくり入った気がしない。
　「今日、母ちゃんに、足の指の間まで洗うなと叱られた・・・。」
ある日、父がこうぼやいた。父にしてみれば、洗うのが雑で叱られるのは納得いくが、「洗うな」は納得出来ない・・・といったところだ。勿論、これは大いなる誤解で、キヨちゃんにしてみれば、そんなこまかな所を洗うほど「長湯」されたら、もしもの時一人では対処出来ないという心境なのだ。会話だけ聞いたら「くだらない喧嘩」である。
　しかし、今日戻ってみると、父はシャワー浴をしていた。父の体調がすこぶる良かったらしく、キヨちゃんがトライしたらしい。そして、余裕があったのか本日の介助は実に良かったらしく、父もご満悦だった。父がご満悦なら、彼女の自信に繋がり、こちらもご満悦だった。
　私としては、本心ちょっと心配なのだけれど、おおいに誉めておいた。ふたりとも！
だって、父は勿論、キヨちゃんも、ものすご～っく、がんばってるんだも～ん！！！

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