入院中、携帯にメモしていたワードが幾つかあった。退院してからそのメモを見て、???と思っていたのだが、それはキヨちゃんに関することだと思いだした。
私が入院して、ほとんど毎日友人が世話に来てくれていたので、キヨちゃんはたまに来る程度だった。それでも、初めの動けないうちは、心配してそばにいてくれたのだが、その間にも「キヨちゃんワールド」全開だったため、うんうん言いながらも、ついつい忘れるのが勿体なくてメモしたのだ。
その中の一つが、「お向かいの椅子」である。
おそらくどこの病院も似たり寄ったりだろうが、そもそも付き添いが何人も待機できるようにはなっていない。せいぜいベッドに一つずつ椅子があるくらいである。
だから、何人か面会があるとその病室の他の椅子を拝借する。もっとも他の患者さんに面会があれば、それはもう仕方ない。
キヨちゃんは小さいので、くりりんと面会に来ると、くりりんに椅子を勧めて、キヨちゃんは私のベッドの足元にちんまりと正座するのがお決まりだった。ただ、最初の内は私もきつい時期だったので、キヨちゃんもそれは出来なかったようだ。
ある日くりりんとキヨちゃんが面会に来た。ちょうどお向かいのおばあちゃんの面会者がいなかったので、椅子を借りることにしたのだが、キヨちゃんは何故か椅子を借りて持って来ずに、そのままお向かいのお婆ちゃんの隣に座ってしまったのだ。
くりりんは、
「お母さん、こっちに椅子を持ってきては・・・。」
と勧めていたのだが、くりりんと二人にしてやろうという親心があったとも思えないのだが、キヨちゃんはそのままお向かいにいた。
幸いと言うか、おばあちゃんは寝ていたのか気付かなかったのか、不審者扱いは受けなかったが、しばらくすると看護師さんがやってきた。
「すいません、術後の説明をしたいのですが・・・。」
と、当然その方の手術の説明をしようとしていた。
「えっと、ご家族ですか?」
看護師さんは聞いた。勿論、間違いがあってはいけないからでもあろうが、年齢的に家族としても微妙だったのだろう。
「いいえ。」
「え?じゃあ、お友達ですか?」
「いいえ。」
そこまで聞いて看護師さん軽くパニック。そりゃそうである。家族でも友人でもない面会者がなぜ座っている?
「えっと、それじゃあ・・・あの?」
そこで異変に気付いた私たちが、
「すいません!」
と声をかけるが、キヨちゃんは堂々と、
「私はすずしろです!」
と言い切った。
「あ、すずしろさんのご家族・・・。」
なら、何でこっちに座ってるんだ・・とは、彼女は聞かないでくれた。キヨちゃんは笑いながらこちらのベッドに戻ってきて、
「アハハ、看護婦さん母ちゃんがあの婆ちゃんの家族じゃと勘違いしとったなあ!」
と言い切った。
いや・・・、あなたのせいですがな。
ブログ 介護職へ" width="88" height="31">ここをクリックしてお立ち寄りください。
私が入院して、ほとんど毎日友人が世話に来てくれていたので、キヨちゃんはたまに来る程度だった。それでも、初めの動けないうちは、心配してそばにいてくれたのだが、その間にも「キヨちゃんワールド」全開だったため、うんうん言いながらも、ついつい忘れるのが勿体なくてメモしたのだ。
その中の一つが、「お向かいの椅子」である。
おそらくどこの病院も似たり寄ったりだろうが、そもそも付き添いが何人も待機できるようにはなっていない。せいぜいベッドに一つずつ椅子があるくらいである。
だから、何人か面会があるとその病室の他の椅子を拝借する。もっとも他の患者さんに面会があれば、それはもう仕方ない。
キヨちゃんは小さいので、くりりんと面会に来ると、くりりんに椅子を勧めて、キヨちゃんは私のベッドの足元にちんまりと正座するのがお決まりだった。ただ、最初の内は私もきつい時期だったので、キヨちゃんもそれは出来なかったようだ。
ある日くりりんとキヨちゃんが面会に来た。ちょうどお向かいのおばあちゃんの面会者がいなかったので、椅子を借りることにしたのだが、キヨちゃんは何故か椅子を借りて持って来ずに、そのままお向かいのお婆ちゃんの隣に座ってしまったのだ。
くりりんは、
「お母さん、こっちに椅子を持ってきては・・・。」
と勧めていたのだが、くりりんと二人にしてやろうという親心があったとも思えないのだが、キヨちゃんはそのままお向かいにいた。
幸いと言うか、おばあちゃんは寝ていたのか気付かなかったのか、不審者扱いは受けなかったが、しばらくすると看護師さんがやってきた。
「すいません、術後の説明をしたいのですが・・・。」
と、当然その方の手術の説明をしようとしていた。
「えっと、ご家族ですか?」
看護師さんは聞いた。勿論、間違いがあってはいけないからでもあろうが、年齢的に家族としても微妙だったのだろう。
「いいえ。」
「え?じゃあ、お友達ですか?」
「いいえ。」
そこまで聞いて看護師さん軽くパニック。そりゃそうである。家族でも友人でもない面会者がなぜ座っている?
「えっと、それじゃあ・・・あの?」
そこで異変に気付いた私たちが、
「すいません!」
と声をかけるが、キヨちゃんは堂々と、
「私はすずしろです!」
と言い切った。
「あ、すずしろさんのご家族・・・。」
なら、何でこっちに座ってるんだ・・とは、彼女は聞かないでくれた。キヨちゃんは笑いながらこちらのベッドに戻ってきて、
「アハハ、看護婦さん母ちゃんがあの婆ちゃんの家族じゃと勘違いしとったなあ!」
と言い切った。
いや・・・、あなたのせいですがな。
ブログ 介護職へ" width="88" height="31">ここをクリックしてお立ち寄りください。