心配時計

　うちのキヨちゃんは独自の体内時計を持っている。だいたいは、心配することから来るのだが、せっかちな性格から来る場合もある。
　私たち親子はだいたいが「思い立ったら吉日」型人間である。思いついたらすぐ行動しないと気が済まない。まあ、自分が動く分にはいいのだが、自分が思いついた時点で周囲も動いてくれないと気が急く。これは私も多分にあるのだが、キヨちゃんも多い。
　例えば夕飯の時間などに思いついて、何か昼間でなければ出来ない仕事を私たちに頼むとする。じゃあ、今度の休みに・・・とか、明日に・・・などと提案すると、
　「母ちゃんは言われたらすぐにして貰わな好かん。」
などと言いだす。・・・って、今聞いたがな・・・と言う話になるのである。
　さて、私の入院中、くりりんは仕事の後毎日見舞いに来てくれていた。来てから私の歯磨きや着替えを手伝い、洗濯物を入れ替えして帰っていた。
　当然帰る時間はそれ以降になるわけだが、ちょっとでも遅いとキヨちゃんが心配した。だから、くりりんが出た頃に電話するのだが、これが入浴などと重なってなかなか捕まらない。で、結局心配する。
　仮に捕まっても、車で３０分かかるというのに、キヨちゃんの計算では数分で戻ってくる予定になるので、
　「まだ戻らん。」
と心配の電話が良くあった。
　ある日、くりりんは仕事が休みだったので昼からずっと病院にいた。それはキヨちゃんも知っていた事なので、色々と言伝も貰ってきていた。
　その日は親戚の人が沢山たらの芽などを持ってきてくれていた（病院の方が近いので、渡しておけばくりりんが家に持って帰ると知っていたので）。いつもは、仕事帰りで遅くなるので、その日は早めに帰ってもらった。
　家に帰りついて、くりりんがたらの芽を渡してその日の私の様子などを伝える。キヨちゃんはそんな話を聞いた後、
　「ほんで、くりちゃん今からすずの所行くん？天ぷら揚げるけど。」
と言ったらしい。
　「いや・・・、さっきまで一緒にいて、今戻ってきたので。」
とくりりんが笑いながら言ったという。
　キヨちゃんの体内時計、これからどんな話をもたらすだろう。

＊白和えは味が薄くて失敗。鶏とレンコンのピリ辛炒めは好評。





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