旅の準備

　うちのキヨちゃんは鹿児島生まれだ。生家はもうないが、鹿児島と福岡には親戚がある。元々は1男６女の兄妹だったらしいが、今は米寿のお姉さんと妹とキヨちゃんの３人となってしまった。先日私が葬式に行ったのは、一番上のお姉さん（故人）の息子さんである。
　福岡の伯母さんは、元々はフットワークの軽い人で、よく私やキヨちゃんを訪ねてくれていた。だが、年齢的にも足腰が弱くなり、それに加えてメンタルも弱くなったので、今度はキヨちゃんが励ましに行かなくちゃと思っていたのだ。
　前にブログで、早く行っていればキヨちゃんの甥にも「生前に」会えたのに・・・と書いたが、当初鹿児島を訪ねて墓参りをし、今度亡くなった従兄を訪ね、福岡の伯母を訪ねて戻ると言う計画だった。
　本当は４月は忙しい月ではあるのだが、仕事に支障の出ないと思われる月初の土日を挟んで、３日間休みを取った。年齢的にも体力的にも、季節的にも「今でしょ」である。
　伯母にしても来客をもてなすのはしんどい歳である。キヨちゃんはリハビリを頑張っているが、長旅で歩く事は結構厳しい。だから、頑張ってもらうとしたら今しかないかもしれない。
　福岡の従兄に色々調べてもらい準備を始めた。まずは新幹線などの切符を押さえる。
　それから髪も何とかしたいし、行く前にはキヨちゃんの薬を貰いに病院へも行かなくてはだし、留守中のくりりんの食事の事なども考えなくちゃだし・・・。
　そしてキヨちゃんはキヨちゃんで、向こうでの段取り（泊めてもらう親戚とかご近所への挨拶とか墓参りの段取りとか）を相談して貰わなくてはならない。こればっかりは私ではダメだ。
　そんなこんなを相談していたら、キヨちゃんが、
　「行く前に一回草むしりをしてくれ。」
と言い出した。出来る日があればしないでもないが、
　「こらえてや。私も髪もしたいし、母さんの薬も貰わないかんし。切符も取りに・・・。」
と言うと、
　「え？行くのいつ？」
と呑気に言う。
　「２週間後（言った時はそうだった）。」
　するとびっくりしたキヨちゃん。
　「いかん！着て行くものが無い！」
・・・。私もである。これは、服を買いに行く・・・という予定も必要か？って、休みがないんですけど・・・。

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