食欲の秋

　今日はキヨちゃんの通院日。ちょうど、かかりつけに近所の人がリハビリ転院したと聞いたので、受診までの待ち時間にお見舞いに行こうと言う事になった。
　私はとりあえず、小説を３冊ほど全然タイプの違うものをチョイスして持参した。とりあえず、受付をしてキヨちゃんの血圧だけ測ったら、病棟に上がった。
　実は外来で、
　「面会は１４時～１９時なんです、基本。」
と言われたので、
　「一応声をかけて、もしダメならお見舞いだけ看護師さんに渡して戻ります。」
と言う事にした。
　さて、上に上がってインターホンを押す。何とまあ、凄いタイミングでドアの向こうをその人が松葉杖で歩いているじゃないか。思わず、大きく手を振る。それを見て「家族」か近しい人物と判断されたのか、特に何も言われずドアは開けられ、ばっちり面会する事が出来た。
　彼女は近所の娘さんで、思いがけず怪我をしてしまったのだが、足だけに非常に不便そうだった。リハビリも頑張っている様子。ただ、時間だけは「腐るほどある」と言うほどで、本当に退屈しているようだった。
　いい具合に面会も出来て、キヨちゃんもご機嫌だった。それから外来に戻り、予約時間より３０分ほどの待ち時間で受診。受診自体は特に変わりは無く、この前の入院について報告した程度だ。ただ、今回結局言いそびれた事がある。と言うか、まあ報告するほどでもない事なのだが、こんなことがあった。
　実は血圧が時々高い事がある。それを気にしたキヨちゃんが数ヶ月前に相談。それから毎日決まった時間に計ってノートに付けている。それを私が清書して通院日に医師に見せるのだが、大体は正常値だ。それがごく稀に高い日があって、
　「今日は母ちゃん150も160もあって、なかなか下がらんけん、畑休んだ。」
と言う日が２～３日あったと思う。ところが、昨夜清書していても高くても１４０くらいで、それ以上の日は無い。しかも時々空欄もある。
　そこでキヨちゃんに問いただすと、
　「高い日は下がるまで待って書いた。」
と言う。おいおい、意味無いし。そして「なんぼしても下がらん日」は空欄なわけだ。
　よほど報告しようかとも思ったが、そんな日は稀だし、ネタくらいにしかならないので報告せず。（言えば笑ってくれたかな～？）
　その後、お昼ご飯。キヨちゃんは醤油ラーメンとおにぎり。いや、キヨちゃんは本当に「親子丼」と「ラーメン」が好きだ。私はアジフライのランチ。おにぎりが２個あったので、さすがに食べきれず、
　「これはリュウにお土産に持って帰る。」
とラップに包んでカバンに入れていた。
　私も満腹で少しご飯を残すと、
　「すずが残すや珍しい。」
と笑われた。
　さて、病院を出て、キヨちゃんと野菜の苗と花の苗を観に行った。そこで幾つかの苗を買った後、リュウとくろべえの餌を買う予定だったが、
　「母ちゃん疲れたけん、車でおるけん、買うてきてくれ。」
と言う。それで、窓を全開にして、大急ぎで買い物して戻った。
　すると、
　「暑いわ～。傷んだらいかんと思うて。」
とリュウの為のおにぎりを食べているキヨちゃん。良い食欲です事・・・。
　家に帰りついて、洗濯物を片づけたら私は夕方まで寝てしまっていた。キヨちゃんも少し休んでいたが、私が目覚める頃には苗物を植えていた。
　う～ん、やはり真似出来ない。

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