中洲川端駅から程近く、博多川の川沿いにうなぎの『吉塚』はあった。
明治創業の老舗だときいていたので、店構え、しつらえも、古風な「うなぎ屋」さんを想像していたが、行ってみたら、なんと新しく建て替えられた3階建ての豪華な店構え。
地元の人は「鰻御殿」と呼ぶそうな・・・。
初代、徳安新助が鰻料理の専門店としてのれんをあげたのが、福岡市吉塚だった。
中洲に移り、今日に至っているとか。
お店は2階がテーブル席、3階は座敷で個室もあるようだ。
福岡ではいちばんの老舗で、誰でも知っている超有名店。
「親子3代通っています」というのはザラらしい。
まず、きも焼き(←画像)の一品をオーダー。
ワタクシ的には、うなぎで一番美味しい部位と信じて疑わず。
口に入れて一噛み、ぷるっとした食感、苦味、甘み、そして旨みが。
ことに辛口の日本酒と肝焼きの出会いもので、すこぶるる相性がよいのでは・・(←この日は後に予定があり、お酒は我慢)。
さて、うな重(特)をいただきました。
当店のうなぎは上段に蒲焼、下段にご飯、二重重ねの朱塗りの器に入れてあります。
ご飯にタレがかけられていないのが特徴です。
事前にタレが出てきます。
つけダレがあるケースは初めてです。
これにキモ吸いと香の物が付きます。
ふっくらとした焼き上がりと、香ばしい風味。
「串焼き三年、裂き八年、焼きは一生・・・・」
と云われるほど難しいのが「焼きの技術」です。
このブログで神戸・元町の「うな重」を紹介しましたが、『吉塚』のうなぎは黒こげのバリバリではありません。
一口でいえば、本来の「うなぎ」の味を感じました。
うなぎの味を最大限に引き出すために、『吉塚』では「こなし」という独自の技を加えているそうです。
つまり鰻を焼きながら、もみ、たたく、という「こなし」を取り入れてにじみ出た脂で表面がムラなく焼きあがり、
<うなぎ>そのものをふっくらさせています。
うなぎ屋さんにとって、タレは”財産”だといいます。
この店のタレ(←画像/左)はたしかに関西風で甘口ですが(←関東の方には物足りないかもしれませんが・・)、ふっくらと、カリッと焼きあがったうなぎに、よい感じで絡んでいます。
創業以来、門外不出の味だそうです。
ランチ時に寄ったせいか、店内はかなりの混雑。待ち時間約20分でした。
それと申し遅れましたが、『吉塚』のうなぎは腹開きにして、関東のように蒸さないそうです。
腹開きと背開きとどう違うのかワタクシにはわかりませんが、蒸しが入らない分、少し身が固いかなと思いましたが、口の中でほろリと崩れ、柔らかいのです。
関東のように蒸さないことで、うなぎの味がダイレクトに味わえる!!
これは1つの”発見”でもあったわけです。