

とんでもない長丁場のお芝居でした。
朝11時に始まって、お芝居がハネたのが夜の10時40分。
そう!『ヘンリー六世』(3部作)を1日がかりで観てまいりました。
疲れなかったと言えばウソになる。
でも、快適な疲れでした。
その感覚が体のどこかに今も残っています。
総勢38名の出演者。主役級は持ち役だけにしても、ひとりが3役~4役はざら。
延べ150人の出演者。空前絶後のシェイクスピア劇!!
稽古期間は2ヶ月半(通常新劇の場合は稽古期間は1ヶ月)。
まあ、このような大変革公演も新国立劇場でなければなしえない挑戦。
(画像は島次郎の『ヘンリー六世』舞台模型。 吊り物、照明によって全34場に変化。)
二つの薔薇よ、一方がしぼみ、他方を栄えさせるがいい!!
おまえたちが争えば、一千のいのちがしぼまねばならぬ!!
『ヘンリー六世』はシェクスピアが26歳のときに書いた3部におよぶデビュー作。
人間を、歴史を見るシェイクピアの才能の萌芽を、この頃から読みとれるんですね。
親しみやすい舞台
「ハムレット」とか「マクベス」などシェクスピアの『四代悲劇』だと、どうしても見る側も構えちゃいます。
しかし、「ヘンリー六世」は、おかたい舞台でなく、セリフだってコジャレていて、チャンバラがあり、宙吊りがあって、親しみやすい舞台でした。
「ヘンリー六世」は講談
「ヘンリー六世」は歴史劇なんですが、見ていてこれは「講談」だなぁと思いました。
日本人は、信長と秀吉、家康で戦国時代を理解しているように、イギリス人もシェクスピアで、薔薇戦争を理解しているんだ・・・と。
パンフに書かれている関係系図なんて、とてもじゃないけど超ヤヤコシイ!!
舞台を観ていると人物たちの関係性が明確になって、見ていてとっても面白い。
大勢の出演者の各々がメリハリのきいたセリフで、キャラクターを明確に表現しているせいもあるのでしょうが。
敵がすぐ味方になる
一つの芝居の中に、じっくりした世話場のようなシーンの後には戦闘シーン。
またじっくりやって戦闘シーンの繰り返し。
主人公の「ヘンリー六世」は優柔不断でウジウジしていたり、まわりの貴族たちがすぐに意味もなく敵味方に分かれる。
赤薔薇から白薔薇に鞍替えする醍醐味!!
敵味方が入れ替って舞台袖に走り込んでまたすぐ変わる。
なんでも舞台袖に酸素吸入器とポカリスエットが置いてあって、役者たちはそれを使っては舞台に飛び出していったそうです。
全世界が舞台、男も女もみな役者!!
シェクスピアの有名なセリフの一つです。
じつに様々な人物が、それぞれに様々な生き死にの姿を見せて力一杯演じてくれる『ヘンリー六世』は、演じられる舞台でこそ、その面白さを存分に見せてくれ・・・そう生きざるを得ない時代の空気を吸ったような気持ちでした。
● お疲れさまです ●

新国立劇場中ホールのロビー。
休憩時間15分。第3部ともなればお客さんもお疲れ気味?

ロビーに飾られた大クリスマスツリー。

新国立劇場中ホールの正面玄関。
このほかにオペラシティー(大ホール)、小ホールがあります。
この秋で設立12年目を迎えました。
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