本音というのは本来の自分、心にもないことをいうのはもうひと
りの自分、言葉というのは人間同士が結びつくたための素晴らし
い工夫、それなのに言葉は人間の内部にある状態をそのまま表現
するとはかぎらない。
言葉の背後にある相手の意図をさぐる、あの人はどんなつもりで
あのような事を言ってるのだろうかという探り合いがあるものだ、
内心思っていることを正直に言わない、言えないというのは楽し
いことではない。
しかしある意味ではこのようなことが心のなかに働いてるからこ
そ私たちはどうにか人関係を維持できてるともいえる、本音とい
う自分、本音とは違うもうひとりの自分を日常のなかで往復して
るのが人間の心というものかもしれない。