TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

おくりびと

2009-08-29 14:16:45 | インポート
久々の日本映画。

熱が下がったので、夕方の外出も億劫でない。
並ぶのはヤダと、早めに着いたのに、映画館はガラガラ。
英語の字幕付きで助かった。江戸っ子の私には山形弁がわかりにくく、英語
の方を読んで「あ、そういうことか」と理解できるからだ。

いつも日本映画を見せると夫から矢のような質問攻めにあうが、今回もそう。
逐次通訳みたいで疲れるのだが、仕方ない。まず夫にとって最大の疑問は、
「なぜ、納棺師という仕事が忌み嫌われるのか?」

こちらのエンバーマーは、まあ「子供たちがなりたい仕事のトップテン」には
決して出てこないが(苦笑)、収入が高くそれなりに尊敬された職業である。
大体やることが違って、エンバーミングは皮膚に穴を開けたり血液を抜いたり、
劇薬も扱うため、訓練を受け資格を得た人にしかできない。「死体を扱う」
という点だけが、納棺師と共通している。

死にまつわる仕事を忌避する日本の慣習は、いくら説明しても完全には理解
してもらえまい。さらに、こちらでは遺体は病原菌などを媒介する生物学的
危害との位置にあるため一般人が触れることや、エンバーミングの過程を
家族が見ることは許されないが、映画では遺族がごく近くにいる中で儀式が
とりおこなわれる様子が出ている。このあたりも、非日本人には理解が難しい。

これは一例として、他にもガイジンにはよくわかんない部分がたくさんあるのに、
よくまあハリウッドのみなさんは好意的に受け止めてくれて賞までくれたもの
である。私としては好きな作品であるが。

さて観終わった夫の感想はというと、「『みんなの家』のほうがおもしろかった」
そうな。ま、肉親を失った経験のない彼にとっては、感情移入が難しいのだろう。
私は死体役のみなさんに座布団十枚。体温を失った体の冷たさが伝わってくる
ような、見事な無動ぶり!それと、納棺という仕事が本当にあのように行われる
のであれば、納棺師は腰痛と縁が切れまい。いろんな意味で、大変な仕事である。

チェロを主役にした音楽は、印象的でとても良かった。チェロの音色が日本の
田舎の景色にあんなに合うなんて、新鮮な驚きである。


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