夜闇の矢

昨夜は、夕方から降り出した雪が氷雨となり、道路は凍結した。

夫は夜中まで勤務だったが、この天候では慎重に運転しなければならないから
遅くなるだろう、とは予想していた。まあカナダ育ちなので雪道には慣れて
いる彼だが、他の人が雪道を注意深く運転するとは限らないからだ。冬の事故
というのは、そういう粗忽ものが原因で起こり、周囲に被害をばらまくこと
が大半である。

リビングでうとうとしていたTABIが、吠え出した。
「パパ来たよ！」の吠え方であるが、キュンキュン鳴きに変った。
何かあったんだろうと思い、私は電話のそばへ行ったが、ウンともスンとも
いわない。で、ベッドにもどることにした。

すると、呼び出し音。
案の定夫からで、事故現場を目撃したので警察が来るまで待っていると言う。
現場といっても、うちから歩いて五分の交差点である。

新月の上、新しい交差点で信号機がまだ稼動してないからあたりは真っ暗。
事故車のフロントは滅茶苦茶、廃車間違いなし。エアバッグが周囲にビニール
臭をぶちまいていた。夫は非常灯をつけ、氷点下で震えている運転手を自分の
助手席に乗せてパトカーを待つことにした。男はカリフォルニアから引っ越し
たばかりで、凍結道には慣れていなかった。現場から車で３０秒の２４時間営業
大手スーパーに出勤する途中だった。「前に車が見えたと思ったら、ぶつかって
いた」と男は言った。

このようにふってわいた災難を、「夜の闇の中で打たれた矢にあたる」と
言うのだと、昔々、年長者から聞いたことがある。

運転手は一見して無事そうだったが、不思議なのは追突された車の姿が見えない
ことだった。あれだけの追突被害が事故車に確認できるということは、前を
走っていた車にも相当のダメージが出たはずである。しかし、男が言うには、
車はちょっと停まったがすぐに加速して走り去ったという。

感謝祭パーティーで飲んで酔って、事故の衝撃を感じなかったのか。
いや、酔いも覚めるような衝撃であったはずだ。考えられるのは、「警察と
かかわりたくない」事情の持ち主である。盗難車とか、ヤバイものを車に
積んでいたとか。身分をあかして大げさにしたくない、家族に知られたくない、
とか。例えば「夫と、妻」みたいな。

ま、夫が無事であったのはなによりである。

感謝祭

昨日はTABIの９回目のお誕生日。

ここまでよく健康で明るく育ってくれたものである。神様に、感謝。
今回のケーキは、バッファロー。いつものように、TABIは大喜びで食べて
くれた。サイトにも、早速アップ。ほんっとに久々の更新だ。アップの仕方
も忘れちゃったか、と思ったが、できた。これからも少しずつ、たまっている
記事をアップしていこうと思う。

さて、昨日は夫婦で奇妙な経験をした。
夫は早く帰宅したので、明るいうちに二人で庭の手入れをした。午前中に
うちの庭師が来て、冬用芝の肥料を撒いた。顆粒状の肥料は、水を撒いて
土に浸透させねばならない。自動スプリンクラーは、先月業者が来て凍結防止
の処置をしていったので使えない。ホースで撒くしかないので、二人で手分け
してフロントとバックヤードに水を撒いた。

その後、私は室内に入るなり気分が悪くなった。
目眩と、車酔いのようなかんじで、カウチに横になった。さらに猛烈な吐き気
と腹痛。まるで食中毒のよう。でも、思い当たる食べ物はない。心配した夫
は寝室のベッドに連れていってくれ、横についていてくれた。が、程なくして
彼も同様に吐き気と腹痛でトイレへ直行。彼は今日はお弁当を持っていくのを
忘れたので、職場で買って食べたから、私とは違うものを食べている。

二人で二時間ほど苦しんだが、その後ウソのようにケロリと治ってしまった。
TABIがなんともなかったのが幸いだ。その後、夕食の支度やお誕生日の準備
など、何事もなく事が進んだ。

一体なんだったのか？
うちは一切の毒薬を使わないよう庭師に言ってあるので、芝の肥料ではないと
思う。が、ご近所ではやはり冬用肥料と殺虫剤を撒いていたので、その影響
だろうか。ウィルス性のものなら、もっと症状が長引きそうなものだが。

さて、今日はアメリカの感謝祭。
各家庭で家族が集まり、ご馳走を食べる。そして明日は、一年のうちで最大
のバーゲンセールである。朝４時から店が開くとあって、みな今夜は早く寝て
明日にそなえる。うちは行かないけどね。全く、クリスマスを始めいろんな
行事は商業主義に毒されてしまって、本来の意味というものが薄れがちだ。

ガソリン商売

ガソリン価格がガロンあたり１ドル６０セントに。

これは、私たちが三年前にカナダから越してきた当初より安い。
今年に入ってからガソリンの高騰が続き、ついに夏にはガロン５ドルまで
上がったのが、全く夢だったような気がする。カンザス州の知人からのメール
によれば、やはり価格がぐんと下がってガロン１ドル４９セントだそうだ。

ちょっと前までは、あまりの高いガソリン代に、デカイ車を何台も所有する
この界隈のアメリカ人たちは悲鳴を上げ、コンパクトで燃費の安い車に買い
かえる人たちが出始めたというのに。

ガソリン価格は、先の大統領選挙前からどんどん下がり始めた。
私はこれは選挙の影響で、選挙が終わればまた上がるんだろうな、と思って
いたが、その予想はハズレた。これからクリスマスにかけ、人々がギフトや
パーティー準備にたっぷりお金を使えるように、ガソリン価格を低く設定して
いるのだ、というのが大方の見方である。落ち込んだ消費活動を少しでも
盛り返そうという試みだ。

ま、理由がどうであろうとガソリン代が安くなるのはうれしい。うちは比較的
車をやたら使わず、歩いていけるところは歩く主義だが、夫は通勤に車が
なくてはどうにもならない。それに、ガソリン代が高いと、宅配代などに
直接影響し、送料が値上がりする。ネットショッピングは便利だが、送料の
高さがネックとなりおちおち買い物も楽しめない。

だけどさ。
こんな安いガソリン代でも石油会社は充分儲けが出るのなら、今年の夏の
ようにべらぼうな高い代金をとってたころは、濡れ手に粟のボロ儲けしてた
ってことでしょ。あ???もお???、次に買う車は絶対ハイブリッドだ！

"been eating berries" look

これは久々のヒット！

箱から出してすぐつけた時は、別のグロスがついていたので変化がなくて
失敗だと思った。でも、食事のあと歯磨きしてきれいになったところで再度
試してみたら、クリアなジェルからきれいな自然なピンクに！

運動して血色が良くなったみたいな、内側からにじみ出るような本当に自然
な赤みで、人工的な作ったような色ではない。お値段からいっても三重丸。

三頭のゆくえ

よくある話ではあるが、身近に起こると嫌なものである。

夫の部下のゴールデンが、どうも調子が悪いと聞いたのはつい先週。
階段の上り下りが苦痛になり、犬ベッドから起き上がるのもやっとになった。
歩くのにも足をひきずっているという。典型的な変形性関節炎みたいだが、
まだ五歳である。ま、ゴールデンなので股関節も悪い可能性があるし、どこか
怪我してるのかもしれない。飼い主の若い女性は犬好きではあるが、犬を獣医
に診せる気はないらしい。「お金がかかるもの」…う?ん、それなら、何故
犬を…

その後一週間もしないのに、「致死処分しようと思って」と言い出すので
ビックリ！関節炎（と仮定して）は治らない病気だが、食事管理と痛みを緩和
する治療でがんばっている犬はたくさんいる。大体まだどこが悪いのかも
わからないのに？！まだ五歳なのに?。

なんでも、今イラクにいる彼女の婚約者が「そんな面倒な犬、処分しろよ」と
勧めたらしい。なんて野郎！彼女は他にもラブがいるが、その子も「いずれ
どこかにやるつもり」らしい。どこかにやる＝処分である。おまけに、最近
イラクから戦争孤犬を三頭目として迎えたが、この犬がまた脱走して近所に
迷惑をかけ、裁判沙汰になってしまった。まだもめている様子なので、
おそらくこの子もいずれ「どこかに」やられてしまうのだろう。

要するに、来年の結婚式までに全部処分できるものは処分してスッキリしたい、
ということなのか。ゴールデンの足が悪くなったのをこれ幸い、と言い訳に
して、そんな簡単に今までかわいがっていた犬たちを殺せるものなのか。

婚約者がイラクに行ってて寂しかった間、犬たちは彼女のなぐさめとなって
くれた。来年には彼が帰国するから、もう用がなくなる。でもそれじゃあ、
あまりに犬がかわいそうだよ。

実はこのテの話はすご?く多い。いちいち犬に同情してたらキリがないくらい
多い。しかも、こういう仕打ちをする人間に、全くバチが当たる様子もない。
こんな話を聞くと、私はいつも「神様って、ホントに隅々まで見てるんだろ
うか？」と首をかしげてしまうのだ。