TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Prety in Pink

2009-09-03 15:34:18 | インポート
日本から素敵なものが届く。

本紅。昔ながらの製法で、紅花から作られた紅である。今でも舞妓さんが
使っている。女子高生の時、初めて本紅が作られる過程を雑誌で見て興味を
持ち、水上勉の「紅花物語」も読んだ。気の遠くなるような工程を経て紅が
作られるというその貴重さ、黄色い花が紅餅となり、梅酢の酸に反応して
鮮やかな紅色となる不思議さ。ずっと憧れだった。

長じて銀座の資生堂で本紅が買えることを知った。当時輸入物の口紅でも
二千円ほどの時に、一万円は高かったが、欲しかった。店員さんが出して
くれた箱の中には、陶器の皿に塗られた玉虫色の紅が。学友達は、「え?、
あれって舞妓さんが塗ってるマットな赤でしょ。信じられな?い」と皆笑った
が、レブロンのピンク全盛時であるから無理もない。しかし彼女らは知らない
のだ。本紅は、水の量と塗り方で薄い桃色から濃い赤まで様々に調整できる。

その大切な紅は、その後皿を落として割ってしまいそれきりになってしまった。
それから長い月日を経て、再び本紅に逢えるとは。

早速、塗ってみる。私は普段口紅を塗らないので、唇の色がもともとピンク色
であるから、水を多めに溶いて本紅を塗ると血色の良い薔薇色となる。
紅は漢方では女性の健康に効くものだし、舐めても毒などころか体に良い。
いまどき流行りのミネラルメイクより、ずっと安全で自然。市販の口紅を塗り
続けると唇の色がどんどん悪くなっていくが、そういうことがないのも嬉しい。

紅花そのものは今では中国からも輸入されているそうだが、この本紅を作る
には日本産の紅でないと玉虫色が出ないそうだ。こちらで生えているサフラワー
とも違うらしい。やはり日本の色、和の色であり、日本女性に一番似合う色
と言えるのではないか。

昔から紅は金と同じ価値があると言われたほど貴重なものであり、タール色素
が主流となってからは作り手が減ってさらに貴重になってしまった。
そんな大切なものが、海を渡ってはるばる私の手元に送られてきたのである。
今回のも、やはり陶器入り。今度こそ、割らずに大事に使おう(笑)