先日、夢中になって読んでしまった本がある。
寝る間も惜しんで読み込んでしまった。上下刊合わせて1200ページと云う大作である。風呂場まで持ち込んで読んでいた。
「錨をあげよ!」
作者の百田尚樹は、以前にも紹介したことがあるのだが、「永遠の0」と云う本をきっかけにファンになってしまった。
昭和30年大阪下町生まれ。その名は、作田又三。
下品で、ずるくて、しぶとくて、ルール無視でもお構いなし。
人生の至る所で敗北を喫しながらも、絶対にへこたれない不屈の男。
戦争が終わってちょうど十年目、いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。高度経済成長、六十年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、よど号 ハイジャック事件、日本列島改造論、石油ショック―激動の昭和の時代、生まれながらの野生児、作田又三は、人生という荒海を渡っていく。いざ、海図なき嵐 の海へ。さあ、錨を上げよ!疾風怒濤の圧倒的青春小説。
ちょうど、主人公の又三は私と同じ昭和30年生まれと云うこともあり、小説の中の時代背景に「そうだ!そうだったよね!」と、思わず相槌を打ちたくなるところがあり、感情移入させられてしまった。
小学生の頃からいわゆる悪たれで、教師や親の手を焼かせる存在。
本人は根っからの悪人というわけでもなく、ある意味無邪気なのであるが、
「枠にはめられようとすることに、本能的な抵抗感を示すところがある。」
こんなところは自分自身を見ているようだ。
吉川栄治の「宮本武蔵」の中の、主人公「武蔵」のストイックなまでの求道性と、相棒「又八」の人間くささ故の葛藤を併せ持った作品だ。
この本は、必見ですぞ!