旅人と我名よばれん初しぐれ 芭蕉
おりからの時雨にとまどっている芭蕉に
村人のあたたかなやさしい声
「旅人よ すこし休んでいらっしゃい 一服の間にあがるでしょう」
こんなもてなしが身に染みてありがたい
(小林たけし)
【初時雨】 はつしぐれ
冬の初めに降る時雨のこと。時雨とは、もともと晩秋から初冬にかけて少時間降る雨のことだが、「初」を冠することでいよいよ時雨の季節に入ったとの感慨を強くする。さびしさとともに、一すじの華やぎも詠いこめられている。
例句 作者
厨の灯消すやほどなき初時雨 渡辺千枝子
はつしぐれ垣つくろひしばかりかな 久保田万太郎
埋火の灰ならしたる初時雨 清水基吉
釣りあげし鮠に水の香初しぐれ 飯田龍太
はつしぐれ大根おろしに甘味かな 大野林火
つはぶきのまがねたたかむ初時雨 安東次男
いづこかに亀もゐるなる初しぐれ 北崎珍漢
厨の灯消すやほどなき初時雨 渡辺千枝子
はつしぐれ垣つくろひしばかりかな 久保田万太郎
埋火の灰ならしたる初時雨 清水基吉
釣りあげし鮠に水の香初しぐれ 飯田龍太
はつしぐれ大根おろしに甘味かな 大野林火
つはぶきのまがねたたかむ初時雨 安東次男
いづこかに亀もゐるなる初しぐれ 北崎珍漢