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蘊蓄cafe

-日々発見、身の回りの話題 【うんちくカフェ】-

「椿三十郎」

2007年01月14日 | 音楽・映画レビュー
[感想:★★★★★:何度でも見てみたい!]
 「椿三十郎」のラストの決闘シーン。映画を見てこれほど息が止まり凍りつくような緊迫感を感じたことがあっただろうか。その迫力は尋常ではない。観客はもはや観客ではなく、正にその決闘を取り囲む一員と化すのだ。

 黒澤映画は昔から好きで、それもモノクロのものが気に入っている。今回「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」「赤ひげ」と1954年から1965年までの作品を年代順に見直してみたが、何度見ても見飽きることがない。カメラの凄さ、構成の緻密さは、恐ろしいほどである。

  先のシーンは、脚本には「これからの二人の決闘は、とても筆では書けない。長い恐ろしい間があって、勝負はギラッと刀が一ぺん光っただけできまる。」と書 かれているだけだという。実際、椿三十郎(つまり三船敏郎)の太刀はあまりに速くてどのように抜いたのか何回見ても分からない。相手の室戸半兵衛(仲代達 矢)も剣の達人という設定なので、両者が戦うと実際にはよほどの幸運に恵まれなければ相打ちになるところである。そこで三十郎には、剣を左手で逆手に抜き 右腕で押し上げるという居合いの流派の剣法の一つを用いさせることで勝ち残ることに合理性をもたせているのだ。こういった「こだわり」が嬉しい。また、立 ち会いの前、若侍達が三十郎を探すシーンで、ロングで撮って三十郎をまず見つけさせ次に半兵衛が視野に入るというカメラでの登場のさせ方もうまい。このよ うなプロの集団の仕事は見ていて本当に気持ちがいいのである。

 なお、この映画のリメイク版が今年できるようだが、そのような作品リメイク版の存在意義には疑問を感じるし、全く期待していない。

ぽすれん・レビューAmazon・レビュー
監督:黒澤明
出演者:三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、団令子
Story:
大ヒットを記録した『用心棒』に続き、三船敏郎が再び三十郎を演じた時代劇。ある藩の御家騒動に巻き込まれた椿三十郎が、家老たちの不正を暴こうとする若頭たちを手助けする。三船敏郎と仲代達矢の決闘シーンが最大の見所。(椿三十郎)


消えた納豆事件?

2007年01月14日 | Weblog
 昼食をとっていると、隣の方から「かみさんと娘が納豆を食ってるんだよねッ。」という声が聞こえてきた。毎日朝晩と納豆を1日2パック食べているようである。その時は聞き流して終わったが、夜に「突然の納豆ブーム、品切れ続出」とのニュースを見かけた。
 7日夜のフジテレビ系列の番組「発掘!あるある大事典2 第140回「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」で、「イソフラボンを豊富に含む納豆を、朝晩1パックずつ食べるとダイエットに効果的」と紹介されたのが発端のようである。翌日から各地のスーパーの売り場の多くでパック入り納豆が品薄状態だそうだ。納豆は製造に3~4日近くかかるという。迷惑な番組である。

 ところで、このイソフラボンであるが「エストロゲン(女性ホルモン)様の作用がある」。分かりやすく言うと環境ホルモンである。通常レベルでは問題ないが、長期にわたって馬鹿みたいに過剰摂取することは、特に妊婦・乳幼児・小児は控えた方がよく、胎児の生殖機能への影響等を示す試験報告があるという。大豆食品からの大豆イソフラボンについて、ヒトの安全な摂取量の上限値は70mg/日とされている。日本人は通常でも味噌や豆腐からイソフラボンを摂取しているのである。

 また、実は、納豆のダイエット効果は実証されていないという。
 今回の騒動に関する専門家のコメントがウェブ上にあったので以下に引用しておく。
 『納豆など発酵食品に関する著作のある小泉武夫・東京農大教授は、「健康志向の高まりで、食品がメディアに登場すると消費者が簡単に左右される傾向が強まっている。根拠があいまいな情報が流されることもあり、消費者も慎重になる必要がある」と話している。(読売新聞)
  この騒動に「待った」をかけるのが群馬大の高橋久仁子教授(栄養学)。「これまでもココアや寒天がダイエットに効くという情報に消費者が振り回され、品薄 状態になったが、1つの食品を極端に摂取すると、栄養のバランスに問題がある。このような方法で仮にダイエットに成功しても、減った体重を維持し続けるの は困難」と忠告する。(中日新聞)』

 ところで、この「発掘!あるある大事典」という番組については、以前からも番組内容の信憑性について問題が指摘されており、厚生労働省からの警告がでたことがあるようである。視聴率をかせぐだけで、メディアのポリシーも感じられない。お粗末である。
 また、自分で考えることもせずこれにのせられ、まだ納豆を朝夕食べ続けている人がいたら、悲しい。