務安国際空港の旅客機事故については現在調査中との事です。
この段階で情報量など僅かしか得られないような1個人に過ぎない自分が何か調べたってたかが知れている、とは思うので、「バードストライクで起こり得る事象のリストアップ」でもしてみようかと思い記事にしました。
A.まずはエンジントラブルになるケース。これは右翼のエンジンだけのケースと左翼のエンジンだけのケースと左右両翼のエンジンのケースに分かれます。
B.そしてフラップに鳥が挟まったり絡んだり、或いは衝突で変形して正常に動かなくなるケース。そしてこれは右翼だけの場合、左翼だけの場合、そして両翼の場合と言うように分類されます。
C.同様にスポイラーに鳥が挟まったり絡んだり、或いは衝突で変形して正常に動かなくなるケース。そしてこれは右翼だけの場合、左翼だけの場合、そして両翼の場合と言うように分類されます。
D.他には例えばアンテナとかに鳥が衝突するケース。
このアンテナはB737-800の場合、いくつか有るようなのですが、現時点で今回の事故で関係有りそうなのは「飛行機の運航情報を発する無線」のみのように見えます。
何故かと言うと、 「事故当日の午前8時58分50秒に、事故機から高度や飛行情報などの最後のデータが送られてきてその後は送られて来ていない」との情報がネット上で確認できるからです。
他にも各種センサーなども有るとは思いますが、今回はここまでリストアップするとキリがないので今回は省略します。
と言うわけで、Dのアンテナは仮にですが直接的な墜落原因とは別と考えて今回は事象分析から除外し、残るA、B、CについてはA、B、C共にどこもトラブルになってないと言う事象が各1通りありますから
A、B、CについてはAが4通り、Bは4通り、Cも4通りとなります。
つまりバードストライクによる支障で起こり得る事象は
4×4×4=64 (通り) から全て支障が無い(つまり全てが正常)と言う1通りを引いた残り63通りとなるかと思います。
まあ大半は片方のエンジンに鳥が吸い込まれるだけと言うバードストライクで、時々両方のエンジンに鳥が吸い込まれるバードストライクが発生し、それが例えば2009年に発生した「USエアウェイズ1549便不時着水事故」のような事のようですが、しかしこの時は着陸直前ではなく離陸直後、フラップは正常、スポイラーはこの機種に有ったのかまではまだ調べていませんが、少なくともエンジンしかトラブルにならなかった上、オルタネーターは機能していたので電源停止を免れる事ができたようです。
引用開始(一部抜粋)
USエアウェイズ1549便不時着水事故 - Wikipedia
離陸直後のエンジン停止
[編集]
New York TRACON audio
Duration: 3 minutes and 10 seconds.3:10
バードストライク後の管制官との交信 (3分10秒)
USエアウェイズ1549便は、午後3時26分にニューヨークのラガーディア空港を離陸直後、カナダガンの群れに遭遇した。両エンジンの同時バードストライクというレアケースによって両エンジンがフレームアウト(停止)し、飛行高度の維持が出来なくなった。
(中略)
事故の原因は、エンジンに複数のカナダガンが吸い込まれたことである。このカナダガンは成長した大型(最低でも4kg)のものだった。これによりエンジン内部のコンプレッサー部分が致命的なダメージを受けたため、エンジンを再起動できなかった。ただし、回収されたフライト・データ・レコーダーの解析では、右エンジンはフレーム・アウトしたが左エンジンは完全にはフレーム・アウトせず、このため飛行速度が低かったもののウィンドミル状態[注釈 2]に近く、付随するオルタネーターが操縦等に必要な電力を賄える程度の回転数は保たれていた事が確認された[注釈 3]。
引用終了
そして機長の操縦技術や判断力もありこれで無事着水する事が出来たようです。
で、今回の務安国際空港の旅客機事故はこれと比較するとかなり厳しいかと思えます。
まず離陸後ではなく、着陸直前である事、更に(もしかしたらですが)、最初に片方のエンジンだけがトラブルになり、それで何とか着陸はできる事が殆どと思って着陸操縦を続けていたところに少し遅れて急にもう片方のエンジンもトラブルになったのかどうか。
更に鳥がフラップやスポイラーに挟まったり絡んだり衝突で変形したりとかもほぼ同時か僅かな時間差で発生したのか、と言う可能性も現時点ではまだわかっていません。
そして更に両方のエンジンが停止すると一時的にではあるけれどもバックアップの発電機が起動するまではほぼ停電状態にまでなる無発電状態レベルだったのかどうか、或いは僅かなバッテリーによるUPSのようなもので短時間だけ持たせていたのか、と言う点も有ります。
更にフラップなどに鳥がダメージを与えると油圧システムの支障が生じ、油圧の一部系統の低下や機能不全などが発生したのか?と言う点もまだわかっていません。
エンジンが両方ともトラブル状態、フラップもスポイラーも両翼ともにトラブル状態になるような猛烈なバードストライクなんて流石に有りえないとは思いますが、ここまででなくてもそれに近いかなりのバードストライクが同時が僅かな或いはある程度の時間差で発生し、そしてそれらがタイムラグを伴って次々襲って来た場合にはマニュアルやチェックリストを見ている間にも、時々刻々状況が変化、悪化して行く事は十分に考えられるので、対応はかなり厳しいのではないでしょうか。