ケンのブログ

日々の雑感や日記

数理的に見た 無駄 ゆとり 利他心の効用

2021年03月01日 | 日記
昨日の全国紙に東大教授の西成活裕という人を新聞の編集委員が取材してまとめた記事が載っていた。

58年生きてきた僕の経験値からして、東大の先生の話を取材した記事などきっとつまらんやろうと思ってそのページは飛ばして次のページに行こうとした。

しかし、その記事に載っている西成活裕さんの近影の目を見ると、あっ この人、普通の学者とちょっと違うな、なんか やさしそう なんかおもしろそう なんかちょっと違う そんな目をしておられる。

その目の力に心が惹かれて、思わず記事を読んでしまった。

すると、案の定というべきか 面白いことが書いてある。

記事には

「無駄」がない社会は有事に不安定。「最適」狙わない発想必要
 
という副見出しがついている。

そして「利他心」つまり他者を利する心そして「無駄」というキーワードをつかってこのようなことが書かれている。

「利他心に注目するのは、渋滞解消の解にもつながるからです。渋滞は2本の車線の合流地点で発生しがちです。双方の車線から進行する車が譲りあえば、渋滞は緩和されます。流れが交互に噛み合い前方の車との車間距離をうまく調整できるからです。 

中略

渋滞学でも、車間距離40メートルを保てるかどうかが渋滞が生じるボーダーラインとなっています。車間距離がそれ以上短くなるとスピードが落ち、後ろの車に増幅して伝わります。その結果、十数台後ろの車を止めてしまうほどの渋滞を引き起こします。つまり、急いでいるからと車間をつめるほど。時間あたりの交通量は低下します。利他心を発揮し、全ての運転手が車間距離を無駄と思わずに保つ方が結局、目的地に早くつきます。

中略

渋滞学を分野横断的に展開する中で、工場などの生産現場の無駄の排除にも関わるようになりました。実地のヒアリングによれば、工場の稼働率は30%程度の余裕をもたせたほうが効率的です。誤解を受けがちですが、100%の稼働率が最も効率的というわけではないのです。フル稼働だと機械のメンテナンスの時間が取れないし、試作品も作れません。

バケツリレーを模した数理モデルによる解析でも、水の量をバケツの7割とした場合が最も効率的に運べました」

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こんなふうに理科系の頭脳の視点から「無駄」「利他心」「ゆとり」などの持つ意味を解説してもらえると、道徳的観点などから「無駄」「利他心」などの意味を教えられるのとは違った説得力があるなと思う。

それにしても、面白そうな雰囲気の目をした人だなと思って、読んだ記事の内容が面白かったりすると、そういうのも一つの小さな喜びだなと思う。