今、僕はカレーショップや、立ち食いそばによく行くけれど、昔はギョーザのオーショーというところによく行っていた。
今は、僕が降りる駅の近くにある、立ち食いそばや、カレーショップの位置はだいたい自分なりに把握している。
昔は、自分が降りる駅にあるオーショーの位置はだいたい覚えていた。
オーショーでは10回行くうちの8回以上は、ギョーザ2人前と焼き飯という注文をした。
行動パターンがワンパターン化してしまうことは昔からなぜか変わらない。
大阪の北部に引っ越してからは、大阪の南の方に行くことは少なくなった。それでも、たまに用事があって大阪の南の方に行くと、やはりそこでオーショーに入ってギョーザ2人前と焼き飯を主に注文していた。
でも、大阪の、南の方に行くのは、たまの話だった。
ある時、大阪の南の方の街で僕が何気にオーショーに入ると、僕がカウンターに着席するなり、オーショーのお兄さんが、水を持ってきてくれて、ちょっとニヤけた顔で
「ギョーザ2人前と、焼き飯っすか?」と僕に言った。
いやあ、ここのオーショーはたまにしか来ないのに、どうして知ってるの? とちょっと僕は驚いてしまった。
へそをまげて、違う品を注文してやろうかと一瞬思ったけれど、
「はい、ギョーザ2人前と、焼き飯お願いします」と僕は言った。
僕の経験則では、こういう突発的に人懐っこいことを言ってくる店員さんのいる確率は、大阪の北部よりも、南部のほうが高い気がする。
まあ、それは、それとして、
2016年頃から、僕は、体質が変化してきて、決して食欲が減ったというわけではないのだけれど、中華とかラーメンとかそういう脂っこいものを食べる気が、あまり起こらなくなってしまった。
ラーメンも、関西は結構、ラーメン屋が多いので、そこそこ行っていたけれど2016年ころからは僕の記憶にある限り、一度も行っていない。
お蕎麦屋さんは、よく行くのだけれど、、、。
ギョーザのオーショーも、2016年ころから行く頻度が急に下がって、ここ2年は一度も行っていないと思う。
しかし、今日、なんだか久しぶりに、無性に焼き飯とギョーザ2人前を食べたくなり、昔、会社の帰りに、しばしば行っていたオーショーに行った。
いやあ、なつかしいな。
そして焼き飯とギョーザ2人前を注文。
まず、焼き飯とスープが出てくる。いやあ、懐かしい。
次に「ギョーザ1人前焼き上がりましたのでこれをまず先に、残り1人前は後でお出しします」と店員のお兄さん。
いやあ、これも、昔、よくあったパターン。2人前が一度にそろわないタイミングのときは、まず一人前出して、次に焼き上がったときに、次の一人前を出すというパターンになっている。
焼き飯を、食べ終わるくらいのタイミングで、「はい、ギョーザ残り一人前、これで注文はそろいましたでしょうか」と店員のお兄さん。
「はい、そろいました」と僕。
途中でバイトのおばちゃんがやってきて店長のお兄さんに「おはようございます」
いやあ、オーショーは芸能界と一緒で、夕方でも おはようございますと挨拶すると初めて知った。
僕の席はレジの隣の席だった。
中年の女性が伝票を持ってきてお勘定
「3200円です」と店員のお兄さん。
「ええ?そんなはずないわ、2200円しか注文してないもん」と中年の女性。声がめっちゃ不機嫌そう。
明らかに過失であって、故意ではないので、そんなに不機嫌にならんでも、と僕は思ったけれど、どういうポイントで不機嫌になるかは、ひとそれぞれ、まあ、仕方ないかと思い直した。
店員のおにいさんはすかさず
「あっ レジに残っていた、前の数字が、紛れ込みました。すみません、確かに2200円です。申し訳ありませんでした」と言って勘定を済ませる。
ファーストフードーのバイトの子でこんなによどみなく言葉が出る人って最近はそんなにいない。
大概はマニュアル通りの受け答えしかできないようになってしまっている。
やっぱりオーショーのお兄さんはちょっと、他のファーストフードのバイトの子とは格が違うなと、感激。
まあ、店長のお兄さんはバイトではなく、社員かも知れないけれど。
でも、すごい。
いろいろ手際よくやらないとここの仕事は勤まらない。
いやあ、久しぶりに食った、と思って家に返ってくると、やっぱり、油っこくてちょっと胃にももたれるような気がする。
こういうときは味噌汁で、中和するに限ると思って、だし入りミソを、マグカップに入れて、レンジてチンして飲む。
それで、中和できたのかどうか、ようわからんけど、なんか中和したような気分になって少なくとも気休めにはなる、、、。
まあ、やっぱり、今は、昔のようにそんなに頻繁にはオーショーには行けないなと改めて思う。
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新聞にK塾という大手予備校の、全面広告が出ている。
大学合格者6人くらいの写真が出ていて「この写真は3月10日の東大、京大合格発表当日に撮影したものです」と書いてある。
顔写真を見ると、みんな賢そうなので、多分、東大、京大に合格した人で、男前の子、そしてかわいい子を選りすぐって広告の写真にしたものと思う。
僕は男なので、女の子につい目が行くけれど、このときの可愛さって、一生で一回だけ、このときだけのものだと思う。
一年間、勉強ということを中心に生活してきて、その中で磨き上げられた可愛さはこのときだけ。
そういうものだと思う。
僕も、K塾のような大手の予備校ではないけれど、中小予備校でパンフレットの原稿を書く仕事をしていたので、こういうのを見ると懐かしさがこみ上げてくる。
でも、みんなマスクをした顔写真になっている。
せっかくの晴れの日の、写真で、新聞にも大きく載るのに、マスクは残念だなと思うけれど、予備校も、コロナの対策アピールでこういう写真を使わざるを得ないことは僕にもよくわかる。
まあ、あの年は、マスクだったな、ということでいい思い出になることを願っている。
僕も、一度、京大の合格発表の日に、合格者を撮影するカメラマンのアシスタントの役で、京大に行ったことがある。
どういう成り行きで、そうなったかは、忘れてしまったけれど、何かの拍子で、僕は京大の法学部を受験した女の子と一緒に、その子の受験番号を掲示板で探すことになった。
なぜか、女の子本人よりも、僕のほうが、彼女の受験番号を先に見つけた。
「番号あった。受かってるやん」と僕は言って、その場の勢いで、彼女の肩に軽く手を回してしまった。
普段から、親しくしている子、というわけでもなかったので、あれは、ちょっとどさくさ紛れでやってしまったかな、と今でも時々思うことがある。
まあ、ほんのちょっと軽くだったけれど。
一方で「○○ちゃん、番号ないよ。〇〇ちゃん、番号ないよ」と大きな声で叫んでいるお母さんもいた。
それって、冷静に考えると、回りに向かって、私の息子、不合格でしたと大きな声で叫んでいるに等しいわけで、本当に合格すれば、万歳、不合格になれば、一瞬パニックになってしまう。そんな現実も見せられる思いがした。
この時期になると、合格者の、顔写真と、出身高校、合格した大学がいっぱい載っている新聞広告を見かけることも多いと思う。
その作業って、何度かやったことあるけれど、大変な作業だ。
あらかじめ、名前、出身高校 合格した大学を入れた版下に写真を埋め込んでいく作業になる。
特に、新聞に出すときは、締切がきついから、夜遅くまで作業することになる。
僕が、勤めていた予備校のスタッフだけでは間に合いそうもなかったときに、お世話になっている印刷会社の、営業部長さんが、名前に写真を当てはめる、作業を手伝いに来てくださったことがある。
そういう作業って、夜遅くまでやっていると、特にお酒を飲んでいなくても、疲れてきて気分がハイになってくることがある。
印刷会社の営業部長さんが、そんなとき、作業をしながら「写真を見ると、どこが香織(かおり)や、というようなヤツもいますねえ」と、つい、ポロッと言ってしまった。
営業部長さんが、トイレに行ったすきに、直属の上司に「今の、営業部長の発言、完全にセクハラでアウトですねえ」と僕が言ったら、直属の上司は「いやあ、ナカシマさん、営業部長も、部長である前に、しょせんは一人の男と言うことですわ。まあ、きっと香織(かおり)という女のことが昔、好きやったんでしょう」と僕に言った。
あのときの直属の上司の言葉、忘れられないなと思う。
僕にはいろいろ気遣ってくれて、面白い人だった。