遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 63 別れの哀しみー映画による

2015-09-13 14:40:08 | 日記
          別れの哀しみー映画による(2012.6.4日作)



   人より勝っているとは思わずとも

   数多く観て来た映画の中

   わたしにとって忘れ難い 心に残る

   男女の別れを描いた作品が 四つある

   その第一は わたしに於ける

   映画史史上最高傑作「第三の男」

   かの有名なラストシーン

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   愛した男は幼い子供たちを犠牲にした

   重大犯罪組織の中心人物だった

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   警察によって射殺された男への

   愛憎と哀しみを胸に

   ひとひら また ひとひら

   枯葉の舞う 冬枯れの並木道を

   遠くから歩み来て ズームアップと共に

   スクリーンの外側へ歩み去って行く

   女主人公の姿

   スクリーンの中で男を愛し

   その純粋な愛を裏切られた思いの

   哀しみを胸に

   スクリーンの外側へ歩み去って行った

   女主人公のその後の人生には

   どのような日々があっのだろう?

   心から愛した男を失った 心の空白

   その空白の埋めらる日はあったのだろうか?

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   それぞれに異なる事はあっても

   深く愛した男と女の別れには いつも

   切なさが付きまとう

   映画「カサブランカ」の中の

   祖国のために命を賭けた夫と

   束の間の愛に生きた 恋人との間で苦悩する

   女主人公もまた

   断ち難い恋人への思いを抱いたまま

   祖国に命を賭けた夫を助ける事が

   自分たち二人の愛を成就させる という

   恋人の言葉を胸に 霧の夜の空港から

   再び巡り合う機会は もうないであろう

   他国への脱出の旅を 夫と共に旅立って行く

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   あるいは

   映画「マジソン郡の橋」の

   ひと時の愛に命を燃やした女主人公 偶然

   夫がハンドルを握る車の中で 町を後にする

   愛した男の車を眼にして 別れ難い思いと共に

   今にも座席の横のドアノブに手を掛け

   男のもとへ走り寄ろうかと 逡巡する姿

   何度もドアノブに手を掛けようとして 掛け切れず

   その間に 愛した男の車は 雑踏の中へ消えて行く・・・・・

   そして

   映画「モンタナの風に吹かれて」の男と女

   暴れ馬の調教師と女主人公との これも束の間の恋

   二人の間に通う心を最後に断ち切って

   夫と幼い娘のもとへ帰ってゆく女主人公

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   いずれの愛の形も

   日常では満たされない心の空白に ふと

   忍び込んで来たがゆえの 深い愛

   その愛を断ち切らざるを得なかった 女主人公たち

   あの女主人公たちに再び 燃えるような

   ときめきと愛情に 心の満たされる日の訪れは

   あったのだろうか? それとも

   ひと時の愛 至上の愛の思い出を胸に

   その思い出だけに生きて

   切ない人生の時を

   終えていったのだろうか?

   愛の別れにはいつも

   哀しみと切なさが付きまとう