遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 158 眠り 

2017-10-01 12:03:13 | 日記

          眠り(2017.9.25日作)

 

   夜も更けた

   静寂(しじま)が辺りを包む  

   闇が孤独を運んで来る

   さあ 今夜もこの身を

   静かな眠りの世界にゆだねよう

   静かな眠りは 唯一

   心の安らぎ 仮想の死

   今日という日の一日の

   愚劣や汚濁のすべてをその中に

   閉じ込めて

   春の日射しに暖かい

   水面に揺蕩(たゆた)う小舟のように

   心穏やかな

   夢を夢見て 静かな眠り

   仮想の死へと入ってゆこう

   -----

   幼い日 未来が

   遠く 大きく 彼方に向かって

   開けていた頃

   眠りは明日に連なる希望の橋

   新たな生を産み出すための

   魔法の力に満ちた

   手綱だった

   歳を経て今

   眠りの中に求めるものは

   ただ一つ 心の安らぎ

   仮想の死

   明日に連なる希望の橋は すでに

   閉ざされた

   新たな生を生み出すための

   魔法の手綱も 擦り切れた

   今日という日の一日が 今

   運んで来るものは

   耳に弔鐘 眼に訃報

   崩れゆく友垣 人の輪

   時代の壁に描(えが)いた絵は

   打ち寄せる新たな時代の波に

   消されて逝く

   -----

   さあ、今夜も

   静かな眠り 仮想の死に

   この身をゆだねよう 

   唯一 それだけが今では

   心の安らぎ 魂の

   落ち着き場所

   沸き立つ愚劣と汚濁の時代の中から

   この身を退(しりぞ)けて

   命の終わりが打ち寄せる時間の中で

   命の源 生の根源 人が

   生きるという事のその意味を 心に

   問いかけながら

   今夜も この身を

   静かな眠り 仮想の死に

   ゆだねよう

   やがて来る真相の

   死への準備 支度を

   始めるとしよう