遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 206 この国は今

2018-09-09 12:25:59 | 日記

          この国は今(2010.5.9日作)

                この文章は平成二十二年に書いたもので

             平成三十年の現在とは多少の齟齬があるかも知れません

             平成も間もなく終わる時に時代の一つの記録として残して

             置きたいと思い掲載しました

 

   昭和二十年 1945年 八月十五日

   この国は無謀にも自らが仕掛けた

   太平洋戦争 第二次世界大戦に 敗北した

   その日を境に この国は一変した

   敗戦国の惨めな姿 隠された真実が

   一挙に露呈した

   国土は荒廃し 廃墟にも等しい

   悲惨な街の姿が あちこちに顕在化した

   人々の生活は困窮の極みに突き落とされ

   その日 その日を 懸命に 精一杯

   命をつなぐ事にのみ かけ

   生きて来た

   以来 半世紀を越える歳月が過ぎ

   2010年の今 この国は

   必死に 懸命に

   戦後の混乱と苦難に満ちた日々を

   生きて来た人々の

   努力の中で手にした成功のあとの

   虚脱の中にいる

   戦後の国土の荒廃

   廃墟の中から立ち上がった人々が

   心の中に宿した 漲る熱気 あの活力は

   平成二十二年の今を生きる人々の 心の中には

   昭和二十二年を生きた人々の 心の中にあったようには

   存在しない

   過去 半世紀を越える歳月の中で

   懸命に生きた人々が勝ち取った

   豊かさの中に生まれ

   その土壌に馴れ親しんだ人々には

   もはや その豊かさは

   自分達の身の廻りにある

   当然のものとして 

   そこにあるように思い

   それ以上の世界を望む事も

   思い描く事も出来ないかのように

   新たな世界を求める気力も

   目指す気力も

   見い出せないままでいる

   歳月は それでも 確実に

   過ぎて逝く

   かつては この国の人々の

   努力と成功を羨望の眼差しで

   横目で見ている赴きのあった

   幾つかの隣国がその間に

   眼を覚まし この国が目指した

   発展と成功の跡を学び

   追い掛けるかのように立ち上がり

   かつてのこの国が手にした努力の成果を

   追い求め

   かつてのこの国が世界に誇った成功の体験を

   もはや この国一国のものとしてではなく

   幾つもの隣国がそれぞれに

   手にし始めている

   未来への展望を見い出せないままでいる

   かつてのこの国の人々が持っていた情熱と

   覇気を失くした 今を生きる人々が

   ふと 気付けば

   この国の成功体験者としての地位は

   脅かされ 他国の漲る力の前に

   押し流され兼ねないような不安の中で

   恐怖と焦燥感にあえいでいる

   いったい この国がこれから先

   未来に向かって進むべき道は ? 

   この国の今を生きる人々が

   押し寄せる他国の力の前に

   怯えているものの正体は ?

   今を生きる人々は

   かつてのこの国が手にした成功体験

   その果実のまだ

   完全に失われていないと思える今

   冷静に考察し

   かつてのこの国の人々が心に宿した

   漲る熱気 あの活力を

   再び取り戻すには

   何が必要なのかを

   それぞれの心に問い掛け

   この国の新たに進むべき道を模索するーー

   幸い この国には この国が持つ

   長い歴史の中で育まれた

   他国に誇り得る この国独自の

   文化がある 力がある

   その文化に根差した

   この国の在り方が

   平成二十二年 2010年 の今

   世界の各地で少しずつ

   芽を吹き始めているのが見える

   ジャパニーズ クール

   クール ジャパン

   世界は今 新たな眼差しで

   この国の姿を見つめ始めている