遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(376) 小説 岬または不条理(5) 他 自己と自由

2021-12-19 12:25:32 | つぶやき
          自己と自由(2019.6,20日作)


 人間は自己という存在に於いて
 自由である
 自己が 自己の存在を司る
 しかし 人間は 生の上に於ける奴隷
 人間の生は
 自己の存在のみでは
 成立し得ない
 成立し得ない生が 成立する条件
 他者の中にあっての 自己 自己の生
 その生あっての 自己
 その生あっての 自己という存在
 他者に対する自己の存在
 その存在は
 他者の生に束縛される
 他者の生の上に成立する 自己という存在
 他者の生の劣化 衰退 崩壊は
 自己の生の劣化 衰退 崩壊に
 繋がる
 他者なくして 自己はない
 自己なくして 他者はない
 他者への侵害 自己への侵害





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           岬
             または
                 不条理(5)



 妻には相談しなかった。自分一人の判断だった。
 妻には余計な気苦労をさせたくなかった。
「出来事を最初から、なるべく明細に話してみて下さい」
 担当の警察官は言った。
 三津田は最初からの経緯(いきさつ)を一つ残らず話した。
「自分の神経的なものだと考えた事はありませんか ?」
 五十代かと思われる警官は静かな口調で聞いた。
「いえ、そんな事はありません。総ての事が一つの関連性を持って行われているような気がします」
「そうですか、分かりました。警察としては兎に角、市民の安全の為には出来得る限りの努力はしますが、あなた自身も充分、気を付けて下さい。今の段階で護衛を付けるという訳にはゆきませんが、差し当って、夜などはお宅の周辺に警官を送って、それとなく状況を見てみましょう。あなたの方でも、もし、怪しいと思ったら、その時点ですぐに連絡して下さい。直ちに警察が駆け付けるるように手配して置きますので」 
 三津田は、例の得体の知れない男が自分を見張っているとすれば、こうして警察に駆け込んだ事も、当然、知られるに違いない、と考えた。そしてそれが、凶と出るか吉と出るかはまるで見当も付かなかったが、それよりも、ただ漠然となんの手伊達もないままに日々を過ごす事の方に、三津田はより大きな不安を覚えるようになっていたのだった。
 平穏な日々が続いた。
 それが警察に駆け込んだ事の効果かどうかは、無論、分かりかねる事だった。ただ、この日々が長くずっと続いてくれればいいが、とだけ思った。
 もともと、三津田に相談を持ち掛けて来た男が、仕事を依頼して来た、というその事自体が、根拠に乏しい、言ってみれば思い付きにしか過ぎない事のように思えた。三津田に取っては、見ず知らずの男だったし、当然ながらに、仕事を頼まれなければならない理由など、何処にもなかった。それだけに男は、三津田が警察に駆け込んだ事を察知して、危険から身を引くように、三津田への依頼事を諦めたのかも知れなかった。
 そんな平穏な日々は、ひと月を過ぎてもなお続いた。
 三津田の住む地域ではこの頃、頻繁に、周囲に眼を配るようにしてゆっくりと、街中を移動してゆく警察のパトロールカーの姿が見られるようになっていた。三津田が仕事から帰る夜の遅い時間帯にも、その姿はしばしば見られた。
 三津田自身、そんな事の安心感から得られる気持ちの落ち着きと共に不思議に、人気の無い住宅街の細い路地を歩く時にでも、背後に聞こえる人の足音を気にする事がなくなっていた。朝の通勤電車の中でも、あの男の姿を見る事がなくて、三津田に取ってはその時点では、総てが一時の悪夢であったかのような感慨さえ覚えるようになっていた。

「まあ、お珍しい、三津田さん」
 バー「茜」のママは三津田の顔を見ると嬉しそうな笑顔で言った。
 三津田自身、何日、いや、何ヶ月振りになるのか分からなかったが、久し振りの賑やかな店内の雰囲気に包まれると、一気に気持ちが緩んで来て、心地よい陶酔感に浸されていた。
 三津田はカウンターに着くと顔馴染みのホステスやママを相手に、思わぬ速さでグラスを傾け、御機嫌になっていた
 店内は適度に混んでいた。
 その男が、三津田が来る前から居たのか、後を付けて来たのかは三津田自身には分からなかった。三津田の右横隣りのカウンター席が空いた僅かな瞬間を衝いて、男は三津田に身体を寄せるようにして席を取った。初めは何食わぬ顔でいたが、ホステスが三津田の前から離れた瞬間を狙って話し掛けて来た。
「如何ですか、三津田さん。その後」
 男はにこやかな笑顔で囁くように言った。
 男の行動は総てが迅速だった。誰もが疑念を差し挟む余地がない程に自然でもあった。
 三津田は言葉もなかった。言うべき言葉を知らなかった。ただ、断崖から突き落とされたような驚きと混乱の中で意識の総てが空白になっていた。茫然としているだけであった。
「暫く御無沙汰していましたが、如何でしょうか、例の件。お引き受けお願い出来ませんでしょうかね」
 男は言った。
「なんの事です」
 三津田はぶっきら棒に、初対面でもあるかのように言った。自分には一切、関係ない。
「この前、あなたにお頼みした事なんですが」
 もし、三津田がこの時、酔いにおぼろげな頭のままでいたなら、それ程に素早い頭脳の回転はなかったに違いない。だが、三津田の酔いは男の出現と共に一気に吹き飛んでいた。身体の堅くなる程の緊張感と共に三津田は、冷静さを取り戻していた。素早く回転する頭で計算をしていた。
 " この男を警察に引き渡す事だ "
「いったい、あなたがわたしに頼みたいっていう事はなんなんです。なぜ、それ程までにわたしに拘るんですか。わたしに拘る理由はなんなんですか。それを言って下さい。そうすればわたしも、あなたの依頼をお引き受けする事が出来るでしょう。わたしは一度、はっきりとお断りしているはずですよ。これ程までにあなたがわたしに拘る理由はいったい、なんなんですか」
「いえ、わたし共が特別、あなたに拘る理由なんてものはありません。ただ、あなたが、あなたの社内でも指折りの優れた人材だという事を承知していまして、そんな優秀な方にこの仕事をお引き受け願いたいと思って、お頼みしている訳なんです」
「そうですか。あなた方はとんでもない買い被りをしているようですが、伺いましょう。いったい、わたしは何をすればいいんです ?」
「御承知戴けますか。そうですか、それは有り難い。わたし共としましては決心して下さった事に感謝申し上げます。それで、もし、宜しかったら御都合を伺いたいんですけど、何時がお宜しいでしょうか」
「あなた方の都合は何時がいいんですか ?」
「わたし共としましては、なるべく早くこの件を片付けてしまいたいと思っておるんですが、お頼みするあなたの御都合もあると思いますので」
「分かりました。じゃあ、金曜日の午後九時、東京駅前にある喫茶店、「R」へ来て下さい。そこで話しを伺いましょう」
「そうですか。金曜日、明後日、午後九時ですね」
 男は改めて確かめるようにその言葉を口にした。

 三津田は、兎に角、この事を警察に連絡しようとまず始めに思った。相手の男がどのような提案をして来るのかは、皆目、見当も付かなかったが、いずれにしても、真っ当な仕事でない事だけは明らかだった。
 警察に張り込んで貰えれば、それだけ気を強く持っていられる。
 後の事は警察に任せればいい。
 その夜、三津田のテーブルの近くに二人の刑事が別々に坐った。
 三津田が一人で席にいると約束の時間に男は現れた。





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          桂蓮様

          有難う御座います
           新作 拝見しました
          生き物の世界って本当に不思議ですね
          長い長い年月を掛けてこのように進化して
          来たのでしょうが、考えれば考える程 すべてが
          合理的で 理に適っている気がします 実際 神
          という存在を信じたくなるのも 無理の無い事だと
          思います なぜ 生まれたものが死ぬのか 死が
          なければこの世界は存在不可能なものに
          なってしまうのでしょうが 生まれたものが死ぬ
          しかも死ぬ時には自身の生命の宿った種卵を残して・・
          いつもこの事に不思議な思いを抱いていました
          一度生まれたものが衰えてゆく 誰が 何が
          そのように仕向けたのか やっぱり神の存在を
          人間はそこに見て来たのでしょうか 
           コロナ いろいろな所に影響しますね それにしても
          何時果てるのやら 
           努力している心算はない 天性のものですね
          生まれ備わった資質 他人には真似の出来ないものです
           天才は自分を天才だとは思わない 何故なら
          それが自分に取っては当たり前の事で 大騒ぎを   
          する程のものではない それと同じです
           身に備わった才能 貴重です 日常の中でその事が
          出来る 貴重な才能 資質です
           雪とのこと こちらもさすがに寒くなって来ました
          いつも お気遣い戴き 有難う御座います
           桂蓮様も 痛めた身体 無理をなさらぬように
          無理をして慢性化してしまっては大変です
           どうぞ お大事に
           有難う御座いました



          takeziisan様

           有難う御座います
          畑仕事 てばらせた 良い言葉ですね この響き
          いいです なんだか無意味に感動的です
          畑仕事 何日かのちの収穫を思い描いての作業
          後の収穫 手間がかかり 身体に負担が掛かっても
          それだけの収穫を心に思い描く事が出来る喜びは
          日々の充実感にも繋がるものではないでしょうか
          羨ましい限りです
           次郎物語 映画 やっぱり御当地は わたくし達の
          地方よりは進んでいたようです わたくし達の学校では
          たった一回 馬喰一代 という映画を学校で上映した
          それだけでした この映画は三船敏郎 京まち子の競演   
          で 飲んだくれで暴れ者の「馬喰」が妻を早く亡くして 
          一人息子を育てるというストーリーですが 
          息子が自分のような者にならないよう 立派な教育を受    
          けさせる為に都会に送り出す という荒くれ者の心にも   
          宿る親心を描いた感動的なものでした。教育に関係する
          その事の為に学校で上映したのだと当時にも思いました
           カナダ旅行 やっぱり 良い想い出になるのでは
          ないでしょうか
           ビリー ヴォーン 懐かしいですね
          いい音を出していましたものね
           泳ぐ事が肉体的にも 精神的にも 若さを保つ
          その事に多分に働いているのではないでしょうか
          する事がある 農作業にしても水泳にしても 呆けたら 
          アカン 良い効果をもたらしているのですね きっと
           ブログを拝見している限り 年齢が感じられません
           これからも御健闘を
           何時も有難う御座います 今回も楽しませて
          戴きました