遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(403) 小説 面影の人(2) 他 権力者国家

2022-07-03 12:28:13 | つぶやき
          権力者国家(2022.6.10日作)


 権威国家の権力者は
 泥沼に足を取られた人間
 ずるずると
 深みにはまってゆく
 その存在は
 手を差し延べ 支える存在がいない限り
 存在不可能 やがて
 泥の中に埋没してゆくだろう
 現在 この世界の不幸は
 泥沼に足を取られた人間達に 手を
 差し延べる愚かな人間達が あちらにも こちらにも
 存在するという事だ
 人間 人の尊厳 命の尊さ重さを知らない
 愚かな者達が あちらの社会 こちらの社会 と
 存在している そして その 愚か者達は
 いつの世にも存在する この
 不幸 世界の不幸
 永遠の不幸





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           面影の人(2)

 三上はだが、そんな厳しい眼差しも意に留めなかった。懐かしさに誘われるままに、
「三上です」
 と言っていた。
 ふたたび、その人は思いも掛けない驚きに息を呑む気配を見せた。
「しばらくです」
 三上はそれでも構わず言った。声がその人の硬い表情に引きずられるようにぎごちなくなっていた。更に、眼の前の人の立ちすくんだ様子に弁解するように、言い訳がましく言っていた。
「さっきの娘さんを見た時、あなたにそっくりだったので、びっくりしました。まるで、昔のあなたを見ているようでした。それで、あなたに違いないと思って・・・・」
「お久し振りです」
 初めてその人が言った。
 硬い表情のままだった。
「やっぱり、さっきのは御嬢さん・・・?」
「そうです」
「高校生なんですか ?」
「そうです。一番下の娘です」
「そうでしたか」
 三上の胸には奇妙な満足感が生まれていた。
 何故なのかは分からなかった。
「なんで今日は、ここに・・・・」
 菜穂子は言った。三上が此処にいるのが理不尽でもあるかのような言い方だった。
「いえ、ちょっとーー、叔父の十三回忌があったものだから」
 三上自身もまた、自分が不相応な場所に身を置いているかのような思いに捉われて言葉を濁し、言い訳がましく言っていた。
「そうでしたの」
 菜穂子は小さく、納得したように言ってから、
「こちらへは、よくいらっしゃるのですか ?」
 と聞いた。
 言葉遣いに昔の二人の関係を偲ばせる親しみ易さはなかった。それぞれの上に流れた時間の遥かなものが自ずと滲み出ていた。
「いえ、滅多に来ません。この駅に来たのも二十何年振りかの事で、昔と余り変わっていないので、懐かしく思っていたところです」
「あっ、電車がーー。あれに乗るのでは ?」
 ディーゼルカーが動き出していた。
 三上は走り去るディーゼルカーを見送りながら、
「次のにします」
 と言っていた。


           二


 次のディーゼルカーが来るまでには二時間以上の間があった。三上は「お急ぎでなかったら・・・」と言って菜穂子を誘った。
 駅前の四つ角にある「軽食喫茶」の小奇麗な店には、三上と菜穂子の他に客の姿はなかった。
 窓の外に見える庭の栴檀がしきりに黄色い葉を落としていた。
 三上は三十数年前、菜穂子からの手紙を受け取った時、慌てて電車に乗り、途中の乗り換え駅まで来て、そこで急に気持ちが変わって彼女への思いを断ち切った事は、その席では口にしなかった。
「じゃあ、今は幸せですね」
 と、菜穂子が現在の日常を穏やかに生きている、と言ったのを聞いて、三上がそう言った時、菜穂子は、
「ええ」
 と答えた。
 その答え方に迷いはなかった。
 三上は迷いのない菜穂子のそんな答え方に、彼女の言った幸せの嘘ではない事が確かに表れているような思いを抱いて、今では思い出す事もなくなっていたが、それでも菜穂子を前にしていると自ずと浮び上がっ来る、菜穂子に対する罪の意識のようなものが、幾分でも薄められてゆくような思いがしていた・・・・。

 菜穂子と向き合って過ごした小さな喫茶店での、三上にとっては思い掛けない幸福な二時間は瞬く間に過ぎていた。
 次のディーゼルカーの到着時間が迫って来ると菜穂子は三上を促して、
「もう、行かないと・・・・」
 と言った。
 喫茶店を出ると菜穂子は駅まで一緒に来て、自分の娘を送った時と同じようにホームに出て見送ってくれた。
 すでに暮色が立ち込めていた。駅舎にもホームにある小さな待合室にも明かりが灯されていた。
 菜穂子は三上が乗ったディールカーがホームを滑り出すと、かつての三上に見せたのと同じ笑顔を浮かべて小さく会釈をした。
 三上はその笑顔を見ると菜穂子にとっても、二人、向き合って過ごした喫茶店での二時間が、決して迷惑なものではなかったのだ、という思いがして来て気持ちが和んだ。と同時に、迫り来る夕闇の中で次第に小さくなってゆく菜穂子の姿を見つめながら、計らずも過ごした菜穂子との時間の中に、これまで自分が過ごして来たどんな時間にもなかったような、幸せなひと時を感じ取っていた。

 ディーゼルカーは次第に速度を増していた。三上はそんなディーゼルカーの車窓に移り変わる、夕闇の中の晩秋の景色に視線を向けたまま、菜穂子と過ごした幸福なひと時の余韻に浸っていた。そして、再び、菜穂子との今日のような時間を持つ機会はあるのだろうか、とかつての同級生達との連絡も絶ったまま生きて来た自分を思いながら三上は、もはや、決して取り戻す事の出来ない遠い過去の、菜穂子と過ごした日々の記憶に限りない懐かしさを抱きながら思いを馳せていた。


            三



 三十数年前、三上が菜穂子と再会したのは、三上が東京へ出てから一年半程が過ぎてからだった。





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           takeziisan様


            有難う御座います
           この猛暑の中 畑仕事は大変なのではないでしょうか
           土が乾いてしまう わが家の屋上菜園も御指摘通り
           ちっちゃな面積に水を遣る それだけでも大変と思うのに
           まして 畑となれば・・・ 御苦労が偲ばれます
           熱中症には くれぐれもお気を付けて下さい わたくしは
           家の中に居ても脱水症状のようなものがすぐに表れ
           その度に慌てて 塩を直に口の中に放り込み 冷たい水を飲みます
           元々胃弱で少し生水を飲むとてきめんに胃痛が現われ
           普段は湯冷ましをなどを飲むようにしているのですが
           塩を口にすると その痛みの出る事がなくてコップ二杯ぐらいの水も飲めます
           この塩のおかげでどうにか持ち堪える事が出来ています
            ど素人のふぞろいとまと
           愛嬌たっぷり 添え文と共に思わず笑いました
           それにしてもこの猛暑 野菜の生育も悪いのではないでしょうか
           わが家の庭のナナカマド 今年は梅雨の雨が少なかったせいか
           高く枝が延びません 毎年 冬には 余り大きくなってしまっては
           と思い 今年延びた枝を切り落とすのですが その枝が
           何時もの年のようには延びません これも水不足と熱さのせいかと思っています
            それにしても 様々な花々 よく 見付けられます
           お陰様で毎回 楽しく眼の保養をさせて戴いております
           なんとまあ 花の種類が豊富なんだろう と思います
            山の写真 涼しい気分を味わう事が出来ます
           良い写真で 御家族の懐かしい記憶と共に 宝物にもなりますね
           ブルーベリー 以前にも書いた事ですが 本当の贅沢とは何か 
           つくづく思います
            ダバダバダ・・・昭和四十一年 1966年なんですね   
           遥か遠い昔になってしまいました
            スイミングクラブ 夏の川での水泳を思い出しました
           泳ぎにいがねえが 誘い合って 西瓜を抱え 熱い砂の上を裸足で歩いて
           アッチ アッチ と言いながら川へ行ったものでした
           懐かしい思い出です
            何時もこの欄にお眼をお通し戴き御礼申し上げます
            有難う御座います 

  
                

           桂蓮様


            パソコンに向かう元気が戻ったとの事 良かったですね
            くれぐれも 御無理をなさらぬよう 御自身を労わって上げて下さい
            何時も詰まらない小説めいたものにお眼をお通し下さって感謝申し上げます
            ピリオドがない 作者としては はっきりピリオドを打っている積りです
            takeziisan 様へのお礼の文の中でも書きましたが
            最終行の 少しでも音を消す為には毛布で包めばいいと 書いたのがそれです
            ここで引き金を引く事を暗示しています         
            以前にも書いたと思いますが これ以上書くと小説としては蛇足になってしまうのです
            毛布でくるんだ猟銃の引き金に指を当て 引き金を引いた
            主人公はそれで誰にも気付かれず死を選び 翌日
            その死体が発見された
            これでは新聞記事なってしまいます
            お読み戴く方の想像力の入る余地がありません
            毛布で包めば音が消せるだろう・・・その先はお読み下さる方が
            その銃を喉に当てるか 頭に向けるか 心臓に向けて引き金を引くか 想像の余地が残され 
            その死の様子を想像出来ます その分 物語の世界が 
            読者の中でひ広がるのではないでしょうか
            お読み戴く方が想像する余地を残して置く ヘミングウェイの言っている事です
            現代詩などに於いてもそうです
            まるで文脈の通らない言葉が並べられていて
            あとは読む側が自分なりに判断しなければなりません
            読んですぐに理解出来る文章はそれだけ
            底の浅いものになってしまいます
            推理小説などの場合は犯人解明のための説明が
            必要だとは思いますが
             結局これは 最後には小説の方法論になってしまいます そして 
            わたくしは現在の方法論に従って書いているという事になるのだと思います
            桂蓮様には また別の小説に対する見方がお有りなのではないでょうか

             韓国社会は今 様々な分野で大躍進です
            それに比べ日本は衰退の一途を辿っています
            きっと世界に於ける地位も韓国の方が優れたものに
            なるのではないでしょうか
             日本に於いては何よりも国家の根源となる
            政治が無能です これをどうにかしなければ 益々  
            この国は衰退の道を辿って行きます
            現在の所 それを救い得るような優れた政治家は見当たりません
            わたくしは現在 ほぼ諦めの状態でこの国を見ています
             何時も有難う御座います
            幸せの裏面 拝見しました
            窓から吹き込んで来る爽やかな風に幸せを感じる
            これこそ 本物の幸せです
            幸せは何も遠い所にあるものではない 日常の至る所に存在しています 
            その幸せを 幸せとして感じ取る事が出来るかどうか
            あとはその人の知性と 感性です
            人間 ただ漫然と過ごしていてはその幸せを感じ取る事は出来ません
            今日も平凡に何事もなく 何時もの一日が終わった
            これに勝る幸せはありません ウクライナの現状を見れば
            分かる事です でも その何事も無い日常にもいつかは終わりが来る 愛する人が亡くなる等々・・・
             人間は畢竟 哀しく孤独な存在だと思います それだけに
            今 自分の傍に居る その人とのひと時を限りなく大切に
            貴重なものだと思って受け止める事が大切な事だと思います
             思いの外早かったブログ復帰 嬉しく思いますのと共に         
             くれぐれもご無理のなきようにと思います
             車に関してはわたくしは全く無知で何も分かりません
            免許証も無いものですから 当然 コメントなど出来ませんので無言 !   
            だんまりを決め込みます
             それにしてもアメリカは広く 延々と続く一本道など
            映画のシーンなどで眼にします 車は必需品ですね