遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(499) 小説 希望 (23) 他 歌謡詞 最果ての街 ほか 小説と詩

2024-05-26 12:15:55 | 小説
              最果ての街(1980.5.3日作)



 1 せめて面影捨てたくて 
   流れ流れて来たけれど
   ここは最果て海の街
   波の音にもあなたを偲ぶ

 2 帰る当てない東京は 
   遠く彼方にあるばかり
   呼ぶな呼ぶなと思っても
   ここは最果て北の街
   風の音にもあなたを偲ぶ

 3 なんで未練が今更に
   遠く昔は帰らない 
   バカねバカねと胸で泣く
   ここは最果て霧の町
   ドラの音にもあなたを偲ぶ


 
    小説とは 様々な出来事などに託して
    人間の行動 心理を描写し
    作者の理念 思想を伝えようとするもの
    詩とは 理念 思想を鋭角的な言葉の上に定着させ
    作者の心を伝えようとするもの




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              希望(23)



 
 北川の他には鳥越と頬に傷を持った男、滝田ともう一人の小柄な男、沢木がいた。
 現場は略図で説明された通りだった。
 ゴム工場の塀は五メートル以上と思われる高さがあった。
 道路は五、六メートルの幅でアスファルトで舗装されていた。
 公園を囲む金網の柵に沿って歩道があった。
 柵の高さはⅠメートル程。内側にはその柵より少し高いツツジと思われる木の植え込みがあった。
「いいか、奴を遣ったらすぐにこの柵を飛び越えて植え込みの中へ逃げるんだ」
 北川は言った。
 かなりの広さを持った公園だった。
 所々に大きな樹々もあって広場中央には花壇に囲まれた噴水が赤や青、黄の照明の中で鮮やかな水しぶきを上げていた。
 周囲には子供達の為の遊具やサッカーのグラウンドなどもあった。
 午後九時という比較的早い夜の時間にも関わらず公園内にも通りにも人影は無かった。
 柵に沿って二十メートル程の間隔で街灯が黄色味を帯びた光りを投げ掛けているのが少し気になった。
 車はゆっくりと走って交差点へ出た。
 北川は公園に沿って左へ曲がった。
 少し行くとやや古ぼけた感じの二階建てでそれなりの大きさを持ったコンクリートの建物が右手に見えて来た。
 北川はその建物を差して言った。
「あれが奴の居るアパートだ。奴は何時も歩いて帰(けえ)るもんで、奴がこの道へ曲がる前えの今来た通りで遣るんだ。仲間がお前(め)えと一緒に居っから、そいつの指示に従ってお前えは駅の方へ歩いて行く。そっで、奴と出会った所で道を聞く振りをして奴に近付き、隙を見て一気に刺す。奴はお前えの顔は知んねえけっど、いくら眼鏡を掛けて野球帽で変装してるっていっても、やっぱり暗(くれ)え所の方がいいんで、なるべく街灯から離れた場所で遣った方がいい」
「もし、一人でも人が歩いて来たりしたらどうする ?」
 修二は聞いた。
「その時は遣んねえでいい。人が来たと思ったら、奴とは距離を置いて通り過ぎてしまえばいい。日を改めてやり直すから」
 計画は翌週、水曜日の夜に決行される事になった。
「俺達はマッポ(警察)の眼を誤魔化すために現場へ行かねえで駅の近くの飲み屋でアリバイ作りに呑んでっから、車の運転は他の者(もん)に遣らせる。みんな信用出来る連中だから心配えしねくて大丈夫だ」
 北川は言った。
 当日、北川は出発直前になって、
「相手は柔道二段の猛者だから気を付けろよ。いいか、一気に遣っちゃうんだぞ」
 と注意した。 
 修二は北川のその言葉に思わず肝を冷やした。
 ええッ、という思いだった。
 何故、最初にそれを言わないんだ !
 修二が怖じ気付くのを思って隠していたとしか思えなかった。
 何処までも汚い野郎だ !
 それでも、今更、後に引く訳にもゆかなかった。
 修二を載せた車はそのまま動き出した。
 修二はジャンパーのポケットにナイフを忍ばせていた。
 自分が遣ると決まってからは夜毎、自分の部屋でナイフの扱い方を様々に試してみた。
 どうすれば相手に気付かれずにナイフを使えるか ?
 それなりの結論は出ていた。
 車はまず、公園の通りとは反対側の道路で修二ともう一人の男を降ろした。
 修二と男はそのまま公園内に入って実行現場の通りへ向かった。
 二人を降ろした車は駅前通りに向って走り去った。
 車の中には運転手ともう一人の男がいた。
 二人は駅前通りで相手の男が駅から出て来るのを確認してから、実行現場の通りを男のアパートの方角へ向かって走り、その曲がり角でクラクションを鳴らす。
 それが合図だった。
 修二はその合図と共に公園の繁みから道路へ出て、相手が来る方へ向かって歩いて行く。
 ーー修二と連れの男が繁みの中に身を隠してから何分かが過ぎた。
 どれだけの時間だったかは分からなかったが、修二には不安と緊張感に満ちた長い時間だった。
 やがて、先程、修二達を降ろした車が繁みに居る修二達の前をゆっくりと通り過ぎるのが見えた。
 少ししてからクラクションが聞こえた。
「今だ、出ろ !」
 修二と居る男が緊張感に満ちた声で言った。
 修二はその言葉と共に繁みを出てすぐに金網を乗り越えた。  
 まだ遠くを歩いている相手の男は、手元の何かを見ながら歩いていて、修二が通りに出た事には気付かなかった。
 修二はそのまま男に向って歩いて行った。
 心臓が緊張感で早鐘を打った。
 ナイフは右腕に握ったまま、腕の内側に隠す様に貼り付けて持っていた。
 親指は飛び出しボタンにしっかりと押し付けられていた。
 あとはボタンを押すだけだ !
 男の姿が次第に大きくなって来た。
 身長Ⅰメートル六十五センチの自分より十センチ以上は大きい事が次第にはっきりして来た。
 柔道二段だという体躯は近寄り難い気がした。
 それでも、遣らなければならない・・・・
 もし、逃げ出してしまえば北川達のいい笑い者になる。
 笑い者にだけはなりたくなかった。
 その上、現金も既に受け取っている。
 息苦しくなる程の緊張感を抱いたまま修二は男に向って歩いて行った。
 四、五メートルの距離になると歩道から大通りへ出て男の方へ近付いていった。
 男は依然として手元の何かに視線を落としたまま歩いていて、修二が近付いて行く事にも気付かなかった。




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                takeziisan様


                民謡の数々 どれも懐かしい歌ばかりです 
               越中おわら いいですね ずっと昔になりますが
               この越中おわらをテーマした番組がNHKテレビで放送された事がありました
               その番組の素晴らしに魅かれて再放送の際に録画したものです
               今でもテープを持っていますがテープも今や骨董品になってしまって・・・
               あの哀愁を帯びた歌の素晴らしさ それにしても
               民謡はどの地方の民謡もそれぞれに特色があって素晴らしいです
               市丸 懐かしいですね 小唄勝太郎と民謡界の双璧
               当時はお互いが意識し合って仲が悪いなんて噂されたものですが
               これもやはりNHKの番組で二人揃って出場して 仲の睦まじさを
               演出してみせたものです 実態はどうであったのでしょう
               いずれにしても双璧であった事には間違いありません
               それに赤坂小梅 あの太った小柄な身体と共に鹿児島おはらは
               小梅の代名詞みたいなものでしたね
               ちょっと早く亡くなってしまいましたが
               画面で見るのは高校生でしょうか
               こうして若い人達に歌い継がれるのを見るのは嬉しいものです
               ドジョウすくい 絶品です いつ見ても楽しい踊りです
               それこそ国民の公共放送 NHKはこういう地方の生活を大切にした
               番組を地道に放送して貰いたいものですが 最近のNHKは全く
               民放化してしまってコマーシャルは流すは 訳の分からない
               タレント達が寄り集まってガヤガヤ騒ぐはで公共放送の品位も良さも
               全く感じられなくなってしまいました
               こんな所に視聴料を払っているのかと思うと腹が立って来ます
                桑の実 ドドメ もうそんな季節なんですね  
               此処に居ては季節も感じられません 四キロ
               野菜の稔りと共に羨ましく思います 
                川柳 老齢川柳 君恋し 特に共感一入です
               何時もながらに楽しい時間を過ごさせて戴きました
               有難う御座います
               何時も駄文にお眼をお通し戴く事と共に
               御礼申し上げます