田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

ウエスタン・ユニオン例会の記録1

2022-11-26 23:05:01 | 俺の映画友だち

第2回(2008.6.14.)

 熱狂的な西部劇ファンが集う「ウエスタン・ユニオン」の2回目の例会に出席。亡くなった水野晴郎氏についての話題も出た。3次会? として、地元近く目黒の「LITTLE TEXAS」というウエスタンバーで、カントリーミュージックの生演奏をバックにウエスタンダンスを踊るという快挙(暴挙?)付き。貴重な経験でした。ジョン・トラボルタ主演の『アーバン・カウボーイ』(80)を思い出した。


第3回(2008.10.5.)トーク『映画と出版』

 「第3回ウエスタン・ユニオン」に出席。今回は幹事を務めたこともあり忙しかったのだが、全体的に楽しい会となったのでホッとした。後日、誘われて吉祥寺の「ハートフォード」という店にモデルガンを見に行く。


第4回(2009.1.24.)

 ウエスタン・ユニオン・特急便 第4号『荒野の七人』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7afe87fbf4ebcab2aac7bc6ac20e715b


第7回(2009.10.10.)

 第7回を迎えたウエスタン・ユニオンの例会に出席。今回は2度目の幹事を務めさせていただいた。アンケートは「初めて見た西部劇映画」。上は80代から下は20代まで、さまざまな職業を持った人たちが、幅広いユニークな回答を寄せてくださったので集計していても楽しかった。二次会では同世代が集り、テレビの洋画劇場で熱く映画を見ていたころの話で盛り上がった。


第9回(2010.4.10.)

 著書『人生を豊かにするための50の言葉 名作映画が教えてくれる最高の人生の送り方』の即売会をさせていただいた。感謝。


第11回(2010.10.9.)

 今年最後の例会となった。皆さま良いお年をお迎えください。


第12回(2011.1.15.)

 

 今年最初のウエスタン・ユニオンの例会に出席。編集を担当した記念誌『よみがえる西部魂』が完成した。


第13回(2011.7.9.)

 4月の例会が震災の影響で中止になり、半年ぶりに開催。皆さんお元気でなによりでした。


 

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第48回ウエスタン・ユニオンの例会に出席

2022-11-26 22:42:46 | 俺の映画友だち

 2020年の1月以来、コロナ禍で休会となっていた、西部劇同好会の例会が約2年10カ月ぶりに復活した。

 開催場所となった表参道の「チャック・ワゴン」は、アメリカンスタイルのダイニングで、テキサス・メキシコ料理をアレンジしたオリジナルメニュー。いかにも西部劇の世界とマッチしている。

 長い間ここで例会を行ってきたのだが、会員数の増加とともに手狭となり、仕方なく他に場所を移して行われてきた。今回、久しぶりに訪れて、昔を思い出しながら、とても懐かしい気分になった。そして、こういう会合は、やはりオンラインではなく、面と向かって話をするのが楽しいと、改めて感じた。

 「新作映画の紹介」というお題をふられたので、『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(1月13日公開)と『生きる LIVING』(3月31日公開)について、少し話をさせていただいた。


『モリコーネ 映画が恋した音楽家』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/75e9fb6061a71526c1f956dfe76ddf9c

『生きる LIVING』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c6a3517f991014ea9cd0100215b315f5

 

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「怖かった映画」

2022-09-17 11:44:01 | 俺の映画友だち

 さる映画同好会で「怖かった映画」のアンケート結果が発表された。結果は以下の通り。

4票:『何がジェーンに起こったか?』(62)『リング』(98) 
3票:『悪魔のいけにえ』(74)『サイコ』(60)
2票:『エクソシスト』(73)『キャリー』(76)『ジョーズ』(75)
『ジョニーは戦場へいった』(71)『白い肌の異常な夜』(71)『脱出』(72)
『博士の異常な愛情』(64)『ディア・ハンター』(78)『はだしのゲン』(76)『淵に立つ』(16)


自分は

子どもの頃トラウマになった2本

『何がジェーンに起こったか?』(62)(1968年7月28日・日曜洋画劇場)
『吸血狼男』(61)(1968年8月18日・日曜洋画劇場)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/532c2bae1f75f027985e4473754f2f03


怪獣・妖怪もの

『ゴジラ』(54)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1ae333726cbaaf350e45f35836da4ef2

『美女と液体人間』(58)神出鬼没の液体人間
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/16cbcf2dd1f47011f7c1a7d9e01251a5

『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(66)人食いガイラ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5f6b5fb072b234adb86ca8c9a6280468

『妖怪百物語』(68)ろくろっ首
『妖怪大戦争』(68)バビロニアの妖怪ダイモン
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0ca517270a2009fad74e6b7d7bdbbb33


中学生や高校生になると怖さの種類が変わった。

『サイコ』(60)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0005a42e5072b8810e494f93a4080738

『激突!』(71)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/04e1817c00a5cf7a048c34ef650960e6

『ジョーズ』(75)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0bd95bd9178df90d39c6f227e0ed9a59

 怖いのと、気味が悪いのと、びっくりするのとではどう違うのか…。

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1929年以前の映画ベストテン2

2022-07-23 06:38:22 | 俺の映画友だち

『キートンの探偵学入門』(24)バスター・キートン

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5fc85e7ffa12bbbdc7e541eed384ac4c


『黄金狂時代』(25)チャップリン

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/61ebef50ca2876b1fa34be2615d2996b

「名画投球術」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8e7c815c961600dfe685f21a151c1858


『雄呂血』(25)二川文太郎

『カツベン!』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/54733c46bbc92a13b6e1515e02750a55


『メトロポリス』(26)フリッツ・ラング 『20世紀の映画』『文化の泉』から


『サーカス』(28)チャップリン 『淀川長治の証言 チャップリンのすべて』から


 グリフィスの『イントレランス』(16)とセルゲイ・エイゼンシュタインの『戦艦ポチョムキン』(25)は所々しか見ていないので…。日本映画は現存していないものがほとんどなので…。『大列車強盗』を入れるなら、ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』(02)も入れるべきなのかなどと結構迷った。

チャップリンで10本でもいい。
『午前一時』(16)
『移民』(17)
『犬の生活』(18)
『担え銃』(18)
『キッド』(21)
『給料日』(22)
『偽牧師』(23)
『巴里の女性』(23)
『黄金狂時代』(25)
『サーカス』(28)


 

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1929年以前の映画ベストテン1

2022-07-23 00:36:17 | 俺の映画友だち

 さる映画同好会で1929年以前の映画ベストテンのアンケート結果が発表された。結果は以下の通り。

1位『メトロポリス』
2位『黄金狂時代』『カリガリ博士』『キートンの探偵学入門』『戦艦ポチョムキン』
6位『キッド』『ロイドの要心無用』
8位『イントレランス』『サンライズ』『雄呂血』


 自分のベストテンは
『大列車強盗』(03)エドウィン・S・ポーター 『20世紀の映画』から

『テスラ エジソンが恐れた天才』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/05eebded4cc99b7398a8398d4c5da7cd


『散り行く花』(19)D・W・グリフィス 『淀川長治の証言 20世紀映画のすべて』『20世紀の映画』から


『キッド』(21)チャールズ・チャップリン

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8c8dd6d55c05c8cf215a5e11964c894b


『ロイドの要人無用』(23)ハル・ローチ、サム・テイラー他 『淀川長治の証言 20世紀映画のすべて』『20世紀の映画』から

 


『アイアン・ホース』(24)ジョン・フォード 『20世紀の映画』から

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5e9750b4e75702c53e089d92691cbd8a


 

 

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『騎兵隊』上映会

2022-04-17 07:15:34 | 俺の映画友だち

『騎兵隊』(59)(2022.4.16.人形町・三日月座)

 以前見直した時には、何かすっきりしなくて、この映画には“フォードの魔法”がないなどと思ったのだが、今回は、なかなかよく出来ているじゃないかと思わされてしまった。

 それは、初めてスクリーンで見たせいか、自分が年を取ったせいか、あるいは、最近、妙にひねったり、屈折した映画ばかり見ているせいか…。恐らくその全てが理由だろう。この映画から、何か悠揚迫らぬものを感じたのだ。

 また、例えば、孫のダン・フォードが書いた『ジョン・フォード伝』のこの映画の件を読むと、「『騎兵隊』はフォードにとって、不快な経験でしかなかった。煩雑な駆け引き、下らない雑用、(プロデューサーの)マーティ・ラッキン相手の再三にわたった論争のつけを回され、(スタントマンの)フレッド・ケネディの死で引導を渡されたようなものだった」とある。

 ピーター・ボグダノビッチの『インタビュー ジョン・フォード』では、フォードはこの映画について「私はこの映画を見ていない」と語っている。

 つまり、フォードにとっては、あまり思い出したくない映画なのだろう。で、そういうことを知った上で、改めてこの映画を見ると、その割にはなかなかよく出来ているじゃないか、ということにもなる。思えば、そう思わせることも、“フォードの魔法”によるものなのかと考え直した。

この映画には“フォードの魔法”がない
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/832b2c307e01964b223d50c1349a1a42

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「クリント・イーストウッド監督作品ベスト3」

2022-03-27 07:27:29 | 俺の映画友だち

 さる映画同好会で、「クリント・イーストウッド監督作品ベスト3」のアンケート結果が発表された。最多得票を集めたのは『グラン・トリノ』(08)だった。

「クリント・イーストウッド監督作品ベスト3」の結果は
1.『グラン・トリノ』
2.『許されざる者』(92)
同.『恐怖のメロディ』(71)
4.『運び屋』(18)
同.『チェンジリング』(08)
同.『ミリオンダラー・ベイビー』(04)
7.『ミスティック・リバー』(03)

自分は
 『グラン・トリノ』(08)『運び屋』(18)『クライ・マッチョ』(21)(脚本ニック・シェンクによる“晩年三部作”として)。
(裏は西部劇で)『アウトロー』(76)『ブロンコ・ビリー』(80)『ペイルライダー』(85)

「クリント・イーストウッド監督の全盛期はいつか」というお題もあった。

 若い頃は作品の出来不出来にむらがあった。だから、普通なら、監督として成熟した『許されざる者』(92)『ミスティック・リバー』(03)『ミリオンダラー・ベイビー』(04)あたりを全盛期とすべきなのだろう。だが、自分としては『ジャージー・ボーイズ』(08)から『クライ・マッチョ』(21)に至る、余裕のある映画作りと作品の出来の良さを見るにつけ、今こそが監督としての彼の全盛期なのではないかと思っている。

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1930年代洋画ベストテン(裏その2・フランク・キャプラ監督作・その3)

2022-02-20 08:01:29 | 俺の映画友だち

『失はれた地平線』(37)(1994.4.13.)

 

 外交官ロバート・コンウェイ(ロナルド・コールマン)のもとに、理想郷シャングリラへの案内人が現れる。その地の住民となる資格を得たコンウェイは、そこで運命の人ビゼー(ジェーン・ワイアット)と出会う。安らぎと喜びの日々が過ぎるが、やがてコンウェイは、ある決断に迫られる。

 なぜこの映画を今まで見なかったのか。その理由は、主演のコールマンが、フランク・キャプラ的な世界の具現者であったジェームズ・スチュワートやゲーリー・クーパーに比べると、違和感があったことが大きいし、聞きかじりや読みかじりの情報によれば、これまたキャプラ的な世界とは異質なSFタッチというところにも、疑問を感じたからである。

 ところが、見終わった今は、この映画が描いた理想郷こそは、キャプラが好んで描いた、夢のような人間や社会の姿が最も的確に表現されたものなのかもしれないと思った。

 加えて、キャプラの映画は、変な言い方だが、総じて科学的ではないSFみたいなものだから、彼がこの映画を撮ったのも至極当然のことだという気がしたし、後の『群衆』(41)同様、迫りくる戦争への警鐘や皮肉として見られないこともない。

 そして、危惧していたコールマンも思いのほか適役で、『毒薬と老嬢』(41)のケ―リー・グラント同様、これはこれでスチュワートやクーパーとは違った味わいがあった。脇を固めるキャプラ映画おなじみのトマス・ミッチェル、エドワード・エバレット・ホートン、H・B・ワーナーも見事であり、ジェーン・ワイアットという幻の女優も美しかった。

 それにしても、『或る夜の出来事』(34)から、『オペラハット』(36)、この映画、『我が家の楽園』(38)『スミス都へ行く』(39)、そして『毒薬と老嬢』と『群衆』と、第二次大戦前のキャプラの映画は本当に素晴らしいと改めて感じたのだが、戦後は『素晴らしき哉、人生!』(46)しか傑作を生めなかったのだから、戦争が彼に与えた傷の深さや時代の変転を思うと胸が痛む。

『オペラハット』(36)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a4c634b87148c96bb2ef64b59ce01e7d

『我が家の楽園』(38)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/eca042da7dea8e5de19a19dbbe9b9bb5

『スミス都へ行く』(39)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4eeb8cdcc989fc8c0bbe0130ae60e4ea

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1930年代洋画ベストテン(裏その2・フランク・キャプラ監督作・その2)

2022-02-19 16:07:46 | 俺の映画友だち

『一日だけの淑女』(33)(1997.12.9.)

 街でリンゴを売り歩きながら、細々と暮らしているアニー(メイ・ロブソン)の元へ、留学中の娘が婚約者とその父親を連れて戻ってくるとの連絡が入る。彼女は貧しい暮らしを隠すため、ギャングの親分デーブ(ウォーレン・ウィリアム)の協力を得て一日だけ淑女に成り済ますが…。

 後年の『ポケット一杯の幸福』(61)のオリジナル映画。確かに、これを見てしまうと『ポケット~』に対する世評の低さも仕方がないと納得させられる。

 両作の大きな違いは、やはり作られた時代にあるのだろう。大不況の最中に人々が映画に対して夢を抱いていた30年代と、価値観が大きく変転し、テレビが映画を追い越した60年代とでは、同じ話を語っても、観客の心への響き方は大きく異なるからだ。

 また、キャプラが映画監督として最も脂が乗り切っていた30年代の作品と、引退作とでは比べるべくもない。『一日だけの淑女』には、キャプラの自らの映画に対する自信がみなぎっており、時代が変わっても、見る者を酔わせる夢物語としての迫力があるからだ。

 いつか黒澤明が「オリジナルには、作られた時代故の力があるのだから、リメークは無意味だ」と語っていたが、まさしくその通りだった。

名画投球術No.1「たまには幸せになれる映画が観たい」フランク・キャプラ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9e99f5d4aed0879a4acec261f63f830c

『ポケット一杯の幸福』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1c3156811cfee161832ad7a1aeb7fca6


『或る夜の出来事』(34)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6378baebc12f8f5501d9152e81ceb4b3


『其の夜の真心』(34)(1997.12.9.)

 大富豪の令嬢と結婚したダン(ワーナー・バクスター)は、義父と衝突し、愛馬ブロードウェイ・ビルを連れて家を飛び出す。ダンは、愛馬をダービーに出走させるべく奮闘するが…。

 これまた、後にビング・クロスビー主演で『恋は青空の下』(50)としてリメークされたものとは比べるべくもない、自信に満ちあふれた映画で、オリジナルの圧倒的な勝利であった。

 この映画の白眉は、ラスト近くのブロードウェイ・ビルの馬券に、大衆が流れていく様子を描いた、マスヒステリー的な状況におけるたたみかけのシーンであった。キャプラ映画お得意の“ラストシーンの奇跡”に大いなる説得力を与える伏線がここにも如実に表れていた。

 ただ、「フランク・キャプラのアメリカン・ドリーム」によれば、この映画のラストに示されたブロードウェイ・ビルの死について、観客は「ノー」と叫んだという。

 つまり、この映画の時点では、キャプラ自身も“ラストシーンの奇跡”を信じ切ってはいなかったことになる。初めから楽天家のキャプラではなく、観客のニーズによって変身していった事実が、この映画には示されているのである。

『恋は青空の下』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e5e72684bd8c56814501e8ba2f3fa17e

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1930年代洋画ベストテン(裏その2・フランク・キャプラ監督作・その1)

2022-02-19 07:59:57 | 俺の映画友だち

1930年代が全盛期だったフランク・キャプラ監督作でも10本並ぶ。

『奇蹟の処女』(31)(1997.12.8.)

 父親に代わり教会の運営を引き継いだフローレンス(バーバラ・スタンウィック)は、金もうけを企んだ詐欺師に利用され、インチキな宣教師として活動を始める。そこに、彼女の説教に心を動かされたという盲目の青年(デビッド・マナース)が現れて…。

 「フランク・キャプラのアメリカン・ドリーム」というドキュメンタリーによれば、キャプラは映画界に入る前は詐欺師まがいの行商をしており、その際に、大衆が何にだまされ、喜び、泣くのかを知り、それを促すための手練手管の才を身につけていったのだという。

 というわけで、この映画にも、大衆がいかに扇動されやすいのかが描かれている。つまり、一種のマスヒステリー的な状況が実に巧みに描かれており、後年の『オペラハット』(36)『スミス都へ行く』(39)『群衆』(41)などの萌芽が見られるのだ。

 その半面、いかにもキャプラらしい、例えば、ヒロインに恋する盲目の青年の腹話術人形による間接的な愛の告白など、ハートウォームなシーンも用意されており、まだ未完成ながら、人間の光と影を巧みに交差させる手法の萌芽も、この映画に示されていたのは興味深かった。


『プラチナ・ブロンド』(31)(1998.1.20.WOWOW)

 名家の令嬢(ジーン・ハーロー)と新聞記者(ロバート・ウィリアムズ)との恋愛を、生活のギャップという皮肉を交えながら描く。2人にロレッタ・ヤング演じる同僚記者を絡めた男女間の微妙な三角関係劇、上流社会のきゅうくつさへの痛烈な皮肉、粋なハッピーエンドなど、この映画にも、後のキャプラ的な世界につながる要素が見られ、改めて、キャプラの映画の一貫性を感じた。

 幻のセックスシンボル、ジーン・ハーローと初対面。なるほど、伝説となっただけのことはあって、その存在感の強さや、後のグラマーガールたちの元祖ということは確認できたが、正直なところ、マリリン・モンロー同様、この手のタイプの女優は好みではない。


『風雲のチャイナ=袁将軍の苦いお茶』(33)(1997.12.8.)

 結婚を控えたミーガンは動乱の中国で婚約者と離れ離れになる。彼女を救ったのは野蛮で残酷な袁将軍だった。

 この映画も、『奇蹟の処女』同様にバーバラ・スタンウィックが主演している。「フランク・キャプラのアメリカン・ドリーム」によれば、この時期キャプラとスタンウィックは恋仲だったらしいから、彼としては、恋人を窮地に追い込み、その中でいかに美しく見せるかに専心した映画だという感じがした。

 舞台は内戦が続く中国。そこに赴任した宣教師と中国の将軍との恋模様という壮大なストーリーなのだが、将軍に扮するニルス・アッサーに施された、つり上がった細い眉というメークに象徴されるように、西洋から見た一方的な東洋観が如実に示される。それ故、時折魅力的なシーンはあるものの、スタンウィック演じる宣教師が、なぜ将軍に引かれていくのかもよく分からない。

 キャプラが、後に理想郷としての東洋である『失はれた地平線』(37)を撮り、戦中は反日の国策ドキュメンタリーを撮る短絡さのルーツがここにあった、といっては言い過ぎかもしれないが、あれほど人間の裏表を巧みに描いた監督も、文化の違いという壁は超えられなかったということか。あるいは、キャプラがアメリカを信じ過ぎたが故の悲劇というべきなのか。

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