ハリソン・フォードの演じ分けのコツはヘアスタイルにあり?
巨大IT企業のCEO同士の争いに巻き込まれ、スパイとしてライバル会社に入社した一人の若者(リアム・ヘムズワース)。彼の運命やいかに…。見どころは、ヘムズワースの活躍に加えて、『エアフォース・ワン』(97)以来となる、ハリソン・フォードとゲイリー・オールドマンによるベテラン対決。
その一方、ニューヨーク、イースト川を隔てたブルックリンとマンハッタンの格差という構図は、かつて『サタデー・ナイト・フィーバー』(77)でも色濃く描かれていたし、叩き上げの労働者の父親(リチャード・ドレイファス)と成り上がりを夢見る息子の対立は、『ウォール街』(87)のマーティン&チャーリー・シーン親子の姿とも重なる。というように、本作は、ITという最先端の企業の裏側を描いてはいるが、ストーリー自体はオーソドックスな造りになっている。
ところで、70歳を過ぎたハリソン・フォードが本作では丸刈りで登場する。
その姿を見ながら、『心の旅』(91)を見た際に書いたメモのことを思い出した。
~ハリソン・フォードの役に対する演じ分けのコツはそのヘアスタイルにある。この映画でも、前半の敏腕弁護士時代は、珍しく髪をオールバックにすることで、この男の持つ嫌らしさや思い上がりを強調している。一転、事故で記憶を失い、子供のように無垢な心を持った男に生まれ変わった後は、ソフトな真ん中分けにして、いつもの好漢に戻ってみせる。もちろんこれが演じ分けのコツの全てではないが、やはり見た目は大事なのだと思わされる。~
今回の丸刈りにもちょっと驚かされた。