原稿作成のためオットー・プレミンジャー監督、ゲーリー・クーパー主演の『軍法会議』(55)を見る。
第一次大戦終結直後、日本の真珠湾攻撃を予見し、空軍の独立とパイロットの安全確保を訴えながら、軍法会議で有罪となったビリー・ミッチェル大佐(クーパー)を主人公に描く。晩年のクーパーは、老いが目立ち、若手に食われる場面も多いのだが、本作で、検事役のロッド・スタイガーが、ねちねちとクーパーをいびるシーンは、見ていて本当につらくなる。
寄ってたかってクーパーをいじめるような展開を見ながら、まるで赤狩りのようだと思ったら、何と赤狩りで仕事を追われたダルトン・トランボとマイケル・ウィルソンがノンクレジットで脚本に参加していた。
また、タブーに挑み続けたプレミンジャー作ということで、裁判を通して軍隊の複雑さを描いているところが面白いのだが、裁判長役のチャールズ・ビックフォード、弁護側のラルフ・ベラミーといった舞台出身の俳優たちのうまさが際立つ映画でもあった。
パンフレット(56・不明)の主な内容は
解説/物語/ゲイリイ・クーパー、エリザベス・モンゴメリイ/ビリイ・ミッチェルという男/判決後のビリイ・ミッチェル/撮影余話
解説/物語/「法廷映画」の異色 盛り上がる人間像(槇由起雄)/ゲイリイ・クーパー/エリザベス・モンゴメリー/判決後のビリイ・ミッチェル