原稿作成のため、ジョン・ウェイン製作・主演の『ケンタッキー魂』(49)を見る。
舞台は1819年のアラバマ。英国軍との戦いに参加し勝利したケンタッキー連隊は、故郷に引き上げる途中、アラバマに立ち寄る。一方、アラバマにはワーテルローの戦いに敗れたナポレオン軍の残党が流れ着き、米政府から四つの地区を与えられて住み着いていた。
この映画は、この二つの史実を踏まえて、フランス人居留地の開拓をめぐる陰謀に、元ケンタッキー連隊の隊員ブリーン(ウェイン)と仏軍の将軍の娘フルーレット(ヴェラ・ラルストン)の恋を絡めた開拓民たちの物語として創作されたもの。
“極楽”と呼ばれた喜劇コンビ、ローレル&ハーディのオリバー・ハーディが、ブリーンの相棒役で出演し、ウェインとの楽しい掛け合いを見せてくれる。
ヒロインのフルーレットを演じたヴェラ・ラルストンは、チェコ代表としてオリンピックにも出場した元フィギュアスケーター。第二のソニア・ヘニー(ノルウェー出身の元フィギュアスケーター女優)にはなれなかったが、後にリパブリックのオーナー、ハーバート・J・イエーツ夫人の座に収まった。
“アメリカの歴史秘話”に加えて、そうしたキャスティングの面白さもこの映画の見どころの一つだ。
パンフレット(50・アメリカ映画宣伝社(American Picture News))の主な内容
解説/物語/よみものB級映画論(上村弘之)/アメリカの批評/この映画に関連して/試写室だより「頭上の敵機」/今週の話題