田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『さよなら、僕のマンハッタン』

2018-03-08 09:08:11 | 新作映画を見てみた
『卒業』+ウディ・アレン



 映画の舞台はニューヨーク。大学卒業後の人生に迷うトーマス(カラム・ターナー)が、不思議な隣人(ジェフ・ブリッジス)と、父(ピアース・ブロスナン)の愛人(ケイト・ベッキンセール)との出会いによって、本当の自分を見付けていく様子を描く。マイク・ニコルズの『卒業』(67)とウディ・アレンの諸作を混ぜ合わせたような、皮肉とほろ苦さを含んだ青春物語だ。
 
 ちと話はそれるが、原題の「The Only Living Boy in New York=ニューヨークの少年」は、サイモン&ガーファンクルのアルバム『明日に架ける橋』(70)に収録された曲から取られている。これはポール・サイモンが、当時メキシコで『キャッチ22』(70)(これもニコルズ監督作)を撮影中のアート・ガーファンクルに向けて書いた曲で、ニューヨークに一人残ったサイモンの心境が歌詞に反映されている。だから、曲の出だしで呼び掛ける「トム」とはガーファンクルのことなのである。彼らはサイモン&ガーファンクル以前は、トムとジェリーを名乗っていたのだ。

 で、この映画は主人公をトムと名付けることで、曲との関連性を明示し、「なるほど」というシーンでこの曲を流す。というわけで、映画の内容もさることながら、同じくサイモン&ガーファンクルの曲を使った点でも『卒業』をほうふつとさせるのだ。

 去年は「ベイビー・ドライバー」で、今年が「ニューヨークの少年」なら、来年は「手紙が欲しい」か。それにしてもなぜ邦題を「ニューヨークの少年」にしなかったのだろうか…。

昔から大好きなこの曲「The Only Living Boy in New York=ニューヨークの少年」
https://www.youtube.com/watch?v=FnWETcpOfS4
https://www.youtube.com/watch?v=qwLphqOs4vA
コメント
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