蚤とりとは、猫の蚤を取ると見せかけて、裏では女性に奉仕する男娼のこと。江戸時代に実在したという。
この映画は、殿さま(松重豊)の命により、「蚤とり」となった小林寛之進(阿部寛)が主人公の一種の艶笑コメディー。ただし、寛之進の性格や、殿さまとの関係の描き方が中途半端なもので、分かったような分からないような、妙な気分にさせられる。
また、見えそうで見えないところが、艶笑コメディーたる由縁だが、描写が生々し過ぎて、かえって興ざめさせられた。のみとり屋の親分役の風間杜夫がさすがのうまさを見せるのが救いか。