田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『エノケンの拳闘狂一代記』

2023-10-15 19:48:22 | 映画いろいろ

『エノケンの拳闘狂一代記』(49)

 ボクサーの江之吉(エノケン)は八百長の名手。今日も敗戦の祝杯を挙げているところへ女房が死んだという報せが入る。自分が父親では将来肩身が狭かろうと息子の道夫を幼友達のおぎん(清川虹子)に預ける。時は過ぎ、学校を卒業する道夫(堀口宏)から、ボクサーになりたいと聞いて江之吉もおぎんも驚く。監督・渡辺邦男、音楽・栗原重一。

 前に見た『エノケンのホームラン王』(48)のボクシング版といったところ。準主役の堀口宏(ピストンの弟)をはじめ、当時の名ボクサーたちの動く姿が見られ、今となっては貴重な映像記録になっている。

 映画全体としては、いかにも即席で作られた感じで、今の目から見るとエノケン(東京)対田中春男(大阪)の対比のおかしさが印象に残る程度だが、まだテレビがなかった当時の人々にとっては、新聞や雑誌の記事でしか知り得ないボクサーたちの姿をエノケンと一緒に見られたのだから、一石二鳥だったのではないか。そう考えると、こうした映画はテレビの普及とともに、消えゆく運命だったのかもしれないと感じた。

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『エノケンのホームラン王』

2023-10-15 11:26:56 | 名画と野球のコラボ

『エノケンのホームラン王』(48)(1991.1.25.)

 ジャイアンツファンの肉屋の健吉(エノケン)は、長年の夢をかなえてジャイアンツにマスコットボーイとして入団。憧れの選手と全国を回るが…。三原脩監督、川上哲治、青田昇ほか、当時の巨人軍の選手が総出演。監督・渡辺邦男、音楽・栗原重一。

 戦後間もない昭和23年の映画。復興に向かう世相と当時の野球熱の高さがうかがえ、なかなか興味深かった。しかも、当時のジャイアンツの選手たちの動く姿がたっぷりと見られるというおまけ付き。実際、エノケン云々よりも、伝説として聞いただけだった彼らのプレーぶりの方に目が行ってしまった。


登場する主なメンバーは

総監督・三原脩。この年は2位。50年に辞任し、西鉄、大洋、近鉄、ヤクルトの監督を歴任。独特の采配から“三原魔術”と呼ばれる。

監督・中島治康。49試合、152打数37安打、本塁打4本、打点20、打率243。日本初の三冠王。この年監督兼任。50年大洋へ移籍。

捕手・内堀保。87試合、253打数56安打、本塁打0本、打点16、打率222。現役最後の年。スカウト、コーチを歴任。沢村栄治の球を受けた生き証人。

一塁手・川上哲治。135試合、504打数150安打、本塁打25本、打点105、打率298。この年の本塁打王。ご存じ“打撃の神様”。後のV9監督。

二塁手・千葉茂。135試合、522打数148安打、本塁打14本、打点57、打率284。ニックネームは“猛牛”。川上との監督争いに敗れ近鉄の監督に。バファローズの由来となった。

三塁手・山川武範。126試合、457打数122安打、本塁打2本、打点36、打率267。戦後、ジャイアンツでプロ野球に復帰。

遊撃手・白石勝巳。117試合、392打数86安打、本塁打3本、打点15、打率219。ニックネームは”和製キャグニー”。ジャイアンツ復帰1年目。50年に広島に移籍。後に監督としてカープの基礎を築く。

左翼手・平山菊二。140試合、525打数143安打、本塁打11本、打点68、打率272。ニックネームは”塀際の魔術師”。自己最多本塁打の年。50年大洋に移籍。

中堅手・青田昇。140試合、569打数174安打、本塁打25本、打点99、打率306。ニックネームは”じゃじゃ馬”。この年川上と本塁打王を分け合う。53年大洋へ移籍。阪急、阪神などでコーチを歴任。

右翼手・呉新亨。96試合、246打数54安打、本塁打1本、打点19、打率220。台湾出身。萩原寛と改名。

宇野光雄。22試合、38打数6安打、本塁打0本、打点2、打率158。ニックネームは”おとぼけのウーやん”。54年に国鉄へ移籍。

武宮敏明 88試合、217打数38安打、本塁打2本、打点15、打率175。後の鬼寮長。


投手
中尾碩志。47試合、27勝12敗、投球回343、奪三振187、防御率1.84。自己最多勝。後にピッチングコーチ。

川崎徳次。47試合、27勝15敗、投球回318.1、奪三振82、防御率2.31。自己最多勝の年。50年西鉄へ移籍。西鉄、阪神などでコーチ。

藤本英雄 22試合、8勝5敗、投球回131、奪三振51、防御率1.74。ジャイアンツ復帰1年目。翌年から5年連続二けた勝利。日本初の完全試合を達成。

多田文久三。31試合、13勝9敗、投球回206.2、奪三振63、防御率2.96。56試合、114打数25安打、本塁打1本、打点9、打率219。打者との二刀流。

小松原博喜 34試合、4勝6敗、投球回134.1、奪三振54、防御率2.27。67試合、106打数26安打、本塁打1本、打点14、打率245。多田同様の二刀流。

 以上が、この映画に登場した当時の主力選手たち。50年の2リーグ分裂の際に他チームに移籍した選手が多い。49年に水原茂がシベリアから帰国し、三原は監督の座を追われ西鉄へ。後に日本シリーズで水原に借りを返す。同年、別所毅彦が南海から移籍してくる。

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「泣いた映画10本」

2023-10-15 01:31:51 | 俺の映画友だち

さる映画同好会での非公式映画アンケート「泣いた映画10本」

結果は
1位(5票)『二十四の瞳』(54)
2位(4票)『火垂るの墓』(88)
3位(3票)『キッド』(21)『砂の器』(74)
4位(2票)『E.T.』(82)『五つの銅貨』(59)『禁じられた遊び』(52)『警察日記』(55)『シェーン』(53)
『素晴らしき哉、人生!』(46)『タレンタイム~優しい歌』(09)『トイ・ストーリー3』(10)『泥の河』(81)
『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)『パッチギ!』(04)『フィールド・オブ・ドリームス』(89)
『ペコロスの母に会いに行く』(13)『街の灯』(31)『リメンバー・ミー』(17)『わたしを離さないで』(10)


自分の10本は…だいたいラストシーンで泣く。特に音楽との相乗効果にやられる。

『モダン・タイムス』(36)

ラストの「スマイル」。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7c6832acf6b2b19c939bcbc8cf0dd6de


『素晴らしき哉、人生!』(46)

人の善意や奇跡を信じたくなる「オールド・ラング・サイン」の合唱。「サンキュー、クラレンス!」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/be644be4117d9b51a7af72954e757acf


『シェーン』(53)

「シェーン、カムバック」とビクター・ヤングの「遥かなる山の呼び声」。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c44f1c59778216bde6f9b78fc5ca1f79


『道』(54)

ザンパノの嗚咽とニーノ・ロータの「ジェルソミーナのテーマ」。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c6e8f0c620cd4e446dfe338e38f4240b


『五つの銅貨』(59)

足の悪い娘が歩いてきての「五つの銅貨」と「リパブリック讃歌」。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6171462fd3e1d1b2055ee3ac81f85c32


『グレン・ミラー物語』(54)のラストの「茶色の小瓶」でも泣ける)


https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/de3f9feb6673b6a0a41b4549aa88f85a


『追憶』(73)

健気だけど強いケイティの姿に重なるテーマソング。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1e90621f91d45c9d0aa20199865708f0


『ロッキー』(76)

「エイドリアン!」音楽ビル・コンティ。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a71498879dadd71facadf1823e4fb08b


『未知との遭遇』(77)

マザーシップのビジュアルとジョン・ウィリアムズの音楽。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/52b371d1b06aeff106ac00b9a38caa0d


『ニュー・シネマ・パラダイス』(89)

ずるいけど…ちょっと悔しいけど。やっぱりモリコーネ。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2d2f25fcdaf56b54e33bef898be9e0ec

『ウエスタン』(68)のラストでも泣ける)


https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9b91b9c038a27e59ee557ae376233911


『フィールド・オブ・ドリームス』(89)

「父ちゃん、キャッチボールしないか」音楽ジェームズ・ホーナー。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/14ca2cc584bf1b56a6168081f39d5d34


番外
泣きながら笑えるのだと知った『男はつらいよ』(69)

さくらの結婚式で寅の紋付の袖が破れるところ。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/40719f5f8740de1ab4cd1157c56fd299


あまりにも見事にだまされて、うれしくて泣けた。『スティング』(73)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8dfd04509adb37bc9d90be550a587e5f


今回、いろいろと考えてみて、恥ずかしながら自分は意外と素直だと思った。

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