今回のお題は、ジョン・スタージェス監督、スペンサー・トレイシー主演の西部劇風のサスペンス劇『日本人の勲章』。
『日本人の勲章』(55)(1974.10.5.NTV土曜映画劇場)
特急が停車しない西部の田舎町ブラック・ロック。4年ぶりに止まった列車から降りてきたのは左腕のない男ジョン・マクリーディ(スペンサー・トレイシー)。彼は同地のアドビ・フラットに暮らす日本人コマコに、戦場で自分の命を救ってくれた彼の息子の勲章を届けに来たのだった。
だが、彼の行先を聞いた町民の態度はよそよそしく、ホテルでもヘクター(リー・マービン)という男から嫌がらせを受ける。マクリーディは、保安官(ディーン・ジャガー)に情報を求めるが得られず、町のボスのスミス(ロバート・ライアン)は、日本人は収容所に送られたと伝える。
ホテルの管理人ピート(ジョン・エリクソン)の妹リズ(アン・フランス)からジープを借りたマクリーディは、アドビ・フラットにたどり着くが、そこにはコマコの住んでいた小屋が焼き払われた跡しか残っていなかった。
ホテルへの帰途、彼のジープはスミスの手下コーリー(アーネスト・ボーグナイン)の運転する車から妨害を受ける。身の危険を感じたマクリーディは、町を去ろうとするが列車は明日にならないと通らず、隣町へ行く手段もない。州警察に打った電報もスミス一味に握りつぶされた。この日の内に町を出ることを諦めたマクリーディは、ついにピートからスミスが嫌がらせをする理由を聞き出す。
ジョン・スタージェス監督が重厚に描いたサスペンス劇。西部劇の舞台を現代に移した趣向が目を引くほか、ワイドスクリーンを生かしたロングショット、サスペンスを狙った手の込んだ演出、登場人物の心理に焦点を置く、アクション場面での斬新なテクニック(隻手のトレイシーが空手を使う)、短時間で納める(81分)など、スタージェスの職人技が光る。
また、主人公が列車から町に降りるところから始まり、事件の後、列車に乗り込み去っていくところで終わるという形式は、『夜の大捜査線』(67)とよく似ている。
プロデューサー、ドア・シャリー
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