『ジェロニモ』(93)(2008.12.16.WOWOW)
『ジェロニモ』とジョン・ミリアス
1885年、20年近くにわたって合衆国騎兵隊と戦い続けていたアパッチ族の族長ジェロニモ(ウェス・ステュディ)が投降し、ゲイトウッド中尉(ジェイソン・パトリック)とデイビス少尉(マット・デイモン)がその護送に当たることになった。
やがてアパッチ族は保留地で新たな生活を始める。ところが些細な事から騎兵隊が武力行使を行ったため、ジェロニモは暴動を起こし、仲間たちとともに逃走。ゲイトウッドとデイビス、さらにベテランの偵察隊長シーバー(ロバート・デュバル)らが追跡を開始する。
騎兵隊と闘った伝説のアパッチ族戦士ジェロニモの実像に迫った力作。彼の護送を行なった若い白人将校の回想という形でストーリーが展開する。
ウォルター・ヒル監督にしては随分と地味で真面目な映画という印象だが、これは脚本を書いたジョン・ミリアスの色が強いと言った方がいいだろう。黒澤明が大好きなミリアスは、西洋的な合理主義ではなく、東洋的な思想に傾倒しながら伝説を語るところがあるからだ。
例えば、脚本作の『ロイ・ビーン』(72)『大いなる勇者』(72)『地獄の黙示録』(79)、監督・脚本作の『デリンジャー』(73)『風とライオン』(75)『コナン・ザ・グレート』(82)はどれもそんな感じだ。そうした映画の延長線上で考えると、この映画のジェロニモの描き方にも納得がいく。
ただそこには、ジョン・フォードらの西部劇に憧れながら、時代の流れで、もはやそれをストレートには表現できない屈折(せめて馬の場面や風景だけでもまねしたい…)も同時に感じさせられる。
ジェロニモを演じたステュディのほか、ベテランのジーン・ハックマン、デュバル、当時の若手パトリックとデイモンなど、キャスティングもなかなか良かった。
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