田中雄二の「映画の王様」

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『裸の銃を持つ男 PART2½』

2023-04-30 14:58:28 | 映画いろいろ

『裸の銃を持つ男 PART2½』(91)(1992.3.28.日比谷映画)

 この映画と相前後して公開されたかつてのお仲間ジム・エイブラハムズの『ホット・ショット』(91)を見た際に感じた消化不良を、このザッカー・ブラザースの映画が解消してくれた。同種のコメディ映画でありながら、こちらの方が数段楽しめたのである。

 もちろん、そこには幻のテレビシリーズ「フライング・コップ 知能指数0分署」(82)から、レスリー・ニールセン演じるフランク・ドレビン警部補(この映画でめでたく警部に昇進)に親しんできたという、こちらの事情もあるのだが、満員の観客はそんな“過去”は知らずに大笑いしていたのだろうから、純粋によくできたコメディ映画として評価してもいいだろう。

 そして、トリオで映画を作っていた、つまり同じ根の元から発したザッカー・ブラザースとエイブラハムズとの間に生じた差の理由が、この映画と『ホット・ショット』を対でみると明らかになる。

 どちらも、見る者をどうやって笑わせてやろうかという目的は一致していても、エイブラハムズは『フライングハイ』(80)路線、つまり、作り手が自分たちがやったパロディに酔ってしまうという悪癖から脱却できずにいるのに対し、ザッカー・ブラザースの方は、パロディはそこそこにして、一応独立したストーリーとキャラクターを生み出すことに努力している。

 だから、アメリカとはコメディ文化の違う日本ではこの映画の方が受けるのは至極当然。万人を笑わせるのはいかに難しいかということだ。


『裸の銃を持つ男 PART2½』アンソニー・ジェームズ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fc02dd9f5e225f7dc92016707d839a69



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