田中雄二の「映画の王様」

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『もしも徳川家康が総理大臣になったら』

2024-07-13 09:39:39 | 新作映画を見てみた

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(2024.6.21.東宝試写室)

 コロナ禍の2020年、首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活させて内閣を造ることにする。

 徳川家康(野村萬斎)を総理大臣に据え、経済産業大臣に織田信長(GACKT)、財務大臣に豊臣秀吉(竹中直人)といった偉人たちが集結した夢のような内閣が誕生する。

 その圧倒的なカリスマ性と実行力に日本中が熱狂する中、アナウンサー志望の新人テレビ局員・西村理沙(浜辺美波)はスクープを狙い、官房長官の坂本龍馬(赤楚衛二)に接近するが…。

 原作は、眞邊明人の同名ビジネス小説。監督は、古代ローマ帝国人が現代にタイムスリップする『テルマエ・ロマエ』(12)の武内英樹。脚本は、埼玉県の自虐ネタを詰め込み、郷土愛と隣県同士のライバル関係を描いた『翔んで埼玉』(19)で武内監督と組んだ徳永友一。ということで、この映画はその二つのシリーズの延長線上にあると言ってもいいだろう。

 全体的にはコメディーであり、デフォルメされた彼らの活躍によって現実の政治や社会に対する問題提起が生じる場面もあるのだが、AIの発達によって、奇想天外なアイデアだと笑ってばかりはいられず、むしろあり得る話としての怖さを感じる。そこにこの原作や映画の真骨頂があると感じた。

 大河ドラマ「秀吉」(96)以降、秀吉役が十八番となった竹中は別として、それぞれの偉人たちのキャラクターもなかなか面白かった。

 


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