田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ガス人間㐧一号』を再見

2018-07-15 16:03:17 | 映画いろいろ
 先日の『美女と液体人間』(58)に続いて『ガス人間㐧一号』(60)を再見。

 

 ガス人間=水野(土屋嘉男)の死骸を花輪が覆うラストシーンが見事。宮内國郎の音楽は、後に「ウルトラQ」と「ウルトラマン」に流用されたのでなじみがある。八千草薫はもちろんだが、当時の新人女優の佐多契子も、セリフ回しは下手だが魅力的。今となっては、昭和30年代の東京の風景も見ものだ。

『ガス人間㐧一号』↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8e46f3ff3f0919d637b09273fa284676
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第41回ウエスタン・ユニオンの例会に出席

2018-07-15 08:17:30 | 俺の映画友だち
 無類の西部劇愛好家が集まる「ウエスタン・ユニオン」の例会に出席。今回は『ザ・ウェスタン―「荒野の決闘」から「新・明日に向って撃て!」 西部劇大全集』『映画は汽車で始まった』 などの著書で知られる映画研究家の畑暉男さんをやっとお招きすることができた。『外国映画女優』(97)でご一緒して以来、かれこれ20年来のお付き合いになる。畑さんには『MOVIE 生誕100年ジョン・ウェイン特集』(07)を通して、この会の方々との交友のきっかけも作っていただいた。月日のたつのは早いもの。



 また、トークコーナーでは、“『黄色いリボン』という歌”の変遷や、『グレアム・グリーン ある映画的人生』(佐藤元状)の中の「西部劇としての『第三の男』」の紹介を興味深く聞いた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

2018-07-14 11:32:48 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

オリジナルへの回帰的な側面もある
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』



詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1156906
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『インクレディブルファミリー』

2018-07-12 09:38:26 | 新作映画を見てみた
ヒーローもつらいよ



『Mr.インクレディブル』(04)14年ぶりの続編で、監督・脚本は前作同様ブラッド・バード。目まぐるしく展開するアクションシーンが見ものだ。

 今回のテーマは、ズバリ「悪と戦うヒーロー家族にも、日常生活や悩みがある」。そこに、女性(妻)の社会進出、仕事と子育ての両立など、ごく一般的な問題が二重写しになることで、面白さや切実味が増す。その多くは、監督自身の家族像を反映させたものだという。これは細田守監督の『未来はミライ』と共通するものがあると感じた。

 また、マーベルやDCのヒーローたちにも通じる、民衆のヒーローを求める声とパワーを持つ者への畏怖という二律背反のジレンマも描かれる。まさに「今はヒーローもつらいよ」という感じである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』を再見

2018-07-12 09:13:20 | 映画いろいろ
 テレビで久しぶりに『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』を再見。



 この映画は、何度見ても楽しい。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f579610ea047636d14bb6a45215031d1

 「君たちの未来はまだ白紙ということさ。誰もがね。自分の未来は自分で切り開くものなんだ」という、ドクの締めのセリフは、拙書『人生を豊かにするための50の言葉-名作映画が教えてくれる最高の人生の送り方』でも引用させてもらった。


https://www.amazon.co.jp/dp/B00NMHCQU0
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『LBJ ケネディの意志を継いだ男』

2018-07-12 08:28:37 | 新作映画を見てみた
 ジョン・F・ケネディ暗殺後、急遽、副大統領から大統領に昇進したリンドン・B・ジョンソンの知られざる素顔と功績を描く。監督は『アメリカン・プレジデント』(95)で、理想的な大統領の恋愛を描いたロブ・ライナー。



 特殊メークにも助けられ、ウディ・ハレルソンとジェニファー・ジェイソン・リーがジョンソン夫妻役を熱演している。『ある決闘』(16)『スリービルボード』(17)『ハン・ソロ~』(18)と、最近のハレルソンの演技は本当にすごいのだが、実は彼の父親は殺人犯で、ケネディ暗殺の実行犯の一人だと名乗っていたこともあるらしいので、今回は皮肉な配役ではある。

 さて、ジョンソンといえば、理想像=ケネディと、天下の憎まれ役=リチャード・ニクソンの間に存在した地味な大統領、あるいは、ベトナム戦争を泥沼化させた張本人というマイナスの印象が強い。そして東部出身のエリートでスマートなケネディに対し、南部テキサス出身の田舎者で下品なジョンソンという正反対なイメージが形作られた。

 ところが、この映画は、ケネディは公民権法、宇宙開発などに対するビジョンは示したが、実現前に非業の死を遂げ、それらを実現させたのは実はジョンソンだったという事実を知らせる。

 暗殺されたことによって神話となったケネディの後始末をしたのは、皮肉にも存在感の薄いジョンソンだったというわけだ。そう考えると、映画の中で、ジョンソンがリンカーンの像に向かって「あんたの後始末は俺がするよ」(奴隷制の撤廃と公民権法の成立)と語り掛けるシーンは象徴的だ。

 ベトナム戦争に関する描写がほとんどないのは…とも思うが、演じたハレルソン自身が「彼が善人なのか悪人なのか判断する事すらできない。彼の何を見て判断すればいいのか分からない」と語るように、一本の映画で複雑なジョンソン像の全てを描くのはどだい無理な話。今回はケネディとの絡みを中心に、1時間半あまりでテンポよく見せてくれたことを評価したいと思った。

 ケネディ兄弟を演じたジェフリー・ドノヴァンとマイケル・スタール=デヴィッドに加えて、リチャード・ジェンキンス、『インデペンデンス・デイ』(96)で大統領を演じたビル・ブルマン、かつての青春スター、C・トーマス・ハウエルらが、政治家役を好演している。こういう映画を見るたびに、俳優にとって政治家は演じ甲斐のある役なのだろうなと思わされる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

復刻シネマライブラリー カタログ

2018-07-10 09:27:37 | 復刻シネマライブラリー
神保町の三省堂に続いて銀座の山野楽器で発見。

クリックで拡大↓





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『砦のガンベルト』

2018-07-10 06:32:30 | 復刻シネマライブラリー

1967年、パラマウント製作の西部劇。主演のロッド・テイラーが製作も兼任している。

 

 インディアンが狙う砦に取り残された、ガンマンのチューカ(テイラー)、騎兵隊の隊長のバロア大佐(ジョン・ミルズ)、鬼軍曹のハンスバック(アーネスト・ボーグナイン)、スカウト(偵察)のトレント(ジェームズ・ホイットモア)、メキシコの貴婦人ベロニカ(ルチアナ・パルッツィ)と姪のヘレナ(ビクトリア・ベトリ=アンジェラ・ドリアン)らの動静を描く。

 主人公のガンマンはメキシコ人、ニューロティック(神経症)的な登場人物たち、少々残酷な殺りくシーンなどにマカロニ・ウエスタンの影響が感じられる。監督のゴードン・ダグラスは、この後、同じくマカロニ風の西部劇『鷲と鷹』(70)を撮っている。

 公開時のキャッチフレーズは「殺しの匂いがする。さすらい無宿のガンマンが、北から西へとやって来た」。やっぱりマカロニ風だ。

 全体的に暗く、救いのない話の中で、ボーグナインの、一見鬼軍曹だが、実は…というキャラクターや、『007サンダーボール作戦』(65)でボンドガールを務めたルチアナ・パルッツィの美貌が見どころとなる。

『鷲と鷹』↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/88e5ff36cc4bce3f04e82f5f7240a53f

プレスシート(67・パラマウント)の主な内容
解説/ストーリー/ロッド・テイラー、アーネスト・ボーグナイン、ジョン・ミルズ、ルチアナ・パルッチ、ジェームズ・ホイットモア、監督ゴードン・ダグラス

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“お奉行”加藤剛逝く

2018-07-09 17:37:55 | 映画いろいろ
 真面目で誠実な二枚目役を演じ続けた加藤剛が亡くなった。



 映画の出世作は、理不尽な主命による悲劇を描いた小林正樹監督、橋本忍脚本の『上意討ち 拝領妻始末』(67)の三船敏郎の息子役。これは、大河ドラマ「風と雲と虹と」(76)の平将門、「獅子の時代」(80)の架空の薩摩藩士・苅谷嘉顕、そして「関ヶ原」(81)の石田三成へと、真面目で融通が利かないが故に破れていく理想家役につながる系譜だ。

 演じた歴史上の人物としては、『千利休 本覺坊遺文』(89)の古田織部、『伊能忠敬 子午線の夢』(01)の伊能忠敬、そして代表作と言っても過言ではないドラマ「大岡越前」の南町奉行・大岡忠相など。山下毅雄作曲のテーマ曲が流れると、思わず「お奉行」と声を掛けたくなる。

 松本清張原作の、野村芳太郎監督作、『影の車』(70)の気弱なサラリーマンと、『砂の器』(74)の和賀英良役は、影のある二枚目役の白眉といってもいい。

 長崎で被爆した永井隆博士を演じた木下惠介監督作『この子を残して』(83)と、続く『新・喜びも悲しみも幾歳月』(86)の灯台守の主人公役では、誠実さがにじみ出た。

 そして、ベテラン辞書編纂員を演じた『舟を編む』(13)と、主人公の映画助監督の晩年を演じた『今夜、ロマンス劇場で』(18)での、枯淡の演技も見事だった。

 どうしてもアウトローやくせ者役が目立つ中、癖や嫌味のない役に、説得力を与えることができる稀有な俳優だったと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『トゥルー・グリット』『勇気ある追跡』

2018-07-09 08:52:38 | 映画いろいろ
 テレビで『トゥルー・グリット』(10)を再見。ラストシーンはイーストウッドの『許されざる者』(92)をほうふつとさせるところもあると感じた。この映画の公開が、東日本大震災の発生で延期になったことを覚えている。



以下、初見(2011.2.24.)の際に書いたコラムを転載。

 少々前説を。本作と同じチャールズ・ポーティスの原作を映画化した『勇気ある追跡』(69)の監督は大ベテランのヘンリー・ハサウェイ。酔いどれ保安官ルースター・コグバーンをデュークことジョン・ウェイン、テキサスレンジャーのラブーフをカントリー歌手のグレン・キャンベル、14歳の依頼人の少女マティ・ロスを、当時すでに21歳だったとはとても思えないキム・ダービーが演じた。

 こちらは、全体がユーモラスな講談調で語られ、最後は明るく伝説風にまとめられていた。これは、もちろんデュークの圧倒的な存在感があってこその作り方である。デュークはこの映画で念願だったオスカーを手にし、結果的に彼の後期の代表作の一つとなった。キャンベルが歌った「ワン・デー・リトル・ガール~」と始まる主題歌も心に残る。というわけで、昔から好きな映画の一本である。

 そして、この40数年ぶりのリメーク作の監督は、くせ者コーエン兄弟で、スピルバーグがプロデュース。コグバーンをジェフ・ブリッジス、ラブーフをマット・デイモン、マティを原作と同じ年齢のヘイリー・スタインフェルドが演じている。映画全体のタッチも、前作のユーモラスな講談調から硬質なハードボイルドに変わっているが、未読の原作はこちらの方に近いという。そして原作にある後日談を生かしたラストシーンも『勇気ある追跡』の明るい伝説風とは異なり無常感が漂う。

 さて、親子ほど年の離れた性格の異なる兄弟とも呼ぶべき両作だが、意外なことにどちらもいい。いつもは変化球勝負のコーエン兄弟が、ど真ん中のストレートで勝負してきた点に心地良さを感じる。前作とは違ったアプローチを取りながら、広大なロケーション撮影、3人旅のロードムービーとしての面白さは前作をきちんと引き継いでいる。

 ブリッジスは存在感はさすがにデュークには及ばないものの、愛すべきコグバーン役を見事に自分のものにしている。デイモンは一見損な役をよく引き受けたと思う。そして、14歳のスタインフェルドはまさに“テリブル・チルドレン”。アカデミー助演賞の受賞もありと見た。

で、この後すぐに原作を読んだ。

 この原作は全体がヒロインのマティの独白による回想で語られるから、骨太な一人の少女の成長期としても面白く読める。読む前は、『勇気ある追跡』はジョン・ウェイン用に随分設定を変えていたのだろうな、と勝手に思い込んでいたのだが、ラストシーンを除けばほぼ原作通りだったので少し意外な気がした。ただし、テキサスレンジャーのラブーフについては、原作の方に見せ場が多かった。

 多用される聖書からの引用の意味、あるいは全体に流れるキリスト教的なものの考え方は、正直なところよく分からないが、今回の映画のラストに何故讃美歌が使われたのかはおぼろげながら分かる気がした。あれにはコグバーンへの鎮魂とマティの決意の強さが込められていたのだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする