福祉の現場で、仕事への想いとスキルの高い人物と出会うのは稀であり、「ナミ」の場合も精神疾患の知識が豊富で、興味深い知見を得る機会に出会えて楽しかったのであるが、「共感」を重きに置くことが主軸にある人たちにとっては、少し煙たい存在で、夢を実現させたいという宣言は「いつかは辞めてゆく」という事でもあるから、少し距離を置かれた存在であった。しかし、そんな状況でも、一切気にせず、自分の信じた道を修行僧のように突き進んでいた。
それから2年後、「ナミ」は「やっと準備ができたよ」と、宣言すると、嵐のごとくに手続きを済ませ、あっという間に退職してしまった。
他のスタッフは嫌味をこぼしていたが、目標に向かって突き進んでゆく姿は本当にかっこいいと思った。
そして、「ナミ」が去った後、なぜか僕への当たりが強くなり、それがあからさまであったので、何度か小さな抵抗を試み続けたのであるが、抵抗をすればするほど一層強固になっていった。
もし、それが、「よい介護をするにはどうしていけばよいか」という方向性であるのなら、いくらでも頑張れたのだが、どう考えても、「私たちの都合のいいように動ける人」を要求されているだけだと思った。
なぜ、こんな悲しい事になってしまうのかと、日々考え続けていたら、ある結論にたどり着いた。
それは、男性社会で女性が軽視されるように、女性が主体の社会では立場が逆転するのだと。
そして、この社会構造は、性差は関係なく、支配したいと強く欲望する者が多数を占める環境が構造を決めるのかもしれないと思った。
それを理解した僕は、精神的に耐えられなくなり、再び流転する事になった。
それから2年後、「ナミ」は「やっと準備ができたよ」と、宣言すると、嵐のごとくに手続きを済ませ、あっという間に退職してしまった。
他のスタッフは嫌味をこぼしていたが、目標に向かって突き進んでゆく姿は本当にかっこいいと思った。
そして、「ナミ」が去った後、なぜか僕への当たりが強くなり、それがあからさまであったので、何度か小さな抵抗を試み続けたのであるが、抵抗をすればするほど一層強固になっていった。
もし、それが、「よい介護をするにはどうしていけばよいか」という方向性であるのなら、いくらでも頑張れたのだが、どう考えても、「私たちの都合のいいように動ける人」を要求されているだけだと思った。
なぜ、こんな悲しい事になってしまうのかと、日々考え続けていたら、ある結論にたどり着いた。
それは、男性社会で女性が軽視されるように、女性が主体の社会では立場が逆転するのだと。
そして、この社会構造は、性差は関係なく、支配したいと強く欲望する者が多数を占める環境が構造を決めるのかもしれないと思った。
それを理解した僕は、精神的に耐えられなくなり、再び流転する事になった。