花粉症の受験生の涙
今から半世紀以上前
まだ花粉症と言う言葉さえよく知られていない昭和43年頃から、
私は時代の最先端の花粉症の症状に悩まされていました。
くしゃみ、鼻水、涙、...
風邪でも無いのに、毎日
『目汁』『鼻汁』。
目のかゆみ。チクチクして涙が止まらない...
そんな体調の中で、高校受験をしました。
その前年中学二年生(13歳)時のクリスマスに父が急逝し兄二人が私立の大学や高校に進学していたので、未亡人の専業農家では、兄たちの仕送りや学費と経済的に大変です。
万が一の場合に備える私立の高校を併願する受験料を捻出するのも困難な状況。
不合格だったら定時制高校でもと覚悟を決めて単願で受験。
涙を一杯流しながら、制服を注文する為に、母と町のデパートへ。
涙が止まらないので、周囲の人々は私が、志望校に不合格だったと思ったようです。
デパートの入り口でその春に転勤なさった恩師の奥様が、
泣いている私を見掛けたそうです。が
前年の父の死去、志望高校不合格⁈と気の毒で声を掛ける事が出来なかったとのこと。
花粉症の症状なんて夢にも思わずに、帰宅後恩師に店で泣いている私のことを話すと
恩師は「おかしいな。凄く優秀な生徒なのに不合格なんて...」とご夫婦で話されたとか
涙の合格発表の日から八年後、高校教師になった私は、校長先生になった恩師に仕事でお会いしました。
「デパートに制服を注文に来たのに、ずっと泣いているので、不合格だったんじゃないかと二人で心配したんだよ。新聞の合格者の発表名簿を見てほっとしたよ!!」と温かいお言葉を掛けて下さいました。
け
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