芥川賞作家の絲山 秋子(いとやま あきこ)さんと私は
入社年度は1年違うだけで、ほぼ同時期に同じ会社で営業職でした。
記録ということで公式にその社名を記載いたします。
住宅設備機器メーカー
INAX
この会社は2011.4.1から住生活グループのLIXILに統合されて
INAXは会社名ではなくブランド商品名として存続することになりました。
この会社の事を書き残したいので書きます。
◆小説「沖で待つ」の舞台装置
絲山さんが芥川賞を受賞した「沖で待つ」は
このINAX営業時代が舞台設定になっています。
名古屋エリア・埼玉エリアでは接点があったので
私も彼女に営業会議で何度もお会いした記憶があります。
絲山さんも私も同じ会社で学び
今は別々の道を歩んでいます。
会社名が正式に消えていくのなら書いておきたい。
◆会社とは「生きがいを見出す生活舞台」
転職のために退職して10年になりますが
いまだに記憶している文言が
INAX5とよばれる同社の5つの経営理念です。
特に最初の項目はX1と呼びます。
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X1
INAXは、私たちが仕事を通して社会に貢献し、生きがいを見出す生活舞台です。
※※※
会社とは何か?
「生きがいを見出す生活舞台なのだ」という考え方は
新入社員の私にとって斬新なものでした。
そしてこの理念は毎回パンフや目標設定で
何度も書かされて在職中の記憶とセットになっています。
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舞台なのだとしたら社員は役者でもあろう。
舞台装置が変化するのであれば、役者もまた配役を変えていくものだ。
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◆社会人の最初に何を学んだか?
人材系キャリアコンサルタントで活躍している人の中には
リクルート出身者が多く
「リクルートで学んだことが今の仕事にも生きている」
という書き方をする人が多いようです。
私の場合、過去のキャリアの最初はINAXなので
「新卒入社で何を学んで、それが今、どのような部分に生きているのか」
を考えてみた時に
ああ
INAX5のX1の実践なのか。
イトヤマさんも私も「生活舞台の中の役者」として
その会社で一緒懸命に働いて
「生活舞台が切り替わっても」
「役者は役者のままで別の舞台に立っている」
ということなのか、と思うようになりました。
◆生活舞台の選定で
新卒からずっとお世話になったINAXなので
今回のLIXIL統合で
株式会社としては社名が消えてしまうのが残念な気分です。
(製品ブランド名としては存続)
この会社で学んだ
「私たちが仕事を通して社会に貢献し、生きがいを見出す生活舞台」
という〝会社の存在意義〟の考え方は
会社選択のキャリアポイントとしてOB(私)流に解釈して
今後とも伝えていこうと考えています。
★★★役者は残る★★★
会社で働く人たちは
生活舞台としての会社を大切にしていこう。
その舞台は突然消えることもある。
しかし
役者であるならば
演技を変えながら
いろいろな舞台で活躍していけるよう。
能力や知恵や勇気を身につけておこう。
絲山さんが小説「沖で待つ」に書き残してくれた
1990年代のINAXの生活舞台を読み返しながら。
ではまた。
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住生活グループ傘下の株式会社INAX、新日軽株式会社、東洋エクステリア株式会社、サンウエーブ工業株式会社の開発・管理部門が2011.4.1統合
売上高1兆円以上、社員約6万人を抱える業界最大規模の企業が誕生。
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INAX5の制定には伊奈社長の強い意志が込められていたようです。社名変更は第二の創業でもあったのでしょう。
★関係者の皆様★
同期なら今年で入社20年目になります。課長クラスで責任も増えると思いますが新生LIXILでも益々の御活躍を!
INAXとトステムが合同の持ち株会社(現:住生活グループ)を誕生させた時も、ちょっとしたブームになりました。
ある意味リーディングカンパニーの気質がある会社です。
主力製品は内装・外装タイルやトイレ・ユニットバスですが、もしかしたら「芥川賞作家」やtarebonも製品の一つなのかもしれません。