長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

御嶽山に合掌する木曽路の旅

2014-10-02 11:06:44 | Weblog

青天の霹靂みたいな御嶽山の大噴火があり、時代が変わるように暦が9月から10月になった。
平成とは、神さまが大掃除をして「平たく成る」という言霊らしいけど、
いよいよそんな時が近づいてきているような今日このごろ。

天真庵のカウンターの椅子を作ってくれた木曾の名工般若くん。ヴィオラ奏者のヨッシー
とその椅子に座った縁で結ばれ、この夏に2人目の姫君が誕生した。顔を見にいく。
昨日久保さんのアトリエ(三重)にいき、美濃でやっている「大織部展」を見て、木曽路を走った。

すっかり山も川も風も秋だ。

藤村の言葉を借りるまでもなく、昔から木曾は山山山の中だ。

美濃からは、国道19号線をひた走り、木曾村にいくのだが、途中、自衛隊の車と多くすれ違った。
山の稜線の上には、自衛隊の大きなヘリコプターが飛んでいた。思わず上を向いて合掌。

いろいろなことを考えさせられる木曽路の旅だった。

大織部展は、戦国武将であり茶人であった古田織部の400回忌を記念して行われている。
最近はアニメで「へうげもの」というタイトルで連載されているあの人。
桃山時代の茶陶といえば、織部・黄瀬戸・志野。器は茶に興味がない人も、今回の展覧会は
おすすめ。「日本人に生まれてきて、これと出会ってよかった」と思わない日本人はいないと思う。

天真庵の器の9割3分くらいは、久保さんの器を使わせてもらっている。蕎麦を盛る皿が、志野(絵志野)。
珈琲のドリッパーが黄瀬戸。織部は蕎麦猪口や豆皿として活躍している。無理をいって、煎茶の道具
の茶巾筒やこぼしなども、作ってもらい、二階の座敷で茶の友たちと愉快な時間を過ごす必需品に
なっている。その器たちを入れる茶櫃(ちゃびつ)や茶箪笥を作ってくれているのが般若くん。
もともと三重の伊勢神宮と木曾は、檜でつながっている。式年遷宮で作りかえるお社は、木曾の檜を使う。
また志野でよく使われる模様に、檜垣文(ひがきもん)というのがある。

今月の14日から19日まで、渋谷の「炎色野」(ひいろの)で、久保忠廣作陶展がある。
今回は新しい土を使って作陶。ハガキの写真は、檜垣文の鼠志野の茶碗だ。いい。
いろいろなものが、「ごあさんで願いましては」になって、出直しをするような時代。日本人が戦国の世から
平和を祈ってつくってきた「美しき美」みたいなものを、静かに感じあうようなそんな「ゆとり」
が必要な気がする。