発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

水戸岡鋭治講演

2016年09月14日 | 物見遊山

  ◆バスの終点に、なぜか中華な建造物

 天神の用が済んでから、そのまま北天神で「K」のバスを待つ。元岡の九州大学に行くのだ。開催中の日本機械学会、に私が所属しているわけではなく、一般市民も聴ける水戸岡鋭治氏の特別講演があるのだ。

 九州大学元岡キャンパスは、わざわざ行こうとしなければまず行くことはない、という場所にある。鳥栖プレミアムアウトレットあたりの風景に似ていないでもないが、もう少し郊外で、天神からバスに乗った終点、40分、720円。近年移転となったところで、まだ新品ぽい建物がいろいろあるし、どんどん新しい建物ができている。

 直径100mの円形の赤い建物が会場の椎木講堂である。設計は内藤廣。これ、見たことあるぞ。中国の、広州土楼とか福建土楼とかいわれている、客家(はっか=漢民族の一派、有名な人に鄧小平がいる)が一族で住む城塞型集合住宅にそっくりだ。中に入ると、半分は、ぐるりと室に囲まれた空洞で、まさに広州土楼的。半分が大講堂である。ちなみにレストランが入っているが、中華系ではなくイタリアンである。

 

◆で、水戸岡鋭治氏講演

 水戸岡鋭治氏は、いま日本で一番仕事をしているデザイナーのひとりで、列車、駅に限らない建築、家具内装、衣装など、守備範囲はおそろしく広い。代表作は、超豪華クルーズトレイン「ななつ星」であるし、鉄道に関する仕事はJR九州ではじめた人なのでJR九州の仕事が多いが、大阪なら梅田の「時空の広場」のデザインをした人である。

 これが大分シティ(新しい大分駅とその周辺)

 大分駅構内の阿蘇山と「ゆふいんの森号」のタペストリー

 氏の展覧会には、博多(2011)と大分(2015)と2回行ったことがある。いずれも人が少ない日を選んで行ったのだが、2回が2回とも、水戸岡氏に会うことができた。1回はサインをもらった。偶然のラッキーというよりも、個展のときはなるたけ会場にいようとしているのではないかと思った。それって公共のものをつくるデザイナーとして正しいと思う。

 本州で在来線に乗ると、正直、九州の在来線列車は恵まれているなあと思う。在来線特急「かもめ」や「白いソニック」に乗れば、普通車の客も、会社では役員室、もしかして社長室の執務机にしかない総革張りのリクライニングシートに座れるのである。革張りの椅子がモケットよりも安くつく話は著書ですでに読んでいた。だが他の鉄道会社では実現しなかったのである。

 徹底したコスト意識についての話は端々に出てくる。ほとんどお金をかけずに隼人駅を改装した話や、「ななつ星」は「予算がなくて」内装の1分の1模型を作っていない話など。

 常識といわれるものを現実的視点でブレイクスルーして、どんどん新しいものを作って行く仕事師である。仕事が大好きな人から仕事の話を聞くのはいいものである。行って良かった。 

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スローなブギで田川気分

2016年08月30日 | 物見遊山

   夏が終わってしまう。福岡タワーでゴジラにも会えたし。

(BGM 「スローなブギにしてくれ」南佳孝)

 これは先日、田川市に行ったときに見つけたポスター看板。実際は上映していない飾り看板。西鉄の後藤寺バスセンターにて。浅野温子嬢はたち。古尾谷雅人氏ご存命。1981年の映画だったのね。

◆後藤寺バスセンターの建物。

 この建物は1959年生まれで私より長生きなのだが、9月に廃止になるらしい。昔は飲食店や映画館の営業があったのだ。今はバス停と飲料自販機数台のみである。福岡から田川へのバスの本数は結構多い。平日は、天神からと博多からを合わせて70往復をこえる。通勤通学路線として使われている。

◆一辺3mのチロルチョコ

 田川は、チロルチョコレートの故郷でもある。工場入り口の巨大な看板。アウトレット直売所では、チロルチョコをバラでたくさん売っていて、9時の開店を待つ人々が並んでいたりする。チロルチョコだけでなく、製菓材料のツブツブ状のチョコレートを売っていることもある。今回は真夏だし、保冷容器も持ってなかったので買わなかった。涼しい時期に行けたらいいなと。 ↓

 

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大阪芸術大学プロムナードコンサート。アクロス福岡シンフォニーホール

2016年08月26日 | 物見遊山

◆迷ったら負け

 大阪芸大のコンサートは、前にもいちど福岡に来たことがある。ようするに学校宣伝と発表会を兼ねたもので、大阪のほか、都市を2箇所くらい巡回するのだが、今年は名古屋と福岡に来たのだ。有料入場もあるが、学校の持ち出しがほとんどだと思われる。前回は何年前だったか、福岡サンパレスで開催された。学内オーディションを通過した若い音楽家の演奏会である。

 前半はポピュラーミュージック、美しいアカペラ、2台ピアノでChick  Coreaとか、アコースティックギター1台抱えて、何?本当にギター1台なの?誰か隠れてるんじゃないの?って凄い演奏や、この女性ヴォーカリスト、カッコ良すぎ!! などなど、全部書ききれない。

 後半はクラシック。選抜オーケストラ。「木星」を6列目で生演奏で聞けたのは良かった。もうストリングスの前奏からワクワクである。オーケストラを聞きに行っていつも思うのは、曲の中でほんの数小節だったりすることもあるソロ部分について、どのくらいの研鑽の積み重ねが必要なんだろうか、ということだ。大輪のバラを染め抜いた青いドレスの川井郁子がストラディヴァリウスとともに登場。これも目当てだったんだけど、世にも美しいチャルダッシュを聞くこともできた。

 休憩時間、ロビーにチアガールが何人かいたので「?」と思っていたが、アンコールで学校応援歌が演奏され、そのときに登壇した。そういえば昔ヒットした大学応援団が舞台の漫画家も大阪芸大出身だったな、と。漫画のような応援団は出てきませんでしたよ。

 プロになるために進学して成果を上げている人たちのことだ。うまいのは当然。どうやって聞かせるかどうやって見せるかについても研鑽している。芸術を安くはない学費で4年間勉強するためにやってきているのである。特に音楽方面などは、プロになれるかどうかとか、職業としてやっていけるかどうかなんてのは、すごく狭い道なんだろうけど、たぶん、迷ったら負け、迷う暇があったら練習する技術と表現を磨く、ということなんだろうと思う。

 
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大牟田大蛇山まつり

2016年07月24日 | 物見遊山

724  大牟田大蛇山祭

(BGM  「なつまつり」ジッタリンジン)

 私の「まつり見物」は、大概単独である。わざわざ出かけるのは、本に載せる写真を撮りに行くときくらいで、あとは、先日の博多祇園山笠集団山見せのように、出先(多くは仕事系)でたまたま出くわしたというパターンである。今回もそうだ。

 大牟田は、福岡天神から西鉄特急で1時間の熊本県境、有明海沿いの町である。

   いつもは静かな大牟田の町が人で溢れかえっている。大蛇の乗った山車の上で男衆が声を掛ける。花火の火花と煙が飛び交う。山車のあとを女の子、多くは10代20代の、が隊列を組んで踊りながらついていく。その女の子たちがかわいい。チームによって、髪の毛と化粧大盛りのところと、昔ながらのお祭り娘のところと、その間のさまざまな段階の扮装をしているところとがあるのだが、ともかくかわいい。

 そんな大蛇の山車がたくさん出ている。「ヨッサー・・ヨイヤサー・・」の掛け声とともに、おお盛り上がりである。男衆、博多弁では「つやつけとうばい」(カッコつけてる状態に向けての揶揄と羨望の入り交じった表現)というのだが、この辺りではなんと言うのだろうか。

 見物の女の子たちも、多くは浴衣を着ていて、おしゃれしている。かわいい。

  今で言う非リア充喪女な、暗い青春()を送っていたわたくしの中高生時代に、男子と浴衣で夏祭り見物などあっただろうか? せいぜい、彼氏ですらない高専のクマゴロー氏と、いちど図書館帰りに市民フェスティバルを見て帰った記憶があるくらいで、当然、私は高校の制服か、ボタンダウンシャツに半ズボンといういつもの格好だったはずである。お母さん、私の着られる浴衣ってあるかしら?「友だちと」花火大会に行きたいの。なければ買いに行きたいんだけど? なんて娘らしいおねだりをして母親は母親冥利尽きる、的な親孝行もできなかったなあ(爆笑)。

  

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鷹の祭典に背を向けて。博物館トワイライトコンサート

2016年07月22日 | 物見遊山

◆福岡市博物館トワイライトコンサート

 毎年7月後半の金曜日夕方、市博のエントランスでは、福岡西陵高校管弦楽部のコンサートが開催される。蝉も共演する野外コンサートなのだ。去年は台風が来て中止となったが、今年は天候に恵まれた。晴れて、いい感じの夕風が吹き出したところでコンサートがはじまった。

 鷹の祭典ソフトバンク西武戦ナイトゲームということで、福岡ドームへの道が混んだので、西新からヤフードーム前を通って福岡タワー(の東南に博物館はある)に向かうバスが遅れ、私は立ち席となった。まあいいや。曲紹介が前後してるかも知れないけど。

 オーケストラ着席。いつもの先生登場。おなじみブラームスのハンガリア舞曲5番、ジョン・ウィリアムスのスターウォーズのメインタイトルなど。あと、「ローマの松」から2曲演奏された。

 それから、九州交響楽団から弦楽四重奏で「アイネクライネ・ナハトムジーク」の第1楽章。モーツァルトで一番聞く曲じゃないかな。いつ聴いてもいいよね。60年代から70年代にかけて日曜のお昼に「大正テレビ寄席」という番組があり、その名の通り「ワシのマークの大正製薬」提供のお笑い番組だったんだけど、いつごろだったか「サモンゴールド」という薬のCMをやってて、シニア素人と思しきオーケストラがこの曲を演奏していた。日常会話のようなナレーションのなかに「アイネクライネ」という言葉が出て来たので記憶した。角川のアニメ映画「幻魔大戦」1983年で、主役の東丈が超能力に目覚めて浮かれている場面にも使われていた。あと弦楽四重奏で、やたら格調高い「隣のトトロ」とか、タンゴを何曲か。「ジェラシー」「エル・チョクロ」(70年代終わりの桜田淳子のヒット曲「しあわせ芝居」by中島みゆき、が、どこかで聴いたことのあるメロディーと思ったら、この曲に似てたんだ)それから「リベルタンゴ」(サントリーのCMでヨーヨー・マが弾いてた曲)がライヴで聴けたのは良かった。何度も書くが、アコースティックな弦の音は脳細胞を修復してくれると思う。あと、西陵と九響いっしょの演奏があった。 ロングドレスの女生徒歌姫が登場して「シンデレラ」や「ラ・ミゼラブル」の曲を歌ったり。「花は咲く」で、小柄な女生徒ふたりが歌詞を手話ダンスで演じながら歌っていたのが可愛かった。シアワセ気分で帰宅。 

 帰りのバスには青い服(鷹の祭典用ソフトバンクのユニフォームのレプリカ)の人々がたくさん乗り込んできた。窓の外に目をやれば、青い服の人々が大勢歩いていた。

 

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図書館と思わなければ居心地はいい

2016年05月25日 | 物見遊山
◆たけおに行った
 もちろん、カンボジアのタケオ州タケオではなく、佐賀県武雄市である。久しぶりだ。博多から佐世保行き特急に乗れば、1時間ちょっとで到着する。島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』の舞台となった町である。駅の北には辰野金吾設計の楼門が特徴的な温泉がある。長崎街道の取材があったころには何度も来た。武雄温泉駅から嬉野行きのバスに乗って、写真撮って歩いたのは2001年頃のこと。古い駅舎に続く食堂で、昼間から酒宴が展開されていた記憶がある。
 長崎新幹線の乗換駅となる予定があるため、それを見越して立派に建て替わっていた。

◆有名な図書館
 武雄市には武雄町大字武雄という、トリプル武雄な地名がある。エリアは結構広く、駅の北にある武雄温泉も、駅の南にある文化会館もトリプル武雄である。駅南エリアのトリプル武雄地区には有名な武雄図書館がある。
 看板の下には市章ではなく、おなじみスターバックスのマークがついていた。
 見学してみたが、ひとことでいうとこの看板の通りの施設だった。

◆違和感
 貸し出し本スペースでは、とても手が届かない壁面の高いところまで本が並んでいて、梯子などは見当たらない。危険だからか。係の人に頼めば取ってもらえるのかも知れないが、自由に手に取って中身を見られないで、何が開架だ。
 スタバで買ったものしか館内では食べられない。閲覧席にはスタバの飲みものなら持ち込める。中高生が弁当を食べるスペースが館内に用意されていない、閲覧席で持参水筒や持参ペットボトルの水や茶が飲めない、ウォーターサーバーもない、というのは、教育機関としての図書館として、配慮に欠けていないか。
 まあ、スタバが高い!!というのなら、お昼になったら向かいの「ゆめタウン」に行けばフードコートがあって、そこでお弁当食べてても目くじら立てられたりしないと思うんだけどね。
 他の町の図書館に行くと、必ずその町の資料をみて、いくつか写しを貰って帰る。せっかく来たんだからね。ところが、コピーサービスが面倒。私の行くたいがいの地方公共団体の図書館は、コピー機のところに、著作権法についての注意書きが貼ってあるだけで、自由に自分で複写できるんだけど、ここは、普通の本1ページコピーを取るのにも、申請書を書かないといけない。どの本の何ページを複写したい、と。で、係の人がコピーを取ってくれるのだ。

◆図書館と思わない方が精神衛生上よい
 このあたりで、ふだんは眠っている私のイラチ虫が起き出そうとしてきた。
 目を閉じた。
 深呼吸して、脳内で賛美歌298番「やすかれわが心よ」(笑)を再生して落ち着く。
 「これは図書館ではない」という言葉で括ってみたら、少し気分がスッキリした。ステキなカフェ併設書店だ。DVDレンタル書店の庇に非売の古本があり、見たり読んだり借りたりもできる施設だ。

◆思ったほど儲からないのは当然だと思うよ
 通常、図書館は経費がかかる施設で、どの自治体も維持管理に四苦八苦している。
 だからカフェつきDVDレンタル書店(ここではスタバ+ツタヤ)を併設すれば、金食い虫の図書館運営が少しはましになる、と考えたのだろうが、実際はこの図書館は、赤字だそうである。どういう会計で「赤字」というのかはわからないが、全国で話題になり、来場者数も多いし、カフェも賑わっているのに、思った採算は得られないということなのかな。
 たぶん、収益をもたらすはずのカフェ書店併設が、余計な仕事をつくり、ひどく非効率なことになっているのだと思う。
 カフェ書店を併設した公共図書館に期待されるのは「いわゆる図書館の経費」を「カフェつきDVDレンタル書店の利益」で補填することなのだと思う。簡単に補填できそうだ。
 しかし、思ったほど採算がとれないのは、図書館とカフェつきDVDレンタル書店を併設することにより、人件費が余計にかかっちゃってることなんじゃないかな、と私は思った。
 つまり、それぞれが独立した施設であれば発生のしようのない人件費がかかっているように見受けられる。なにしろ、係員の数がやたら多い。この業態にすると、余計に人が要るのだと思う。
 たとえば、今回、コピー1枚取るのに係員が2人関わった。
 連れて行ってご案内いただかなくても、「あそこの係員に」と言っていただければ十分である。わざわざその場まで案内されて、別の係から説明を聞き、申請書を書き、複写してもらった。新刊書店と併設されているから、利用者が自由に複写できたら、売り本である新刊書や新刊雑誌の欲しいとこだけ複写する輩が出て来ることは想像にかたくない。それでこんな面倒が生じるのであると察する。
 新刊書店を併設していない普通の図書館ならば、コイン複写機を設置して終了のところである。人はいらない。
 警備上の問題も考えられる。無断持ち出し防止が併設で面倒臭くなる。それは買った本なのか借りた本なのか持参の本なのかぱっと見でわかりにくいからである。
 普通の図書館であれば、すべての蔵書にICタグをつけて、ゲートにセンサーを設置すればほぼ終わる。貸し出し手続きを済ませた本と持参の本しかゲートを通過できないから、警備員さんはゲート近くにいれば大体大丈夫である。
 普通の書店なら、わざわざ持参本をこれ見よがしに持ち歩く人はあまりいないから、ICタグをつけてない商品については、レジを通らない持ち出しそのものを見ていればいいだけなんじゃないかな。
 図書館と同じフロアに新刊書店が設置されていることで、お客さんが持っている本が、持参本か貸し出し本か本屋の売り本か、どうやって見分けるのか。無断持ち出し防止策が面倒臭くなるのは想像に難くない。人員が余分に必要となる。ツタヤ、スタバと併設となれば、人員確保のためにボランティアスタッフを募るわけにもいくまい。
 ほかの飲食施設で食事を済ませてやってきた(わざわざ武雄まで来てスタバでもないだろう)私のような、スタバにお金を落とさない利用者が、この施設を赤字にするのであろう。だが、公共図書館を標榜する以上、お金を落とさない利用者も受け容れないといけない。
 カフェ書店DVDレンタル店兼公共図書館には、このような限界がありそうだ。増えた利用者というのは、スタバつき書店が珍しくて増えたんだと思っている。スタバが普通に町にいくつもあるところでは、こんな図書館はできないと思う。で、武雄には、もの珍しさでよそからの人もこの図書館を見に来るが、全国にたくさんできると、こういった書店をわざわざ見学に行く人はいないと思う。それでいよいよ採算が取れなくなる。
 市の図書館のツタヤカフェ化を推し進めた市長(県知事に転身しようとして落選)は、ツタヤ関連企業に天下った。まあその程度である。
 これからこの図書館がどうなるかはわからないが、カフェ書店化リニューアルのときに廃棄された貴重な郷土資料は元には戻らないのだ。

 

 
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またまた宮崎/九州国立博物館「大兵馬俑展」、そして3月が去る

2016年03月30日 | 物見遊山
◆ホモ・モーベンスな3月
 なぜ人生2回目の宮崎と3回目の宮崎行きが2016年3月なのかよくわからないが、こういう時期があってもいいのだと思う。
 今月の終りに近い方の宮崎行きの日は朝からよく晴れていた。空港のエアコン会社の大きな広告に付いてる温度計では摂氏3度で冬である。綿セーター綿コートで大丈夫か?とも思うけど、宮崎って暖かいし。
 7時40分のANA便でも間に合うのだが、先だってのシステム障害のこともあってJAC便にした。搭乗案内を待合室でテレビ見ながら待っていたのだが、殺気に近い視線を感じて振り返ると、眼光鋭い警官が立哨してる。
「お父さん、こわいよ(←薬師丸ひろ子の声で)」。
 油断が服着て歩いてるような私でさえ気づく眼光の鋭さで採用されたのではないかと思われる。テロリストも怯むに違いない。

◆窓の下の九州(脳内BGM 溝口肇「窓の下の南極」)
 空気が澄んでいたので、ずっと飛行機から窓の下を見ていた(子どもか!!)。だって宮崎便で晴れてるのはじめてだったんだもん。空を飛んでいる時間は30分ほどなので、外を見てるのにちょうどいい。福岡春日大野城二日市。高速道と川が地図通りに見え、どのあたりかは大体わかる。美しく耕地整理された田畑は、まるでクリムトの絵の背景のようだ。そのうち久留米そのうち大牟田荒尾そのうち熊本(たぶん)で山になって、日向灘から寄せる白い波が見えて地上に着いた。

◆増殖する土の兵隊さん
 翌日は、九州国立博物館に兵馬俑を見に行った。前から決めてたので宮崎は日帰りだ。西安に行く仕事が簡単に来るとは思えないから、兵馬俑さんたちがこっちへ来てくれたときに見ないといけない。
 博物館横のグリーンハウスでお昼ごはん。スープにはブロッコリーと春キャベツ。付け合わせにはタケノコが使われてて春らしい。
 始皇帝の兵馬俑は、死後も皇帝でいたかった彼が作らせたものだ。埴輪と同じくテラコッタの副葬品なのだが、でかい、リアル、大量の三拍子揃った大迫力である。いくつかの本物と、たくさん並んだ実物大レプリカが展示されていた。兵卒はいくつかのパターンで同じ顔があるが、将軍などはそっくりさんなんだろうな。これらが作られた当時は彩色されてたらしい。誰に見せるためでもなく、自分の死後の世界のために。そんなことやってるから死後3年で滅亡するのだ。
 1980年リリースのYMOのアルバム「増殖」のジャケットデザインは、1975年に発掘された兵馬俑にインスパイアされたものであると思われる。ただ、当時、そのデザインで作るためには、まずFRPの模型を作り、それをモデルに大量の塩ビ製の人形を作って写真を撮らないといけなかった。今ならCGで簡単に作るんだろうけどね。
 展示物自体はそんなに多くない。兵馬俑の展示室は、直接に自由にいろんな方向から見ることができるように作られていたので、日曜だけど、ゆっくり見ることができた。
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黄金のアフガニスタン展

2016年02月08日 | 物見遊山
◆黄金のアフガニスタン展
 九州国立博物館。
 博多に出てバスで太宰府に向かう。
 ランチは天満宮参道の「白梅」で豆腐ハンバーグ。抹茶つき。豆腐ハンバーグは結構大きい。お野菜中心で、薄味で、人間を真人間にしてくれそうなご飯でありました。外食で野菜中心で薄味、しかもお手軽というのは貴重であります。
 さて、九州国立博物館。地元民なので1年有効のパスポートを当然買う。3100円で特別展(年4回)は1回ずつ観覧できて、常設展はフリーパス。あと2回ほど京都か奈良か東京の国博の特別展に行けるのである。学生となるとこれが1100円(近所の大学でも会員になってないところは例外だけど)なのだ。
 1世紀頃の金細工は叩き出しと思われる繊細な細工。ターコイズやガーネットと組み合わせててキラキラである。ギリシアの神々の小さな金細工は、宝飾の展示会(のカタログを作る仕事を昔してた)でしばしば見たことがあるが、もともとこちらがオリジナルなわけである。薄い金属板を水槽に見立てて板金の魚のヒレをゆらゆらと動かすしくみは、観覧者が実際に動かせるようレプリカで再現してあった。夏休みの工作なんかで作ってみたいと思う小学生もいるのではないか。
 仏像のいくつかはアルカイックスマイルをたたえ、ギリシア風の柱頭も来ている。ニカッと笑った、禿でヒゲのおじさんの樋口(といぐち、水がでるところ)は、マンガ的である。
 あのアフガニスタンである。ソ連が侵攻したり、政情不安定だったりする中、博物館のお宝を戦火から守るための、生命をかえりみないプロジェクトXが遂行されたのである。それで生きのびた展示品が世界中を巡回しているのだ。
 普通に平和に展示されていたのであれば、アフガニスタンに行かなければ見ることのできなかったかも知れないものなのである。展示物も、2000年を経て、カワイーとかウケるーとかオモシローとか、極東のオバハンに言われることになるとは夢にも思わなかっただろう。

◆玄界灘ビルディング
 お昼が軽めだったのは、あとで梅が枝餅を食べるためというのもある。椿の咲くお庭を見ながらいただく。外側がカリカリの焼きたて餅と、おいしいアンコで幸せ気分。
 太宰府は相変わらず賑やかである。春節のお休みで、一層多いんだろうな。
 福岡都市高速からは、しょっちゅう国際ターミナルに巨大な客船が停泊してるのが見える。釜山へ行く定期フェリーも結構大きい(定期船ニューかめりあは、定員は500~600人だったと思う)が、ずっと大きい、2000人台後半とか、5000人近く乗れるクルーズ船が、チェジュ島経由上海行きなどのコースで中央埠頭や箱崎埠頭に出入りしてる。もはや乗り物には見えず、海上に浮かぶ、どでかいビルの様相を呈している。小学校の社会科見学の予定に支障が出るほど貸切バスが不足しているのも納得である。
バス不足、運転手不足が巡り巡ってスキーバス事故の惨事につながったりすることもあるのだ。
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ニューイヤーコンサート

2016年01月06日 | 物見遊山
◆ウィーン・リング・アンサンブル ニューイヤーコンサート
 今年の初ライヴは、アクロス福岡シンフォニーホール。コカコーラウエスト提供。ウィーン・フィルからヴァイオリンとクラリネットが各2名、フルート、ホルン、ヴィオラ、チェロとコントラバスで計9人編成のアンサンブルである。
 春に全国を巡回する、トヨタ・マスター・プレイヤーズという、トヨタ提供の小編成オーケストラのコンサート(指揮者なしのオーケストラなんだよ)で見たことのある人がいる。

◆超一流ニコニコ楽団
 当選ハガキ(競争率は高いらしい)で割り振られた席は、8列、S席の場所だ。気分は盛り上がる。
 奏者がステージに入場すると、すぐに演奏がはじまる。主催者挨拶などがないのは、トヨタのコンサートと同じである。
 一曲目は「こうもり」の序曲。♪ジャンジャンジャン♪チャララララララララ♪題名と曲が一致しなくても聞けばわかるよく聞くメロディーである。2曲ほど演奏するといったん奏者は舞台袖に引っ込み、また出て来て演奏をはじめる。
 よいアコースティック演奏は、脳細胞を修復してくれる。ああいい音だ。
入場のときも演奏のときも、演奏者とくにチェロとコントラバスの奏者は、満面の笑みである。超一流のニコニコ楽団なのである。
 機会があれば何のコンサートにでも行く自分である。クラシックを聞き込んでいるわけではないので、知らない曲も多いんだけどね。
 オペレッタ「ヴェネツィアの一夜」メドレーで、聞いたことのあるメロディーが出て来た。中学時代、吹奏楽部が端正な行進曲調に演奏していたのだ。J・シュトラウス2世の曲だったのかー。

 アンコール。「美しき青きドナウ」、よく聞く曲だけど、考えてみればライヴでははじめて。というか、ライヴで聞いたことがあるのは、スギテツの「美しき青きドナウ川のさざなみ殺人事件」(短調にアレンジした火曜サスペンス調。聞きたい方はYouTube検索すればダイジェストで紹介されてるが、再生注意←なぜだ?)だけである。最後の曲は「ラデツキー行進曲」。ニューイヤーコンサートのお約束である。
 コカコーラの提供なので、おみやげに、からだすこやか茶と細いアルミ瓶のコーラを貰った。
 
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大分2016

2016年01月05日 | 物見遊山
◆大分県庁
庁舎13階にある県庁食堂は、地産地消ビュッフェで、一般開放されている。貼られたポスターが、なかなか。
一条ゆかりの「プライド」というコミックで、イタリアで日本人実業家のパーティーに歌手としてよばれたヒロイン(ダブルヒロインの、暗い方)が「ふるさと」を歌ってみせたとき、実業家が「だご汁とやせうまが食べたい」 と泣き出す場面がある。「大分の方なんですね」
ありますとも。だご汁とやせうま。
小麦粉を水で練ってリボン状に湯がいたものを、味噌汁に入れたのが「だご汁」、砂糖入りのきな粉をまぶしたのが「やせうま」である。
地場野菜たっぷり。ドレッシングの容器が渋い。
おからのサラダがディッシャーで、半球状に並び、銀シャリのほかに雑穀入り御飯もある。学齢前のお子さんは無料なので、親子連れも多い。
社食お約束のカレーも用意されている。
名物とり天は、終了していたが、醤油をあまり使っていない(中津風?)唐揚げは、あったし、ひじきの煮物に入った椎茸が、なにげに肉厚である。 全体的にヘルシー系。
大分ケンミン食である。
デザートは、やせうま だけではなく、ゼリーなどがあった。コーヒー、オレンジジュース、麦茶、味噌汁も、当然あり。
650円です。平日営業、オーダーストップは13時30分。

◆オリジン大分
 街には具象彫刻多し。夭折の天才作曲家、滝廉太郎の銅像は「音楽が聞こえてこない?」と語りかけてくるようだ。キリシタン大名大友宗麟のまちだったので、西洋音楽発祥の地、西洋医術発祥の地、西洋演劇発祥の地、と、日本ではじめてのことが多い。
 駅前広場で大きな手(若干のデフォルメがある)を広げて辻説法している、フランシスコ・ザビエルさん。これは去年にはすでにあったけど、取り替えられている。作家が、出来について満足できないので自費で鋳造しなおして設置したというニュースを12月に聞いた。
右端に小さく映り込んでるのは、大友宗麟さん。
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