受託システム開発の原価計算に「個別原価計算」を用いる、と書いた。
そして、開発費の大半を占める工賃、人件費を加工割、賃率などと呼ぶ、
予定率で時間単価を計算して積み上げる、とまでは書いた。
それでは、そのあとは、、、
Aシステムと言う、ある受託システム開発に複数の人間が従事し、
予定率2500円、ランク係数の1に換算した時間で、
1か月に400時間かかったとする。
加工費=予定率×工数で、丁度100万円の計算だ。
Aシステムの原価が100万円かかったと言うわけだ。
このシステムがこれで完成なら、納品、売り上げとなるわけだが、
完成はまだ先だとしよう。
Aシステムは未完成、当然、納品も請求もしていないだろうから、
売上もたたないし、売上原価も発生しない。
とすると、この100万円はどうなるか。
それが製造途中の品物、未完成品、つまり仕掛品である。
100万円は仕掛費、仕掛品の費用=価値となって翌月に引き継がれる。
100万円の原価をかけて100万円の価値となったもの(仕掛品)が、
会社の中に置いてある、と考えればわかりやすい。
では翌月は、今度は換算時間で600時間かけて製造を続けたとする。
翌月の加工費は150万円、累計で250万円となり、
仕掛品の価値が250万円になった。
翌々月、今度は換算時間400時間でついに作業が完成したとしよう。
この月の加工費は100万円、累計350万円となった。
そのほかに直接費となるべき原材料費や旅費などの経費もあるが、
話を簡単にするために、それは無視して計算をすすめる。
(何が直接費で何が間接費かの議論が出てくるので、、)
Aシステムはこれで完成し、その月に予定通り納入し、
顧客先の検収も受けて、不具合もなく、
受注価格500万円を請求したとする。
500万円はまだ入金されていないとしても、売上として計上される。
仕掛品の350万円は、製造原価として払いだされ、仕掛品残高は0となる。
売上を立てる時点は、これも会社によって差はあろうが、
おおむね請求をした時点ではないか。
程度の差はあれ、通常入金はまだ先になる。
売り上げが立ったのに入金されてないので、500万円は売掛金となる。
なお、大きなシステムや長期にわたるシステムの場合、
資金繰りの関係上、着手金、中間金などをもらうこともあるが、
これらは売り上げではなく、前受け金である。
ところで、
500万の売り上げで150万の利益だなんて、利益率30%!
お話にしてもおいしすぎると思いますか?
いやいや、大事なことを忘れてますね。
それは会社は直接部門だけで成り立っているのではないということ。
営業費を直接費とするところもあるかもしれないが、
作番別に分解することが難しいし、受注前作業や、納品後の作業など、
直接売り上げに関係しない作業も多いから、
間接費としているところが多いのではないか。
ただし、開発部門と密接に結び付いているので、部門間接費とか、
営業間接費などに仕分けているかもしれない。
その他にも、人事、経理、総務、教育、福利厚生、等々、
売上を持たない部門も多い。
これらを総じて間接部門と言い、その費用は間接費だ。
これら会社にとって必要な経費も売上から回収しなくてはいけない。
本社費、一般管理費、一般費、などと呼ばれて部門に賦課され、
例えば作番ごとの原価に一定の比率で直課される。
(最近では間接部門の作業をビジネス化して売るところもある)
先ほどの営業費なども含めた間接費比率、一般費比率は、
会社によって大きく違うだろうが、
ここでは簡単のために20%だったとする。
製造原価は累計の加工費350万円に
20%の70万円を加えて420万円となり、
売上500万円、製造原価420万円、損益は+80万円となる。
個別作業の仕掛品残高は作業管理上も大きな意味を持つ。
それは次回、、、。
***
「プレSE奔走す」 ISBN4-434-07543-8 1200円
セブンアンドワイ
楽天ブックス
その他オンライン書店で。
紀伊国屋(新宿)、ジュンク堂(池袋)には店頭在庫もあります。
そして、開発費の大半を占める工賃、人件費を加工割、賃率などと呼ぶ、
予定率で時間単価を計算して積み上げる、とまでは書いた。
それでは、そのあとは、、、
Aシステムと言う、ある受託システム開発に複数の人間が従事し、
予定率2500円、ランク係数の1に換算した時間で、
1か月に400時間かかったとする。
加工費=予定率×工数で、丁度100万円の計算だ。
Aシステムの原価が100万円かかったと言うわけだ。
このシステムがこれで完成なら、納品、売り上げとなるわけだが、
完成はまだ先だとしよう。
Aシステムは未完成、当然、納品も請求もしていないだろうから、
売上もたたないし、売上原価も発生しない。
とすると、この100万円はどうなるか。
それが製造途中の品物、未完成品、つまり仕掛品である。
100万円は仕掛費、仕掛品の費用=価値となって翌月に引き継がれる。
100万円の原価をかけて100万円の価値となったもの(仕掛品)が、
会社の中に置いてある、と考えればわかりやすい。
では翌月は、今度は換算時間で600時間かけて製造を続けたとする。
翌月の加工費は150万円、累計で250万円となり、
仕掛品の価値が250万円になった。
翌々月、今度は換算時間400時間でついに作業が完成したとしよう。
この月の加工費は100万円、累計350万円となった。
そのほかに直接費となるべき原材料費や旅費などの経費もあるが、
話を簡単にするために、それは無視して計算をすすめる。
(何が直接費で何が間接費かの議論が出てくるので、、)
Aシステムはこれで完成し、その月に予定通り納入し、
顧客先の検収も受けて、不具合もなく、
受注価格500万円を請求したとする。
500万円はまだ入金されていないとしても、売上として計上される。
仕掛品の350万円は、製造原価として払いだされ、仕掛品残高は0となる。
売上を立てる時点は、これも会社によって差はあろうが、
おおむね請求をした時点ではないか。
程度の差はあれ、通常入金はまだ先になる。
売り上げが立ったのに入金されてないので、500万円は売掛金となる。
なお、大きなシステムや長期にわたるシステムの場合、
資金繰りの関係上、着手金、中間金などをもらうこともあるが、
これらは売り上げではなく、前受け金である。
ところで、
500万の売り上げで150万の利益だなんて、利益率30%!
お話にしてもおいしすぎると思いますか?
いやいや、大事なことを忘れてますね。
それは会社は直接部門だけで成り立っているのではないということ。
営業費を直接費とするところもあるかもしれないが、
作番別に分解することが難しいし、受注前作業や、納品後の作業など、
直接売り上げに関係しない作業も多いから、
間接費としているところが多いのではないか。
ただし、開発部門と密接に結び付いているので、部門間接費とか、
営業間接費などに仕分けているかもしれない。
その他にも、人事、経理、総務、教育、福利厚生、等々、
売上を持たない部門も多い。
これらを総じて間接部門と言い、その費用は間接費だ。
これら会社にとって必要な経費も売上から回収しなくてはいけない。
本社費、一般管理費、一般費、などと呼ばれて部門に賦課され、
例えば作番ごとの原価に一定の比率で直課される。
(最近では間接部門の作業をビジネス化して売るところもある)
先ほどの営業費なども含めた間接費比率、一般費比率は、
会社によって大きく違うだろうが、
ここでは簡単のために20%だったとする。
製造原価は累計の加工費350万円に
20%の70万円を加えて420万円となり、
売上500万円、製造原価420万円、損益は+80万円となる。
個別作業の仕掛品残高は作業管理上も大きな意味を持つ。
それは次回、、、。
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