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ナミヤ雑貨店の奇蹟

2017年10月03日 | 映画
ナミヤ雑貨店の奇蹟
を観ました。


2012年のある夜、今は空き家でだれも寄り付かないはずのナミヤ雑貨店のシャッターに突如1通の手紙が落とされた。
それは1980年からの悩み相談。そう、この雑貨店の店主・浪矢(西田敏行)は、かつて商売をしながら、客の悩み相談に回答していたのだった。
シャッターの郵便受けに入れられた手紙への回答は、翌日店の掲示板に貼り出され、そして深刻な悩みについては店の牛乳箱にひっそりと入れられていた。
偶然にもその夜、店には敦也(山田涼介)・翔太(村上虹郎)・幸平(寛一郎)が忍び込んでいた。
ある理由で女性起業家を襲った3人は、店で一夜を明かそうとしていたのだ。
店に落ちていた雑誌で店主の悩み相談のことを知った3人。幸平の発案で、その過去からきた手紙に返事を書くことに。
手紙の差出人は”魚屋ミュージシャン”という青年。
大学を中退し音楽でやっていこうと決めて3年が経った1980年、夢を諦め家業を継ぐべきか悩んでいた。
青年はナミヤからの辛辣な返事に落ち込むが、音楽への真剣な思いを伝えるため、返事の手紙をシャッターに差しはさんだまま、ハーモニカで自身のオリジナルの楽曲を吹き始める。
シャッターを通し、2012年の3人は魚屋ミュージシャンの演奏に聴き入る。
そのメロディは自分たちの知りあいでもある人気アーティスト・セリ(門脇麦)の代表曲「REBORN」だった!
届く手紙と自分たちの不思議なリンクに気付き始めた3人。そして次に届いた”迷える子犬”という女性から届いた手紙に、3人はある重要なアドバイスを送ることを決意する・・・。
しかし彼らはまだ知らない。
自分たちとナミヤ雑貨店とのつながりを、そして、32年前の今日、何が起こっていたのかを。
時を越えて届く手紙が、敦也たちと浪矢をつなげた瞬間、すべてのパズルのピースが埋まり、やさしい奇蹟が包み込むー。


廣木隆一監督作品です。
気がつけば廣木隆一作品、って思うくらい沢山映画を撮りますね。
深い映画から浅い映画まで、成就モノ、恋愛モノ、ヒューマンドラマと幅も広いですね。
今作はその点では廣木隆一監督的には真ん中くらいの作品って感じですね。
一番ターゲットが広い部分の作品だと思います。

そして原作は同じく作品が多く、作風の幅が広い東野圭吾原作です。
昔は散々読みましたが最近はちょっとご無沙汰なのでこの原作も読んでいません。

サスペンスも多いですが、こうしたヒューマンドラマも多い東野圭吾ですが、珍しくそこにがっつりのファンタジーが組み込まれています。
巧妙な物語を作るのが得意な東野圭吾だけあってなかなか複雑なストーリーでした。
おそらく原作ではもっとボリューム感があってそれなりに説明も加えられるのでしょうが。
コレを映像作品でわかりやすく伝えるのは難しかっただろうな、と思いました。

プロローグは昭和の風景の中、雑貨店を営む西田敏行のシーンから始まりますが、その時点で高品質なのは伝わりました。
昭和感満載のセットやロケーションで作品のテイストを示してタイトル、非常にいい感じですぐに没入できる見事なつかみでした。

冒頭はなにやら不穏な雰囲気でヒステリックに逃走する3人の若者、何があったのか?は教えてくれないので、
その疑問を抱えたまま観ることになります。
こいつらはそもそも何をしたのだ?なんでここに居るのだ?とちょいちょい気にしなければなりません。
東野圭吾だし廣木隆一だし、そこは綺麗に収まっていく予感がちゃんとしています。

物語は3人の若者が隠れている空き家のナミヤ雑貨店を現在として、
悩み相談をする人の目線を主観としたドラマが差し込まれ現代と30年前で文通するような流れです。
さらに30年前よりちょっと前のナミヤ雑貨店が営業している時の描写もちょいちょい差し込まれます。
昭和の映像は何処か滲んだ感じで、現在の映像はシャープな感じで。
その辺もわかりやすくていい手法だったと思います。

浪矢になりすました3人の若者は現代の若者らしくチャラい応対をするので大丈夫かな?と嫌な不安感を覚えます。
ただそういう導入なので徐々にいい関係になっていく安心感、感動がありうまいなと思いました。

いいテンポで幾つものエピソードが綴られて、物語の発散がなかなかです。
幾つも気になることがあるので結構頭が忙しかったです。
コレがどうやって収束するのか?となかなか気になりました。

世の中の物語を評価する時は起承転結の完成度を非常にチェックします。
起承転くらいまでは興味深い作品は幾つもありますが、結が弱い作品も多く、
そこで一気に萎えてしまうことが多々あります。
その点では東野圭吾作品の起承転結は非常に見事ですね。

まさに一つ一つを観ると意味不明のパズルが合体することによりひとつの絵になるようでした。

ちょっとした独特な群像劇になっているので主演はわかりにくいですが、
一応柱になっているので山田涼介が主演でしょう。
作品によっては良いと思えることもありますが、基本的には苦手です。
今作は主演にしては出番もそこまで多くないので妥当でした。
なんかやたら攻撃的でちょっと鬱陶しいキャラでしたがそれなりに意味も会ったので許せました。

すっかり売れっ子な村上虹郎ですが、最近にしては小さめな役で控えめでした。

同じく二世俳優の寛一郎も控えめでした。
この子は一気に売れっ子になりそうですね。

林遣都は変なヅラかぶってるようなのが少々気になりました。
結構感動エピソードを生み出すキャラで妥当にらしさを発揮しています。
HiGH&LOWとのギャップが凄いですね。

尾野真千子が若いところからおばさんになるまでを演じていました。
流石に上手で、キャスティングが多い今作の中で一番良かった気がします。

西田敏行が結構なおじいさんな役でいつもながらの職人芸です。
アウトレイジとのギャップが凄いです。

ところで最近おばあさん役のポジションを吉行和子が独占してますね。
間違いないですからね。

門脇麦がミュージシャン役で歌ってました。
あまりはまり役とは思えませんでしたが好きなので許せます。

成海璃子もいい感じの役で出ていました。
昭和な女性でしたが、そういうのにはハマりますね。

萩原聖人や小林薫など脇役も秀逸で。
鈴木梨央ちゃんは相変わらず可愛かったです。

どうやってこの作品を収めるかな?
とかなり気になってみてましたが、なかなか良い終わり方だったと思います。
全体通して優等生タイプないい作品でした。


そんなわけで7点。

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