激しかったジャムの息子のバカ犬ディノもすっかり老いた。
目も耳も機能しなくなってしまったので、
おとなしくなってしまった。
静かに暮すその姿はほんのりジャムを彷彿とさせる。
元々猫のように動かなかったジャム。
犬もある点へと収束していくのを感じる。
ジャムは
「ご褒美」「ご飯」
と言うと首を傾げた。
なんとも愛くるしい反応だった。
可愛さのあまり繰り返しやっていたので
「ご・・・」
の部分 . . . 本文を読む
僕はよく夢を見る。
夢はなるべく起きてすぐメモする。
よく見る夢のパターンが幾つかあるが、
その中のひとつ。
犬の夢。
夢の中ではジャムはいつも生きている。
普通に生きていて昔みたいな暮らしが
なんの違和感もなく繰り広げられる事もあれば、
あの時死んだと思ったジャムは実は生きていた!
なんてパターンもよくある。
ジャムが生きている時からジャムの夢はしょっちゅう観ていたが、
死んでからも夢を . . . 本文を読む
若き日の僕は色々と考え事をしたかった。
しかし受験生で実家暮らしの僕が一人で開放的になる時間はそんなに無かった。
ジャムがやってきたことでその口実は簡単に出来た。
気持ちの良い夏の夜、僕はジャムを連れて良く外に出た。
ジャムは喜んで付いてきた。
親もジャムを連れて出て行く僕を引き止める事は無かった。
犬とはそういった意味でもすんなりと家族のあり方や生活スタイルを変えてくれる。
当時ジャムの . . . 本文を読む
ジャムの好きだったモノ。
食べ物は何でも好きだった。
ものすごい執念で欲しがった。
特にパンは自分の餌だと思っていた。
テーブルの下でいつまでもクゥーンクゥーンとねだった。
座ってる人の腕と体の間に入ってくるのが好きだった。
鼻で僕の腕をはねのけてグイグイと入ってきて足に顎を乗せた。
人の背中に抱きつくようにすがるのが好きだった。
良くそのままおんぶをした。
僕が家に帰るとうれしさのあまり . . . 本文を読む
ウチに来たばかりの頃、ジャムはケージに入れられていた。
わからない事だらけの我が家族はトイプードルの飼い方の本を買ってそれを頼りにジャムに接した。
リビングのケージに入れられたジャムは家族がリビングから出て行くとケージにすがって鳴きまくった。
赤ちゃんの犬の可愛い鳴き声で。
夜寝る時、当時は家族の5人中4人が2階で寝ていたので、
置き去りにされたジャムの鳴き声が1階から2階まで毎晩の様に聞こ . . . 本文を読む
僕が未だ10代だったある日、家族会議の末に犬を飼うことになった。
ペットとはまるで無縁で、世の中の犬好きを誰一人理解出来ない我が家族にとっては非常に大きな変化だった。
知り合いから譲ってもらえるということで両親が貰いに出かけた。
僕は家でそわそわと待っていた。
僕と愛犬との出会いは母の腕の中。
母が優しく抱えたタオルの中に両手に収まる程小さな白いトイプードルの赤ちゃんが居た。
我々家族5人はみ . . . 本文を読む
遂に動かなくなってしまったジャムを連れてペットの火葬をしてくれるお寺へ。
道中涙雨がポツポツと落ちてきたがお寺に着いた頃にやんだ。
想像と違いグイグイと話は進んだ。
しみじみとお別れをする余裕もなく話は進んだ。
僕は火葬台の上に乗せられたジャムにすがって号泣した。
非常に物腰の柔らかい住職さんが我々家族の悲しみを癒すような話をしてくれた。
そうしてお経を唱えてお焼香をさせてくれた。
そ . . . 本文を読む
母と二人、眠れずジャムの亡骸を抱きしめて過ごす。
遂にジャムの居ない世界が来てしまったのである。
僕はこの宇宙の特異点としてジャムを捉えていた。
その存在からの距離で自分の位置を知り前後左右上下を知った。
元旦は朝から各地のお寺へ問い合わせ。
なかなか元旦から火葬をしてくれる場所がなく諦める。
仕方なく2日からやってるお寺にお願いをする。
一日ジャムの亡骸と過ごす。
その顔を見る度に涙 . . . 本文を読む
2012年1月1日0時21分。
ちょうど1時間ほど経った。
僕が愛して愛して愛し抜いたジャムがこの世を去りました。
先月初めに初めて危篤の知らせを聞いてから一月弱。
12月の間に3回程帰省して看病した。
先週もそろそろ無理そうだと言う知らせを聞き帰ってきて、
もう数時間後には死ぬんだろうと言う気持ちで、
電車の中で周りを気にすることも出来ず泣きながら帰った。
しかし年末の帰省まで僕を待っ . . . 本文を読む
ジャムは白いトイプードルである。
顔も可愛くて小さくて賢くて人間みたいな性格である。
犬用のおもちゃを投げてもまるで追いかけない。
自分を犬と思っていないような節がある。
そのジャムにはディノという息子が居る。
ジャムが3歳の時に産んだ3匹の子供の内の一匹とずっと一緒に暮らしてきた。
ディノはジャムより一回り大きくブサイクで頭が悪い。
何の芸も出来ないしモノを投げると何でも追いかける。
人 . . . 本文を読む
今日現在も悪い知らせはない。
携帯が鳴るたびに心臓が口から出てきそうになるが、
それも徐々に慣れつつある。
夜は色々考えてしまうのでまるで眠れない。
何故にコレほどまでに愛犬が愛おしいのか?
それすらもよく分からないほどに。
犬は喋らない。
喋らないから若い頃の繊細だった僕は何時もジャムと話をしていた。
人生の多くの時間に絶望してしまい、死ぬことばかりを考えたが、
ジャムが生きている間は . . . 本文を読む
連続について皮膚感覚で感じるものがあった。
我々の日常は、当たり前のように繰り返す作業で満たされている。
それはあたかも連続しているように僕に錯覚させるほどに。
眠ったり、起きたり、歯を磨いたり、トイレに行ったり、お風呂に入ったり、テレビを見たり、ギターを弾いたり、ゲームをしたり・・・
それらが何処かで途絶える事がイマイチ想像出来ずに暮らしている。
しかし先日ジャムを見た時、あらゆる連続も . . . 本文を読む
実家に着いたのはもう深夜1時だった。
勝手口を開けると台所のストーブの前で半纏にくるまって眠らされているジャムの姿がすぐそこにあった。
第一印象はまさに死にゆく最中といった感じだった。
目は開かず、体も動かせず、呼吸の度に全身を小刻みに震わせていた。
母が起きて世話をしていたが僕は駆け寄りジャムをさすりながらひとしきり泣いた。
抱っこしてみると恐ろしく軽かった。
母が「もう体重も2キロ台に . . . 本文を読む
宇宙の終わりはどこでどのようにして僕を待ち構えているのだろうか?
僕にとってそれに匹敵する壁がある。
それはこの宇宙で最も愛している愛犬ジャムとのお別れである。
僕はずっとそう思っていた。
先日、何時ものように一人でショッピングモールを歩いていた。
クリスマスムードに包まれたショッピングモールは実に華やかで世間の幸福度が街まで溢れでているようでした。
映画でも観ようと映画館のカウン . . . 本文を読む